薬物関連の死亡|2011年版世界薬物報告書その2

薬物使用が引き起こす最大の問題は健康への影響、なかでも、薬物使用によって引き起こされる死亡は、薬物のもたらす最悪の害であるといえるでしょう。しかし、実際の死亡者はどのくらいの人数なのか、具体的な数字を把握することは、けっこう難しく、これまで部分的なデータしか公表されてきませんでした。

今回の報告書では、UNODCが加盟国への質問票によって集計した、2009年における世界の薬物関連死亡のデータが発表されています。
報告書の推計によると、違法薬物使用による死亡、薬物使用に関連する死亡は世界全体で年間104,000人から263,000人に及んでおり、これは、世界の15-64歳人口100万人当たり23.1~58.7人の死亡率に当ります。そのおよそ半数は薬物の過量摂取によるものとみられています。

ここでいう「薬物関連の死亡」には、次のものが含まれます。①薬物の過量摂取による死亡、②自殺、③薬物の影響下での事故、④注射針を介して感染したHIVやC型肝炎による死亡、⑤長期の薬物使用による臓器不全などによる死亡。

図は、報告書34ページに掲載された、世界各国の薬物関連死亡数のデータで、15-64歳人口100万人当りの「薬物関連死亡数」を表したものです。
死亡数の多い国は、アメリカ、カナダ、ロシア、オーストラリア、イランなど。ヨーロッパでは、英国、スペイン、北欧がやや多くなっています。
画像

15-64歳人口100万人当たりの薬物関連死亡数(2009年または最新のデータによる)
濃緑色・・・71-236人
やや濃緑色・・・36-70人
やや薄緑色・・・16-35人
薄緑色・・・6-15人
灰色・・・0人
・印は2005年以前のデータ
出典はWorld Drug Report 2011(34ページ)

質問票の回答は地域によってばらつきがあり、北米とヨーロッパではほぼ100%、アジアは約40%、アフリカでは1%以下でした。
報告書43ページで、アジアの状況をみておきます。
「アジアでの薬物関連死は、15-64歳人口100万人に対して6-51人と推定されるが、死亡統計が整備されていない地域が多いため、この数字には不確実な要素が多く注意を要する。とはいえ、この地域の人口を考慮すると、アジア地域では年間に15,000~140,000人が死亡していることになる。アジアでは、薬物関連死の原因の第1位はヘロインなどのオピオイドである(43ページ)。」
ちなみに、上の図によると、わが国は該当する数字を報告できなかったようです。
わが国では「薬物に起因する乱用死者数等」として発表されている数字は、乱用死、自殺及び自傷並びに交通事故による死傷者数だけの集計で、2010年では48人でした。(警察庁『平成22年中の薬物・銃器情勢 確定値』21ページ)もちろん、この数字は、今回の世界薬物報告書が集計している「薬物関連の死亡」の一部にしかすぎません。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 16

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた
ナイス ナイス
かわいい

この記事へのコメント

2018年03月06日 20:36
よくわかりました。資料の参考にさせていただきます。

この記事へのトラックバック