ナチス軍の覚せい剤|第二次大戦と薬物

覚せい剤(メタンフェタミン)が、第二次大戦下の日本軍で、軍需物資として使われていたことは、よく知られています。当時、錠剤タイプのメタンフェタミンやアンフェタミン製剤が製薬会社によって販売され、一般にも広く使われていましたが、戦況が激化するにつれ、こうした製剤が「突撃錠」「猫目錠」などと呼ばれて、前線の兵士や軍需工場で働く人たちに支給されたといわれています。

実は、同じ時期に、ナチスに支配されていたドイツ軍でも、まったく同じことが起きていたのだと、私は最近になって知りました。ナチス軍では、錠剤タイプのメタンフェタミン製剤が、「戦車用チョコレート」「パイロットの塩」などと呼ばれ、前線の兵士に支給されていたといいます。
これを知る直接のきっかけになったのは、EUの薬物研究機関EMCDDAが2009年に発表したメタンフェタミンに関する報告書です。『メタンフェタミン―世界の状況のなかでのEUの見解』というこの報告書の最初に、メタンフェタミン問題の歴史的な概観がまとめてあるのですが、そこに次のような記載があります。
「1938年にベルリンに本拠を置くTemmler製薬会社はPervitinという商品名でメタンフェタミンの生産を開始した。第二次世界大戦の間、戦闘能力を亢進させ集中力を高めるために、ドイツ軍ではPervitinが広く配布され、「パイロットのチョコレート」「パイロットの塩」と呼ばれた。」
[出典]
EMCDDA–Europol joint publications
Methamphetamine:A European Union perspective in the global context1
http://www.emcdda.europa.eu/attachements.cfm/att_82097_EN_Methamphetamine_final.pdf

断片的な記述はいろんなものに載っていますが、どうも根拠があいまいで、これまでは斜め読みしてきましたが、上の資料を読で、私はもう少し調べてみようと探し始め、ようやく確かな資料に出会うことができました。
SPIEGEL online 2005年6月5日付け「ナチスの死のマシーン―ヒトラーの薬物兵士たちThe Nazi Death Machine:Hitler's Drugged Soldiers」という署名記事です。この記事は、二次大戦時のドイツ軍で、薬物を支給され、アルコールを勧められ、死の戦闘に駆り立てられた兵士たちの状況を具体的に、そして冷静に伝えています。

冒頭に紹介されるのは、後に有名な作家になった青年が従軍先から家族に送った手紙で、彼はPervitinを送るよう何度も家族に書き送っています。ポーランド侵攻作戦に従軍した兵士の多くは、Pervitinのもたらす高揚感の下で軍務についていたといわれます。1940年の4月~7月の間に、PervitinとIsophanという2種のメタンフェタミン製剤が、実に3500万錠もドイツ陸軍と空軍向けに出荷されたのです。
1錠には3ミリグラムの塩酸メタンフェタミンが含まれ、兵士が過度のストレスにさらされた際に使用する薬品とされていました。この錠剤には「興奮剤」のラベルが貼られ、OBMのコードネームで軍の医療部門に出荷されました。

記事は、この薬物が兵士にもたらした作用や弊害、そして前線でのアルコールの問題と続きますが、この先は次回で紹介します。とても興味深い記事なので、ぜひ下記をお読みください。インターネット版では英語(原文はドイツ語)に翻訳されています。
[出典]
SPIEGEL online>The Nazi Death Machine:Hitler's Drugged Soldiers(05/06/2005)
http://www.spiegel.de/international/0,1518,354606,00.html

なお、明日から3日ほど仕事で東京を離れるため、次回は数日後に掲載するつもりです。

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