アレーシアで邦人女性[運び屋]の裁判|薬物密輸の問題2

<ニュースから>
●マレーシア・日本人元看護師覚せい剤事件 現地裁判所、「覚せい剤持っていた」と認定
東京・目黒区の元看護師がマレーシアの空港で覚せい剤所持の疑いで逮捕・起訴されていた事件の裁判で、現地の裁判所は、元看護師が「覚せい剤を持っていた」と認定した。
この事件は、東京・目黒区の元看護師(36)が、2009年10月、クアラルンプール国際空港で、スーツケースの中に覚せい剤3.5kgを隠し持っていたとして、逮捕・起訴されたもの。
22日午前に行われた公判で、クアラルンプール高等裁判所は、被告のスーツケースに入っていたのは「覚せい剤」と認定した。被告は、「スーツケースはドバイの友人から預かった。中に覚せい剤が入っているとは知らなかった」と無罪を主張していて、2011年2月に、被告の意見陳述の公判が開かれることになった。
FNNニュース(11/22 12:42)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00188322.html

●2008年には22人、2009年にはおよそ50人に死刑が宣告された
マレーシアでは「1952年の危険薬物法DANGEROUS DRUGS ACT 1952」によって、一定量以上の薬物の取引(製造、輸出入、運搬などを含む)で有罪となった場合には、科される刑は死刑ときまっています。
マレーシアでは死刑の執行は比較的少ないといわれますが、そのいっぽう、薬物の密輸事件で死刑を宣告される数は多く、そのなかには多数の外国人も含まれています。
メタンフェタミン(覚せい剤)10キロを密輸したとして先月マレーシアで逮捕された2人のグルジア人女性に対して、母国側から、死刑を科さないよう働きかけがされていると、インタープレスが伝えています。母国グルジアで、女性の夫が「彼女たちに薬物を運搬させたのは自分だが、彼女たちには運搬する品物がメタンフェタミンだと知らせていない。彼女たちは薬物と知らずに運搬したのだ。」とグルジアの警察で供述しているというのです。
マレーシアの法律では、被告人が自らの無実を証明できない限り有罪となり、有罪となった場合に宣告される刑は、必ず死刑と定められているため、人権団体などが、2女性の救済を呼びかけているといいます。
IPS通信>Execution for Drug Offences Challenged(Nov 12, 2010)
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=53543

●アジアでなぜ薬物犯罪に死刑が適用されるのか
今年4月、中国で、薬物犯罪で死刑を宣告されていた日本人に対する刑の執行が行われたときに、一部のメディアは、「中国やアジア諸国ではアヘン戦争以来、薬物に対して厳罰を科してきた伝統がある」などと報道していました。
たしかに、死刑廃止が進む世界で、薬物犯罪に対して死刑を定めている国は東南アジア、東アジアに集中しており、かつてあへん禍が広まった地域と重なります。でも、アジアの諸国が薬物犯罪に対して死刑を定めているのは、アヘン戦争時代の残滓というわけではありません。
現在の世界で、大量取引や密輸などの薬物犯罪に対して死刑を科す国が現れ、増加したのは、つい近年、主に1980年代以降のことです。薬物の不正流通が国際社会の問題となり、国連主導の反薬物運動が展開される中で、薬物の生産地や国際流通の中継地となっているアジア諸国を中心に、連鎖反応のように薬物取締法制の罰則引き上げが行われ、大量取引や密輸、製造などの違反に対して、最高刑を死刑に引き上げる国が続出し、現在のような状況が生まれたのです。

私は、アジアの薬物法制に関して、これまであまり勉強する機会がなく、ごく最近になって、ようやく主な国の基本法令に目を通した程度です。各国の法令の背景や改正の流れなどを正確に把握していないので、頼りになる文献から該当部分を参照しながら、おおまかな流れを説明します。

第二次大戦が終わった当時、薬物犯罪に対して死刑を定めていたのは、唯一、中華人民共和国だけで、それも戦争時の非常措置法制の中での規定でした。1948年の国連麻薬委員会に向けて準備された薬物法制調査によれば、中国では、麻薬の製造、原料植物の栽培、運搬、販売、薬物使用の再犯などに対して死刑が定められていました(その後、中国刑法は大幅に改正されています)。
その後、1970年代までは、薬物犯罪に対する最高刑を死刑とする法を導入した国は数か国にとどまっていましたが、1979年には10か国に増加しました。
薬物犯罪に対して死刑を科す国が、本格的に増加したのは1980年代以降のことで、1985年には22か国、2000年までにはその数は36か国に達しました。この増加は、「1988年の麻薬及び向精神薬の不法取引に関する国連条約」の発効や、「薬物との戦い」と呼ばれる薬物及び不正取引撲滅をめざす国際的な政治キャンペーンに対応したものです。
[参照]
WILLIAM SCHABAS著「死刑と薬物犯罪THE DEATH PENALTY AND DRUG OFFENCES」2ページ、2010年10月、北京での講演(EU後援)による

● 当サイト内の関連記事
マレーシア|薬物密輸と死刑の問題5
 http://33765910.at.webry.info/201005/article_22.html
マレーシア続|薬物密輸と死刑の問題6
 http://33765910.at.webry.info/201005/article_23.html

なお、薬物密輸と死刑の問題に関しては、1から12までの連載記事があるので、参照してください。

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この記事へのコメント

ヂャンドラ
2010年11月25日 15:25
昔海外に仕事で行くたび、頼まれてよく運び屋をやりましたが、あんなの楽勝でした。というか、ドラッグを運んだくらいで死刑になる国があることが信じられないですね。ドラッグで国家が儲けている北○鮮を見習って欲しいです。あの国は絶対に悪い国なんかじゃありません。この世の楽園「お花畑」だと信じています。あの国を悪く言う人の心は荒地なんです。私も早くあの国に行って自由にブリブリになりたいです。今騒がれている砲撃事件もきっと韓○の自作自演です。死んだ人なんて一人もいないに決まっています。
Piichan
2011年10月25日 15:19
記事にあるもと看護師に死刑判決がいいわたされたようですが、厳罰化が歴史的なものでなくつい最近おこなわれたことだという事実にはおどろかされました。

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