大学での薬物乱用防止指導|学校と薬物乱用事件1

先日は、北海道で中3の女子生徒が校内で大麻を所持したという事件が報じられ、また今日は大学の敷地内で留学生が大麻草を栽培したというニュースが伝えられました。学校をめぐる薬物乱用問題は、いまどうなっているのか、対策はどこまで進んでいるのか、まとめて考えておきたいと思います。

<ニュースから>
●大学で大麻草栽培 外国人2人を逮捕・送検
10月22日、日本テレビは四国の大学敷地内で、大麻草を栽培していた留学生2人が逮捕されたと報道しています。
ニュースによれば、キャンパス内で大麻を栽培していたとして、四国厚生支局麻薬取締部は22日までに、愛媛大学大学院に留学中のチュニジア人とコロンビア人の2人の男を大麻取締法違反の疑いで逮捕・送検したということ。2人は、研究活動を行っていた高知大学農学部の雑木林で大麻草11株を栽培した疑いで、「自分たちで使うために栽培していた」と話している。
[出典]日本テレビ系(NNN) 10月22日(金)18時54分配信

●大学生の大麻事犯の現状
2008年末ころから、大学生と大麻乱用の問題が話題を呼び、「大学生に大麻が蔓延」などと騒がれました。当時、メディア関係者が「急増」を話題にしようとするなかで、私は、大学生の大麻事犯者が増加しているという兆候を感じておらず、また、データ上でも増加の根拠がないので、「とくに増えていない」といい続け、相次ぐ取材にかみ合わない議論をしていたことを思い出します。その後発表されたデータで、とくに大学生に大麻事犯が増加したという事実はないことが明らかになり、空騒ぎはおさまりましたが。
ところで、大学生の薬物事犯検挙者の数は、これまであまり発表されていませんでしたが、最近、厚生労働省の薬物乱用防止のページに、中学生、高校生、大学生の集計が掲載されているのに気づきました。今のところ、公式に発表されている数字でもっともわかりやすいものが、このデータのようです。
さて、空騒ぎはさておき、
・中学、高校、大学と年齢を追って増加している
・大学生では、覚せい剤検挙者より大麻検挙者のほうが多い
・20歳代および未成年が大麻検挙者の6割強を占める
という現状をみると、20歳前後の若者に対する薬物乱用防止指導の重要性について、あらためて認識させられます。
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↑厚生労働省 大麻事犯における未成年検挙者等の推移(人)より
PDFの1ページ目が覚せい剤、2ページ目が大麻
[出典]
厚生労働省>薬物乱用防止に関する情報のページ>現在の薬物乱用の状況(平成22年8月30日現在)>その他
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/torikumi/dl/index-03.pdf

●大学の薬物乱用防止の取り組み
今年3月、文部科学省と独立行政法人日本学生支援機構は、全国の大学等に対して「薬物乱用防止に関する各学校における啓発・指導の実態状況調査」を行いました。全国の大学、短期大学及び高等専門学校1,133校から回答を得た結果によると、大学の98.5%が学生の薬物乱用防止に関して何らかの取り組みをしていました。
・ 平成18年以降、学内で学生による薬物乱用事件があったのは、大学の7.8%
・ 平成21年度では、大学の98.5%が薬物乱用防止に関する取り組みを実施した
・ もっとも多かったのは入学時ガイダンス
画像

↑文部科学省「薬物乱用防止に関する各学校における啓発・指導の実態状況調査の結果について(概要)」より
[出典]
文部科学省>薬物乱用防止>薬物乱用防止に関する啓発・指導の充実について
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/gakuseishien/__icsFiles/afieldfile/2010/07/30/1296180_1.pdf
[参照]
日本学生支援機構>薬物乱用防止に関する各学校における啓発・指導の実態状況調査
http://www.jasso.go.jp/gakusei_plan/yakubutsu_chousa.html#syugaku

●次の課題は継続性と指導の質
「大学生と大麻」の事件報道に驚いて、大学等はいっせいに薬物乱用防止指導に着手した様子ですが、さて、これを一過性のものに終わらせないためには、さらに幅広い取り組みが望まれます。薬物乱用は若者にとって大きな脅威とはいっても、わが国では薬物を使う大学生は少数です。より大きな脅威である飲酒運転、自殺問題なども視野に入れた心と生活の健康管理という視点で、大学生の日常に対応した、息の長い取り組みをぜひ実現させていただきたいものです。
ところで、大学内の薬物乱用防止の研究機関が、そろそろ誕生してもいい時期ではないでしょうか。欧米の研究機関には、大学に拠点を置いているものがたくさんあります。日本でも、大学発の研究や指導マニュアルが生まれてほしいと願っています。

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この記事へのコメント

erickson_8934
2011年05月13日 13:48
こんにちわ、
私はアメリカに住んでいて、日本語のプログラムにはいっています。今年、私の研究課題のトピックは大麻/マリファナにするときめました。あなたのきじを読んで私の研究にとても役立ちました。アメリカにはマリファナの問題はとても大きくて私の高校にもすっている人はいます。このきじを書いてくれてどうもありがとうございました。

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