中国と覚せい剤密輸|薬物犯罪組織の真実3

中国広東省で、日本人男性3人が、覚せい剤を取引しようとして逮捕されたと、ニュースが伝えています。またしても中国、今度は広東省です。報道では詳しいことはわかりませんが、日本へ密輸するための覚せい剤を買い付けようとしていたのでしょうか。

2009年、全国の税関で摘発された覚せい剤密輸事件は164件、押収量は約333キログラム。その約4分の1に当る88キログラムは、中国を仕出地として日本に密輸されたものです(「平成21年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況」平成22年2月1日財務省による報道発表より)。
これまで、日本に密輸される覚せい剤の仕出地(最終積み出し地)として、中国は常に上位を占めてきました。中国から日本へ、脈々と続く覚せい剤密輸ルートの両端で、薬物犯罪に対して厳しい取締りが行われ、多くの逮捕者が出ています。

<ニュースから>
●薬物犯罪容疑で3邦人拘束=中国広東省
7月26日11時44分分配信の時事通信ニュースは、中国広東省珠海市で日本人男性3人が警察当局に身柄を拘束されたと伝えています。3人は17日午後、中国籍の男性1人と共に覚せい剤販売などの犯罪にかかわった疑いで拘束されたといいます。
また、続報(27日16時32分配信)では、珠海市公安局(警察本部)は、3人を捕まえた際に約3キロの覚せい剤を押収したと発表したとのこと。17日に中国人の男と覚せい剤を取引しようとしたところ、4人全員が警察に捕まった。日本人3人は広東省深セン市から珠海入りし、マカオと接する地区のホテルに宿泊していたと、公安局は発表しています。
[参照]
Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100726-00000049-jij-int
Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100727-00000092-jij-int

<なぜ広東省なのか>
私はちょうど、これまでに手がけてきた薬物密輸事件の資料整理を進めているところで、過去数年分の分厚い記録を積み上げているのですが、そういえば、広東省の珠海市や深セン市が関係した密輸事件がいくつもあります。
珠海市のホテルで覚せい剤入りの肌着を身に着け、フェリーで香港へ渡り、日本へ飛び立った男性。中国にタダで行けると誘われ、上海や深センのホテルで何日も待機した末に、覚せい剤を身に着けて帰国の飛行機に乗った男性。台湾籍の男性が、覚せい剤を隠したキャリーケースを渡された場所も、珠海市でした。
広東省や福建省の沿岸都市には、メタンフェタミンやMDMA、ケタミンなどの合成薬物の密造所や密輸拠点が集中しているといわれます。もともとこの地域は、雲南省を経由して「黄金の三角地帯」から密輸されたあへんやヘロインが集まる場所で、1980年代から急速に拡大してきた中国の薬物犯罪組織の多くは、中国南東部の沿岸都市に拠点を置いています。加えて、急速に発展する工業地帯では、人や資金の移動が激しく、薬物の密造や闇取引などもカモフラージュしやすい利点もあるのでしょう。
中国から覚せい剤を密輸しようとする日本の犯罪組織が、覚せい剤を入手し、運び出す拠点として、この地域に目をつけるのも当然かもしれません。
しかし、この地域は、中国当局が薬物犯罪の重点取り締まり地区として、警戒している場所でもあるのです。薬物の集中する場所には、犯罪者も集中し、逮捕者もふえるというわけです。

<どんな日本人が密輸に関与しているのか>
私が手がけてきた密輸事件から類推すると、中国から日本へ覚せい剤を密輸するために、様々な役割を帯びた日本人が、中国へ渡航しているものと思われます。
まず、現地での覚せい剤買い付け役。買い付けようとする品物の品質を見分ける係や、買い付け役の身の回りの世話をする補佐役がいることもあるでしょう。
次に、日本への運び役。いわゆる「運び屋」と呼ばれる人たちで、たいていは犯罪組織と直接関係のない外部者が、報酬を約束されて一時雇いの運搬役を引き受けるのです。ときには、ばらばらに雇われた数人が、互いの素性も知らないまま、運び屋グループとして活動するといったこともあるようです。
さらに、現地の事情に通じた、コーディネイト役が加担していることもあります。犯罪組織の関係者が、現地に拠点を構えて住み着いていることもあるようです。
広東省や福建省の沿岸には、商工業の中心地として活気のあふれた都市があり、外国人の活動も盛んです。日本の犯罪組織が拠点を設けても、あまり人目につかないのでしょうか。

犯罪組織が行う薬物密輸や薬物取引には、意外に多くの人が関与して活動しています。中国当局の監視網に触れて逮捕されたのは、どんな役割を担っていた人なのか、まったくわかりません。
しかし、一時雇いの運び屋のような犯罪組織と関係のない部外者であっても、薬物密輸や大量取引の一部分を担ったとなれば、日本でも、中国でも密輸犯罪者として扱われることになります。
私はこれまでに、日本の税関で発覚した、覚せい剤密輸事件を多数担当してきました。被告人たちは、営利目的での薬物輸入の罪に問われ、運んできた薬物の種類や量、密輸計画への加担度合いに応じて、5年から10年程度の懲役刑と数百万円の罰金といった、非常に厳しい判決を言い渡されてきました。
でも、もしも日本へ向かう飛行機に乗り込む前に、中国で発覚して逮捕されたならば、その厳しさは比べ物になりません。50グラム以上の覚せい剤の輸出入や販売に対しては、死刑が科されることがあるのです。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • ケタミン 中国人

    Excerpt: ケタミンとはどんな薬物なんですか? 芸能人の逮捕で初めて耳にしましたが…。 ケタミンとはどんな薬物なんですか? 芸能人の逮捕で初めて耳にしましたが…。(続きを読む) 歌手の詩音が合成麻薬ケタミンの使.. Weblog: チョッ早!ニュース速報 racked: 2010-08-17 20:15