薬物乱用者の高齢化|アメリカの研究から

「薬物トリートメントの新規参加者中の高齢者の割合が劇的に増加している。」アメリカ合衆国の薬物問題研究機関のひとつSAMHSAが6月16日に発表した新しい研究結果が話題を呼んでいます。
その報道発表の概要を紹介します。

薬物やアルコールを使用してトリートメントを受けることになった参加者に関する、2008年の最新データでは、50歳以上の人の割合が顕著な増加を示しています。1992年のデータでは、50歳以上の割合は6.6パーセントだったものが、2008年では12.2パーセントと、2倍近い数字になっているのです。
とくに、コカイン、ヘロイン、大麻などの不法薬物に関連した参加者で、高年齢者の増加が目立っているいっぽう、アルコール関連の参加者では高年齢者の減少(1992年84.6%→2008年59.9%)がみられます。
●薬物乱用のトリートメント参加者中の高年齢者(50歳以上)の増加
・ヘロイン乱用者では倍増……1992年(7.2%)→2008年(16.0%)
・コカイン乱用者では4倍に……1992年(2.9%)→2008年(11.4%)
・処方薬乱用者でも増加……1992年(0.7%)→2008年(3.5%)
・大麻乱用者では……1992年(0.6%)→2008年(2.9%)
トリートメントに参加する高年齢者の4分の3は25歳までに薬物乱用を開始しているいっぽう、少数派ながら、最近5年以内に初めて薬物を使うようになったという高年齢者もおり、その割合は増加しています。2008年のデータでは、コカイン乱用でトリートメントに参加した高年齢者の26.2パーセントが、過去5年以内にこの薬物を使用し始めています。

[出典]
●報道発表
SAMHSA>News Release>New Nationwide Study Shows a Dramatic Rise in the Proportion of Older Americans Admitted for Substance Abuse Treatment from 1992 to 2008
http://www.samhsa.gov/newsroom/advisories/1006153959.aspx
●データの詳細
The TEDS Report - Changing Substance Abuse Patterns among Older Admissions: 1992 and 2008
http://oas.samhsa.gov/2k10/229/229OlderAdms2k10.cfm

ベビーブーマー世代が高齢者の仲間入りをし始めたいま、高齢化社会の新しい局面が、薬物乱用者にも表れ始めたようです。
アメリカのデータほど顕著なものではありませんが、日本の薬物乱用者にも、実は、高齢化の兆しが現れ始めていることが、私には気になっています。警察庁が毎年発表する薬物・銃器情勢の資料では、薬物事犯として検挙された人たちの年齢別データが含まれていますが、近年、覚せい剤事犯の検挙者では、かなり明確に高年齢化がみられます。覚せい剤事犯の検挙者が全体的に減少し続ける中で、若年層ほど減少が大きく、いっぽう50歳以上の年齢層ではほとんど増減がみられないのです。結果として、検挙者の平均年齢はどんどんあがっています。
これまで、若者中心に考えてきた薬物乱用者対策に、高齢者向けメニューを追加することが必要になるのでしょうか。

なお、上で紹介したアメリカ合衆国保健省の物質乱用及び精神保健サービス機構Substance Abuse & Mental Health Services Administration(SAMHSA)は、アルコール・タバコ・薬物乱用防止に関する幅広い活動をしている機関で、治療やトリートメントのデータを分析して、薬物乱用の動向を探る研究を続けています。

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