覚せい剤密輸の日本人、さらに3人中国で死刑執行へ

<今夜のニュースから>
●中国 新たに3人の死刑を通報
岡田外務大臣は記者会見で、覚せい剤を日本に密輸しようとした罪で中国で死刑判決が確定した日本人について、中国政府から新たに3人の死刑執行を行うと通報があったことを明らかにしたうえで、日本人の死刑執行が続けば日本国内の世論にも影響を与えかねないとして懸念を表明しました。
中国政府は、先月29日に、覚せい剤を日本に密輸しようとした罪で中国で死刑判決が確定した赤野光信死刑囚(65)について、近く死刑執行を行うと通報してきました。これについて、岡田外務大臣は記者会見で「きのう、中国政府から新たに3人の死刑を執行すると通報があった」と述べ、赤野死刑囚に続いて、武田輝夫死刑囚(67)と鵜飼博徳死刑囚(48)、それに森勝男死刑囚(67)の3人について、新たに死刑執行を行うと中国政府から通報があったことを明らかにしました。そのうえで岡田大臣は「それぞれの国の法律と司法制度があるので、死刑執行自体を中止してほしいと正面から言うわけにはいかない。しかし、日本人が4人続いて死刑になれば、日本国内の世論にも影響するし、適正な手続きが行われているのかという声も出てくる」と述べ、懸念を表明しました。
NHKニュース(4月2日 18時5分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100402/t10013604821000.html

●アジア諸国からの覚せい剤密輸という実態に目を向けなければならない
2009年の警察庁資料によれば、日本で摘発された覚せい剤密輸事件の仕出し地の第1位は中国、2位がマレーシア。いずれも、薬物密輸犯罪に対してきわめて厳しい立場をとっている国であり、最高刑を死刑と定めています。
薬物の密輸は、いろんな国を経由して行われることが多く、中継地や乗り継ぎ地の空港で、隠し持った薬物が発見されることも珍しくありません。最近でも、覚せい剤を密輸しようとした日本人が、その中国やマレーシアで逮捕されたというニュースが続いています。
<当ブログの過去の記事>
・続報・外国で薬物犯罪によって逮捕された日本人
http://33765910.at.webry.info/201003/article_20.html
・また中国で日本人逮捕|覚せい剤密輸事件
http://33765910.at.webry.info/201003/article_19.html
・薬物密輸に対して特に厳しい中国で、日本人3人逮捕
http://33765910.at.webry.info/200911/article_28.html
・厳罰主義のマレーシアで日本人が起訴
http://33765910.at.webry.info/200911/article_24.html

私たちがまず目を向けなければならないのは、なぜ、これほど多くの日本人が薬物密輸という重大な犯罪に巻き込まれてしまうのかという点です。摘発されれば、国によっては死刑を科されるほどの犯罪だという事実をしっかり伝えなければなりません。もちろん、日本で摘発された場合でも、人生をゆるがすほどの長期の刑を覚悟しなければなりません。
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↑覚せい剤密輸事件における仕出し国構成
警察庁刑事局組織犯罪対策部薬物銃器対策課編『平成2 1年中の薬物・銃器情勢 暫定値』15頁より転載

中国、マレーシア、タイなど薬物密輸犯罪に対する最高刑を死刑と定めている国は、いずれも、深刻な薬物問題を抱えており、その抑止のために、国の政策として薬物密輸犯罪を特に重く処罰しているという事情があります。日本は、死刑の規定こそないものの、薬物密輸犯罪に対して極めて重い処罰を定めている国です。日本人に死刑を科すことだけをとらえて、軽々しく、他国の制度を批判することはできないでしょう。
それでも、なお、外国で死刑執行に直面している同国人に対して、日本の政府が、あるいは日本の社会が何をすべきか、何ができるか、考えたいものです。

昨年12月、中国でヘロインを密輸しようとした英国人に対して、死刑が執行されましたが、それをなんとか阻止しようと英国政府やEUなどの国際機関が中国に対して働きかけを行ったと伝えられています。
<当ブログの過去の記事>
・中国で、ヘロイン密輸の英国人に死刑執行迫る
http://33765910.at.webry.info/200912/article_23.html
さて、ここで見落としたくないのは、このニュースを引き金として、英国のメディアや外交機関は、薬物犯罪に巻き込まれて外国で刑事拘禁されている英国人の問題を、様々な形でとらえ、問題提起を続けている点です。
日本もいま、同じ問題を抱えています。日本の場合は、薬物密輸の有力仕出し地が、密輸犯罪に対してとくに厳しいアジアに集中しているだけに、問題はさらに深刻かもしれません。現在、薬物犯罪に関係してアジア諸国で拘禁され、現地日本公館の援護を受けている人が、少なくとも50人おり、その大半は短期滞在のいわゆる旅行者です。
日本の旅行者が薬物犯罪に巻き込まれたり加担したりすることを、防止すること。それがなにより優先だと私は考えています。
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↑外務省「2008 年(平成20 年)海外邦人援護統計」7頁より転載
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