メチロンという麻薬

メチロンが乱用薬物として最初に報告されたのは、2005年12月のこと、オランダで販売されている液状の脱法ドラッグの成分として確認されたものです。筆者によれば、その健康への影響についてはまだよく知られていないが、MDMA類似の化学構造からみて、MDMAと同様の危険性があると思われるとされています。なお、下の論文タイトルにあるmCPPとは、日本では3CPPと呼ばれている1―(3―クロロフェニル)ピペラジン(麻薬)です。
Bossong MG, Van Dijk JP, Niesink RJM. Methylone and mCPP, two new drugs of abuse? Addiction Biology 2005;10:321. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16318952

メチロンMethylone (麻薬)
2-メチルアミノ-1-(3,4―メチレンジオキシフェニル)プロパン―1―オン 
2-methylamino-1-(3,4-methylenedioxyphenyl)propan-1-one
メチロンの別な呼び方:Bk-MDMA、 MDMC
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●MDMAとそっくり
メチロンはその後、MDMAの代替成分として様々な脱法ドラッグに使用されてきました。麻薬指定される前には、植物の栄養剤、バスソルトなどと称する粉末状の脱法ドラッグとして、わが国でもかなり出回っていたようです。平成19年に麻薬指定されて、ひとたびは市場から姿を消したメチロンですが、ごく最近、新しい形で再び日本に入ってくるようになってきました。
その典型的なものが、英国などで脱法ドラッグとして販売されているパーティー・ピルズです。麻薬のMDMA、MDAやMDEAに類似した構造のベータケトン類(bk‐MBDB、bk-MDEAいずれも指定薬物)を主成分とした錠剤型やカプセル入りのピルズのなかに、しばしばこの麻薬が確認されています。最近では、メフェドロン(2-(メチルアミノ)-1-(4-メチルフェニル)プロパン-1-オン)を主成分とする脱法ドラッグにも、メチロンが含まれているという情報もあります。
●メフェドロンは指定薬物、輸入は禁止です|脱法ドラッグへの警告(当ブログ内)
http://33765910.at.webry.info/200912/article_14.html

<参考>
MDMA(麻薬)
N・α―ジメチル―3・4―(メチレンジオキシ)フェネチルアミン(別名MDMA
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●新型の合成麻薬規制の問題
2009年3月に、メチロンの使用(施用)と所持の事件で無罪の判決が出ました(大阪地方裁判所平成21年3月3日判決 麻薬及び向精神薬取締法違反被告事件)。
事件は、平成20年7月に起きたもので、被告人がメチロン粉末を飲み、その残量を所持していたとして起訴されたものです。この事件はメチロンが麻薬に指定された後の事件ですが、被告人は「合法ドラッグ」だと思っていたと主張し、メチロンが麻薬であることを被告人が認識していたかどうかが争点となりました。判決は、「被告人において、メチロンが「合法ドラッグ」であると認識していたことは認められるものの、そこから進んで、メチロンが麻薬指定されたとか、違法薬物であるなどと(未必的にせよ)認識していたと認定するには、なお合理的な疑いが残るというべきである。」として、無罪を言い渡しています。
この判決は、最高裁判所のホームページ内の下級裁判所判例集に載っているので、興味のある方は読んでください。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37423&hanreiKbn=03

近年、新型の合成麻薬が次々と麻薬に指定されていますが、そのほとんどは、脱法ドラッグとして広まり、使用されてきたものです。MDMAと化学構造が似ているもので、近年麻薬に指定されたものをピックアップしてみると、メチロンのはかにもMBDB、MMDA、N‐ヒドロキシMDMA、N-ヒドロキシMDAと多数あり、これらがMDMAの代替品の脱法ドラッグとして出回っていたのです。メチロンの場合は、たまたま外国でも日本でも、広く認知された「メチロン」という通称名が広まっていましたが、最近では合成麻薬のほとんどが、アルファベットを羅列した無味乾燥な略称で呼ばれていることも、私たちの理解を阻んでいます。
わかりにくい合成麻薬の事情、いちばんの早道は目でみて理解すること。メチロンなどの合成麻薬を含んでいるとして摘発された、英国から国際郵便で届いたパーティー・ピルズの写真が、下にのっています。
名古屋税関【イギリス来郵便物に隠匿された麻薬含有錠剤密輸入事件を告発(平成21年10月26日発表)】http://www.customs.go.jp/nagoya/mituyu/tekihatu/index.htm

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この記事へのコメント

シンジケート
2010年02月03日 10:04
メチロンは麻薬ではありません。
麻薬というのは、まずヘロインを指します。
その他には、モルヒネ、コデイン、阿片、ペンタゾシン、フェンタニル、などなど。
MDMAは上記のものとは全く作用が違います。
アレキサンダー・シュルギンの著書を読めば一目瞭然です。
しばしエクスタシーが問題になるのは、覚醒系(アンフェタミン類)の薬物を混ぜてあるものを摂取した時、もしくはそれらをカクテルしたとき、アルコールとの併用時。
希望がないとき=麻薬
頑張らないといけないとき=覚醒剤
鬱状態のとき=エクスタシー
世の中が健全な時にはドラッグは必要ないよ。
チャンドラ(本物)
2010年02月10日 13:36
小森先生
いつも興味深くブログ拝見させていただいております。

上のチャンドラさんは本人ではありませんので
お手数ですがコメントの削除をお願いいたします。
チャンドラ(本物)
2010年02月10日 13:38
尚、ミクシィから追い掛けてきたニセモノさんが
外部ブログで多数カキコミをしているようですが

私は、ミクシィとツィッター以外では
チャンドラという名前は使っていません。

今後もし同じように色々なブログで
チャンドラという名前のコメントがありましたら
すべてニセモノですので
宜しくお願いいたします。
小森 榮
2010年02月10日 14:06
上記のチャンドラさんのお申し出により、
「チャンドラ」を名乗ったコメントを削除いたします。
チャンドラ(本物)
2010年02月10日 14:58
小森先生

お忙しいところ、お手数おかけいたしました。
ご協力ありがとうございました。
合法ドラッグ反対
2011年10月10日 20:37
次から次と規制を潜り抜けいたちごっこをしているお国の制度に問題があると思います。
このようなものは全面的に包括して規制するべきです。
若者などに当たり前に思われてはそれこそ問題です。
リキッド、アロマ、これは特に女性に危険ではないのか?と、規制の在り方を疑ってしまいます。
お国はしっかり抜け道のない法律を施行するべきです。

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