中高生、大学生の薬物乱用の傾向|少年非行等の概要その2

警察庁生活安全局少年課「少年非行等の概要(平成21年1~12月)」を読みながら、少年の薬物乱用状況について考えています。

日本の若者の薬物乱用のスタイルが変わり始めている・・・。少年の薬物乱用に関するデータを見るたびに、私はその思いを強くします。
日本の薬物乱用は第二次大戦後からずっと、覚せい剤をけん引役として展開してきました。薬物密売組織も覚せい剤を中心に供給してきたため、日本人にとって、これがもっとも身近な薬物だったわけです。覚せい剤に手の届かない年少の少年たちにとっては、シンナーが最初の薬物として定着していました。
でも、長年続いてきたこのパターンに、いま少しずつ変化が生じ始めているようです。シンナーと覚せい剤での検挙者の減少が続き、いっぽう、大麻の検挙者はじわじわと増加しているのです。とはいえ、日本人全体で見れば、まだまだ覚せい剤検挙者が圧倒的に多く、2009年では約11,500人。大麻の検挙者は約2900人です。依然として、日本で乱用される薬物の代表は覚せい剤なのです。

●覚せい剤から大麻へのシフト
ところが、少年に限定してみると、覚せい剤の減少と大麻の増加という傾向が、より明確に浮かび上がってきます。「少年非行等の概要(平成21年1~12月)」によると、2009年では、薬物事犯として送致された少年の人数は
・ 覚せい剤……257人
・ 大麻…………211人
とほぼ同レベルになっています。ちなみに、10年前の2000年には、覚せい剤1,137人、大麻102人という状態でした。
覚せい剤から大麻へ、少年にとっての乱用第1位の薬物がシフトしようとしています。

●高校生、大学生では大麻が第1位
さらに、薬物事犯少年の中から、中高生、大学生、各種学校学生をとりだしてみると、この傾向は、ますます明瞭に浮かび上がってきます。
下のグラフは、『少年非行等の概要(平成21年1~12月)』27ページに掲載された「覚せい剤乱用少年の学職別送致人員」「大麻乱用少年の学職別送致人員」のデータに基づいて、中高生、大学生、各種学校学生の状況をグラフに表したもので、データの抽出とグラフ作成は私が行いました。
このグラフでとくに注目していただきたいのが、高校生です。高校生の薬物事犯は全体に減少していますが、そのなかで、大麻事犯だけは増加傾向を示しています。2007年以降の3年間では、覚せい剤事犯より大麻事犯のほうが多い状態が続いており、現在では、大麻が高校生にとって乱用第1位の薬物になっています。
ただし、大麻事犯として送致される高校生の人数は、〔2007年〕28人、〔2008年〕48人、〔2009年〕34人とそれほど多いものではありません。
[出典]警察庁生活安全局少年課「少年非行等の概要(平成21年1~12月)」27頁
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/syonenhikou_h21.pdf

画像

↑覚せい剤事犯の学生・生徒(2000年~2009年)

画像

↑大麻事犯の学生・生徒(2000年~2009年)

●覚せい剤減少の裏側で
高校生にとって大麻が乱用第1位の薬物になってきたという傾向は、たしかに警戒すべき点です。とはいえ、その増加は、今のところ比較的ゆるやかなものです。それよりもっと大切なのが、高校生の覚せい剤乱用が急速に減少しているという事実ではないでしょうか。
西欧諸国で盛んに行われている中高生の薬物乱用実態調査でも、全般的に近年では、少年の薬物乱用は減少傾向を示しており、とくにコカインやヘロインといった作用の強い薬物では明らかな減少がみられます。
しかし、それと対応するかのように、処方薬や脱法ドラッグの乱用が増加し、とくに少年での乱用拡大が問題になっていることを忘れてはならないでしょう。わが国でも、同じような傾向が見え隠れしています。
薬物乱用は、時代とともにそのスタイルを変えながら、様々な形で少年を取り巻き、脅かしているのです。



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この記事へのコメント

シンジケート
2010年02月20日 16:34
そんなの簡単ですよ。
いまの若い子達は不安で怯えてるのです。
体に害のあるドラッグよりも体に優しいドラッグを求めるのは自明です。
これはインターネットによる正しい情報のせいでしょう。
だからタバコも酒も嫌だけど大麻なら大丈夫という人が多い。
緊張状態が続く世の中で、みんながリラックスを求めてるのでしょう。
世界を旅すればわかることです。
ブリー
2010年02月20日 22:32
今の若い子は ネットなどで調べて情報通なんですね。
ダメ 絶対! とか言っても ちゃんとコントロールできると思って ハマっていくんでしょうか?

薬物以外の楽しみ リラックスする方法 見つけてほしいですね。

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