2009年薬物事件の概況

2009年の犯罪統計がようやく出揃いました。警察庁は、『犯罪統計資料』として、主な犯罪の罪種ごとの検挙件数、検挙人員などを毎月発表していますが、昨年12月分の数字がようやく発表されて、2009年の年間統計が出揃いました。薬物事犯の検挙状況は、PDF版の39頁め「第8表 特別法犯 主要法令別 送致件数・人員 対前年比較」のなかにあります。
この統計は、刑法犯を中心としたものですが、主な特別法犯の数字も同時に発表されていて、薬物事犯の検挙状況をおおまかに把握することができます。
薬物犯罪に関して詳しい状況や分析を加えた資料が、『平成21年の薬物・銃器情勢』として、まもなく発表されることになりますが(昨年は2月下旬に発表)、とりあえず、犯罪統計資料に基づいて、おおまかな傾向を見ておくことにしましょう。
[参照]警察庁>捜査活動に関する統計等>犯罪統計資料
http://www.npa.go.jp/toukei/keiji35/hanzai200901-12.html

●薬物犯罪は引き続き安定基調
近年、薬物犯罪は大幅に沈静化していますが、2009年もこの傾向が大きく変わることはなかったようです。検挙人員でみると
・覚せい剤事犯は、昨年と比べて500人ほど増加しましたが、長期的な減少傾向に変化が生じたというわけではなさそうです。
・大麻事犯は、依然としてゆるやかな増加傾向を示しています。
・毒劇(シンナー)事犯は減少し続けています。
・麻薬事犯は減少。

下のグラフは、過去の薬物・銃器情勢で公表されている数字に、『犯罪統計資料』として発表された数字を加えて、私が作成したものです。データの最初を平成13年にしているのは、この年から、覚せい剤事犯が顕著な減少に転じたからで、減少期に入ってからの推移をわかりやすく示しました。
画像

↑数字は警察庁発表の次の各資料より『平成20年の薬物・銃器情勢』『平成17年の薬物・銃器情勢』『犯罪統計資料』

●犯罪全体が減っている
『犯罪統計資料』は窃盗や傷害、殺人などの刑法犯を中心にした統計資料です。PDF版の冒頭には、主な刑法犯の認知件数や検挙件数などの状況がグラフで示されていますが、刑法犯のほぼ全般で、認知件数、検挙件数とも数年来、減少傾向にあることが一目でおわかりいただけるでしょう。
私は、日々の仕事を通じて、近年、犯罪が目立って減少しているのを感じています。私は、マクロな状況を常に把握しておきたくて、今でも一定数の国選事件を受任し、弁護士会の公的活動である当番弁護士にも参加しています。国選事件を受任する際には、当日配点予定の事件の中から、自分の日程等に合う事件を選ぶのですが、そもそも、回ってくる事件が少ない状態が続いているのです。当番の出動も目だって減っています。
日本はいま、幸いなことに、犯罪の少ない社会を実現することができています。不況、失業、ぱっとしない社会でも、犯罪の不安が少ない社会で暮らしていられるのは幸いです。

さて、薬物犯罪も安定傾向にある今、腰を落ち着けて、長期的な問題整理でもやっておくとしましょうか。

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