MDMA急性中毒|薬物による中毒死3

錠剤タイプの薬物MDMA、その外見から「無害なもの」と思いやすいのですが、外国では多数の死亡事故が報告されています。

●摂取方法と持続時間 
75~150mgのMDMAを経口摂取すると30分~1時間ほどで精神変容が起こり、それが4~6時間程度持続するとされます[1]。また、MDMAの経口摂取後約2~3時間で、血中最大濃度に到達するという報告があります[2]。

●薬理作用と健康影響
MDMAは脳内でドパミン神経系やセロトニン神経系に作用します。MDMAを摂取後、使用者は気分の高揚を経験し、また自信や感覚的鋭敏性の増加、洞察・共感・親密感を伴う平穏な感情、食欲の低下を経験すると報告されています[3]。
さらに、MDMA使用による不快反応、精神異常発現効果、精神病状態も報告されています。頻脈、動悸、血圧上昇、発汗、歯ぎしりなどの交感神経作用がよくみられます[4]。
MDMAを使用した後、睡眠障害、気分の障害、不安障害、衝動性の亢進、記憶障害、注意集中困難などが長期にわたって続くことがあるとされます。

●大量使用と致死的な影響
また、MDMAの大量摂取は、ときに急激な体温上昇をもたらすことがあり、これによって引き起こされた肝臓、腎臓、心臓血管の障害は致死的な結果を招くことがあります[5]。
MDMAは覚せい剤(メタンフェタミン)とよく似た性質をもっており、覚せい剤と同じく、交感神経刺激作用によって体温や血圧が急激に上昇したり、心悸が亢進し、脳出血、心筋梗塞や心停止、高熱による臓器不全などを引き起こすことがあります。詳しくは、前回の記事を参照してください。

●ダンスとMDMA
MDMAには、体温を上昇させ、血圧をあげる作用があり、これを摂取して激しいダンスを長時間続けることで、熱中症状態になりやすく、外国では、高体温による死亡例も多数あります。アルコールと併用すると、危険性はさらに高まります。
その予防のため、水分を補給することが有効だとされますが、ところが、水分の取りすぎによる危険もあるとされます。オーバー・ヒートした体が水分を要求し、水を飲みすぎて低ナトリウム血症を起こすことがあるというのです[6] 。

出典
[1]井上堯子「薬物乱用の化学」69頁、東京化学同人、2003
[2]M Shannon, Pediatr Emerg Care 2000; 16:377
[3]NIDA,”MDMA ABUSE” Research Report http://www.drugabuse.gov/ResearchReports/MDMA/MDMA2.html
[4]井上令一ほか監「カプラン臨床精神医学テキスト第2版」460頁,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2004 
[5]NIDA,”Ecstasy” InfoFcts   http://www.drugabuse.gov/Infofacts/ecstasy.html
[6]主にNIDA,”MDMA ABUSE” Research Reportを参考にしました。

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