薬物サイトであおり、そそのかし事件の続報

5月26日の朝日新聞夕刊に、麻薬等特例法違反(あおり、そそのかし)のほう助罪で全国で始めて逮捕・起訴された掲示板運営者の公判が、千葉地裁で開始されたことを伝える記事がありました。
この事件は、インターネット上で違法薬物の使用をうながす掲示板「♂SP♀ BBS」を運営。投稿者が不特定多数の閲覧者に薬物犯罪を助長していることを知りながら、手助けした疑いで、掲示板運営者が逮捕されたニュースの続報です。
《逮捕の記事から抜粋》
●薬物犯罪を幇助の疑い 違法薬物サイトの運営者を逮捕
違法薬物サイトを運営して覚せい剤の譲り渡しや使用を手助けしたとして、千葉県警は無職容疑者を麻薬特例法違反(あおり、そそのかし)の幇助(ほうじょ)容疑で逮捕した。同法違反の幇助で違法薬物サイトの運営者を逮捕したのは全国初という。
千葉県警薬物銃器対策課によると、容疑者は、インターネット上で違法薬物の使用をうながす掲示板を運営。投稿者が不特定多数の閲覧者に薬物犯罪を助長していることを知りながら、手助けした疑いが持たれている。容疑者は 「あおった認識はない」と容疑を一部否認している。
サイトでは覚せい剤をえさに性行為を求める書きこみが連なり、昨年11月8日から今年2月12日までに、アクセス数は約11万3千件に上っている。
2009年3月6日asahi.com
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200903060003.html

あおり又は唆し(そそのかし)に関する規定は、麻薬等特例法第9条にあります。この法律の正式な名前は、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年十月五日法律第九十四号)。
(あおり又は唆し)
第九条  薬物犯罪(前条及びこの条の罪を除く。)、第六条の罪若しくは第七条の罪を実行すること又は規制薬物を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

つまり、薬物犯罪等を実行すること、または規制薬物を乱用することをあおり、そそのかす行為を禁止し、違反した者に懲役刑(または罰金)を科すと定めているのがこの規定です。覚せい剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法には、広告を規制する規定がありますが、そこでは「広告」という限定があり、また薬物ごとに適用される法令が異なるなどの制約があるのに比べ、麻薬等特例法の規定は、対象とする行為を「あおり又はそそのかし」と幅広くとらえているのが特徴です。
しかし、「あおり」「そそのかし」といった抽象的な概念で人の行為を規制しようとすれば、どうしても、憲法が保証する表現の自由との衝突の問題が浮かび上がってきます。そのため、こうした規定の適用は、常に慎重に検討されてきました。今回の初適用にも注目が寄せられています。

さて、危惧される表現の自由との衝突について、法律書には次のような解説があります。
「『あおり、唆し』とは、薬物犯罪を実行すること、あるいは、規制薬物を乱用する意思を生じさせるような、又は既に生じている決意を助長させるような刺激を与える行為を指す。(略)単に一定の薬物の無害性を主張し、その規制廃止を求めるにとどまる限りでは、本罪には該当しない。」(古田祐紀ら編「麻薬等特例法」51 頁『大コンメンタールⅠ薬物五法』青林書院1996)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 5

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
かわいい

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック