早大で薬物の意識調査|大学生と薬物のニュースから

日経の夕刊に小さな記事を見つけて、ネットで検索してみたら、共同通信のニュースがありました。
●早大生の半数が「薬物入手可能」 意識調査で
昨年、大麻草を栽培したなどとして学生が逮捕された早稲田大(東京)が行った学生の意識調査で、大麻などの違法薬物について、36%が「なんとか手に入る」、17%が「簡単に手に入る」と、半数以上が入手可能と回答していたことが17日、分かった。
周囲に違法薬物を所持、もしくは使用した人がいると答えた学生も10%おり、6%が違法薬物を勧められたことがあると答えた。
早稲田大は「薬物に想像以上に接近しやすいことを学生も認識している」と危機感を強め、学内誌や講習会などで防止対策を取るとしている。

調査は昨年12月-今年1月に全学生を対象にインターネットで実施。約9%に当たる約4700人から回答があった。
違法薬物について、94%が「中毒になる危険性がある」、95%が「犯罪に巻き込まれる危険性がある」と答え、ほとんどの学生が危険性は認識していた。一方、入手しようとした場合、どの程度難しいかを聞いたところ、「不可能」が27%だったのに対し、「手に入る」は半数を超えた。
2009/03/17 12:21 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009031701000321.html

大学らしい対応策がぼつぼつ出てきましたね。早稲田大学の行った調査では、回答数が4700と、十分に意味のある数字が得られたようです。

まず、使用実態について。日本では麻薬、大麻、覚せい剤などに関する罰則が非常に重いため、直接的に使用実態に関する質問をすることは、回答者を警戒させ、調査の成果を損なうおそれがあるため、「周囲に薬物を所持したり使用している人がいるか」という質問をすることが多くなっています。ここでも、そうした質問が採用されたようです。
周囲に違法薬物を所持、もしくは使用した人がいると答えた学生が10%。私の手元にある日経新聞夕刊にはもう少し詳しい報告が載っており、学部生男子で9.4%、女子が11.1%、大学院生男子8.3%、女子11.9%となっています。大学という比較的狭い範囲で行われた調査であることから、複数の回答者が同一人を思い浮かべて「いる」と答えた可能性もあるため、この数字をそのまま乱用者数に置き換えることはできないでしょう。
このような質問を使って日本の覚せい剤乱用者の推計値を算出した例として、田村義保氏による一連の「覚せい剤乱用者総数把握のための調査研究」があります。1999年から2004年にわたって、全国の20歳以上の男女にアンケート調査を実施し、その回答を分析したものですが、乱用者を知っていると答えた人の割合は2.4%(第2回調査)でした。
早稲田大学の場合は、東京の大学生を対象にした調査ですから、年齢的にも、地域からいっても、薬物乱用の中心層に最も近い人たちに絞り込んだ調査になっているわけです。全国の20歳以上を対象とした調査と比べて、はるかに高い数字がでるのは、むしろ当然だと思います。

次に、入手可能性に関して。入手は不可能としたのが27%に対して、なんとか手に入る(36%)、簡単に手に入る(17%)と入手可能とする回答の合計は53%。東京に暮らして、TVを見ているだけで、薬物密売人が出没するエリアについて、何となくわかってしまうのが現状でしょう。東京だけではありません。大都市の繁華街には、夜ごと外国人密売人が集まるエリアがあり、薬物が売買されているのです。でも、こうしたエリアを歩く若者の多くは、実際に薬物を買うことなく通り過ぎているのも事実です。

最後に、薬物に対する拒否感について。94%が「中毒になる危険性がある」、95%が「犯罪に巻き込まれる危険性がある」と答え、ほとんどの学生が危険性は認識していたという記事に、安堵された方も多いでしょう。でも、日経新聞の記事は、「『気持ちよくなれる』が26.1%、『ストレス解消』も14.8%あった。」と伝えています。

若者と薬物乱用の意識調査として広く知られているのが、アメリカのモニタリング・ザ・フューチャー調査です。日本の中高生に当たる第8学年、10学年、12学年を対象に、薬物の使用実態や入手可能性、危険意識、拒否意識などについてのアンケートを行い、1975年から毎年の調査結果が公表されています。その結果と見比べてみれば、まだまだ日本の若者は、薬物に対する警戒心を比較的強く持ってくれているという気はします。
Monitoring the Future Overview of Key Findings 2007
http://www.monitoringthefuture.org/pubs/monographs/overview2007.pdf

しかし、早大の調査結果には、私の予想をやや上回っている数字もあり、気がかりなところです。今回の調査をされた皆様、この調査の結果分析の公表を期待しています。

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    Excerpt: 周囲に違法薬物を持っていたり使っていたりする人がいると答えた学生は1割――。早稲田大(東京都新宿区)が17日発表した全学生対象の大麻など違法薬物についての意識調査で、こんな結果が明らかになった。入手方.. Weblog: 情報と意見交換の場 racked: 2009-03-18 04:50