弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 薬物取締法規と広告の禁止

<<   作成日時 : 2008/11/05 23:34   >>

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●覚せい剤取締法違反:サイト掲示板に薬物の密売広告 容疑の男を再逮捕
携帯電話サイトの掲示板に薬物の密売広告を掲載させたとして、警視庁組織犯罪対策5課と八王子署は4日、神奈川県綾瀬市吉岡東、無職の被告=大麻取締法違反(所持)罪で起訴=を覚せい剤取締法違反(広告制限違反)容疑で再逮捕したと発表した。広告制限違反の摘発は警視庁では初めて。
調べでは、容疑者は2〜5月、携帯サイト「薬物売買掲示板」に「白の透明SS SS結晶、上質、こだわりぬいた品物です、氷氷氷」と覚せい剤の密売をほのめかす広告を掲載させた疑い。容疑を認めている。
広告は元暴力団員の男=覚せい剤取締法違反罪で起訴=が作成。男は覚せい剤約180グラムを密売し、約750万円の利益を上げていた。
毎日新聞 2008年11月5日〔多摩版〕より
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20081105ddlk13040351000c.html

覚せい剤取締法、大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法には、それぞれ、一般向けの広告を禁止する規定があり、違反者に対する罰則を定めています。覚せい剤取締法では第20条の2、麻薬及び向精神薬取締法では第29条の2、大麻取締法では第4条第1項の4がこれにあたり、次のようなものです。
「麻薬に関する広告は、何人も、医事若しくは薬事又は自然科学に関する記事を掲載する医薬関係者等(医薬関係者又は自然科学に関する研究に従事する者をいう。以下この条において同じ。)向けの新聞又は雑誌により行う場合その他主として医薬関係者等を対象として行う場合のほか、行つてはならない。(麻薬及び向精神薬取締法第29条の2)」

この規定は、わが国が国連の向精神薬に関する条約の批准に備えるため、平成2年に麻薬取締法等の一部を改正する法律(平成2年6月19日法律第33号)によって設けられたもので、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、覚せい剤取締法にそれぞれ一般向けの広告を禁止する条項が加えられ、またその違反に対する罰則が定められました。
ここでいう広告とは、販売等の営業活動に伴い顧客を引き寄せるために商品やサービスについて多くの人に知られるようにするものをいい(古田祐紀ほか「麻薬及び向精神薬取締法」120 頁『大コンメンタールT薬物五法』青林書院、1996年)、インターネットの無料掲示板も、広告に当たるわけです。従来から、インターネットの掲示板を利用して顧客を勧誘する行為は、「インターネットの無料掲示板に覚せい剤を密売する旨の広告を掲載して注文を受け、多数の者に対し、覚せい剤を有償で譲り渡し」といった形で、営利目的での密売行為の一環としてとらえられてきました。しかし、広告禁止規定に対する違反を立件した例はほとんどなく、裁判例もみあたりません。

この規定がこれまでほとんど使われなかった背景には、広告規制と、憲法が保障する表現の自由との関係があるように思います。広告の規制は、薬物乱用の拡大を阻止して、公共の福祉をはかるために設けられた規定です。公共の福祉による表現の自由の制限・・・、果てしない議論を呼び起こしそうなテーマです。適用には、慎重にならざるを得ないでしょう。
大麻取締法に関する注釈書には、次のような記載があります。
「広告について規制しようとすると、表現の自由との関係が問題となる。本号が、広告の内容による規制の形をとらず、広告の手段や対象を規制する形をとっているのも、そのためではないかと考えられる。(略)広告の内容は様々であり、国家が個々の広告の内容を審査してその適否を判断することは、表現の自由に対する規制として適切なものではない。(植村立郎「大麻取締法」30頁、平野龍一ほか編『注解特別刑法第5−U巻 医事・薬事法⑵』青林書院、1992年)」

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