弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 日本の薬物政策の歴史4―旧麻薬取締規則の内容

<<   作成日時 : 2008/10/15 21:45   >>

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1930年(昭和5年)、第二阿片会議条約に沿った国内法を整備するため、麻薬取締規則(昭和5年5月19日内務省令第17号)が公布されます。旧麻薬取締規則の内容をみていきましょう。

まず、この規則で麻薬として規制対象となっているのは次のとおりです。規制対象は、@あへんアルカロイド系麻薬とその原料となるモルヒネなど、Aコカ葉、コカインとその原料となるエクゴニンなど、B印度大麻草の3系統を「麻薬」として規制対象としています。
1 モルヒネ、ヂアセチルモルヒネ及びコカイン並びにその各塩類
2 粗製モルヒネ、コカ葉及び粗製コカイン
3 エクゴニン及びエクゴニン誘導体並びにその各塩類
4 モルヒネ誘導体及びその塩類(コデイン、ヂヒドロコデイン並にその各塩類を除く)
5 千分中二分以上の「モルヒネ若しくは「モルヒネ誘導体「コデイン及ヂヒドロコデイン」を除く)、千分中一分以上の「コカイン、エクゴニン若しくは「エクゴニン誘導体又は「ヂアセチルモルヒネ」を検出するもの
6 印度大麻草、その樹脂及びこれを含有するもの
7 内務大臣において指定するもの

この規則には、3つの柱があります。まず、製造についての規制で、第2条から8条がこれにあたります。麻薬の製造には許可または届出が必要で、前記の規制対象の1〜3については、麻薬を製造する者は内務大臣の許可を受け、また毎年の製造計画について事前に許可を受けなければならず、4〜7については届出をするよう定めています。さらに、麻薬を製造した者には年1回の実績届出を科しています。第5、6条はコカ樹栽培についての規制。

2つめの柱が輸出入・移出入についての規制で、第9条から15条がこれにあたります。ここで輸入とともに「移入」という記載があるのは、当時、日本が統治していた地域があることによるものだと思います。麻薬の輸出入には、すべて許可が必要とされています。

3つめの柱が、麻薬を取り扱う薬品営業者の管理に関する規制。麻薬を小分け販売する際には販売者の名称、住所、日付などを明記すること、医師などに譲り渡す際には相手から医師であることの証明書を受け取り5年間保存すること、麻薬の販売について帳簿を備えることなどが規定されています。
第20〜26条は罰則と雑則にあたる内容です。許可を受けずに麻薬を製造し、あるいはコカ樹を栽培した者、許可を受けずに麻薬を輸出入(移出入)した者は3月以下の懲役。製造や輸出入の届出などの違反、および薬品営業者に科された義務の違反に対しては3月以下の懲役または100円以下の罰金。事後の報告を怠ったり検査や巡視を拒んだ者に対しては100円以下の罰金または拘留若しくは科料。

この規則は、第二阿片会議条約に沿って制定されたもので、麻薬の国際的な流通規制を主な目的としているため、輸入・移入に関する規定が規則の中核をなしています。ここでは、医療上の必要があって麻薬を取り扱う医師や、麻薬の投与を受ける患者に対する規制や管理は見当たらず、当然ながら、末端の使用者が麻薬を乱用することに対する禁止や処罰は設けられていません。
その後、昭和21年に新たな麻薬取締規則が制定される際には、麻薬の施用を禁止する内容が盛り込まれるのですが、その源流は、この旧麻薬取締規則ではないようです。私は、麻薬の施用罪にこだわって、日本の薬物規制法令をさかのぼってきましたが、いよいよ、その起源がわからなくなってしまいました。
もしかすると、戦時下の台湾で制定された台湾阿片令を調べてみる必要があるのかもしれません。

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