20世紀初頭の世界のあへん生産―薬物と戦った100年 その7

国連薬物犯罪局(UNODC)編『2008年版世界薬物報告書』の第2章「国際的な薬物管理の1世紀」という特集を読みながら、国際協力による薬物コントロールについて考えます。
出典:国連薬物犯罪局(UNODC)編『2008年版世界薬物報告書』
http://www.unodc.org/unodc/en/data-and-analysis/WDR-2008.html

1909年、世界の麻薬問題について議論する最初の国際会議が上海で召集され、国際的な連携による麻薬統制が開始されました。
当初、議題をアジアの状況に限定することとしたが、すべての主要な生産、製造、および消費国の出席なしでは適切な議論ができないという意見が多く、最終的には、当時の植民地を支配していた政府の多数が参加することとなり、英国、米国、フランス、オランダ、ポルトガル、ドイツ、オーストリア-ハンガリー、イタリア、ロシア、日本、中国、ペルシア(イラン)、およびシャム(タイ)など13カ国からの代表団が出席しました。
出席した各代表団は、拘束力のある国際条約を締結するのではなく、それぞれの政府に対して勧告をするという権限しか与えられていないという、変則的なものでした。しかし、国際会議の開催は、その準備段階で、はやくも各地域でのあへん生産の削減をもたらしました。各国政府が国際会議への準備として、自国内でのあへん規制に着手したのです。

『2008年版世界薬物報告書』180ページから引用します。
「この委員会においてもっとも重要な結論は、中国と英国の2国間の合意で、英国は1908年1月から1917年末の間に中国に対するあへん販売を終了させるというものであった。中国は、その見返りとして、同じ10年間の期間内にけし栽培を排除することを約束しなければならなかった。この合意において、英国は年間10%ずつ中国に対する輸出を削減し、中国は同じ割合で国内でのけし栽培を削減するとした。報告されない国内での栽培によって枠組みが脅かされないよう、合意の実施の3年後から、英国の当局に特権が付与された。英国本国政府に任命された査察官が、中国国内で無制限な立ち入り権を与えられた。イギリスの権限に重大さを示すために、中国政府は主要な反薬物運動を開始した。このあへん抑圧運動は後に「満州改革のなかで最もうまくいった」と評された。また、中国当局は1906年に布告を出し、あへんを完全に禁止してはいないが、来るべき10年間にあへんの生産と消費の双方を削減する明確な過程を示した。
かくして、1909年に上海で初の薬物会議に招集された各代表団は、あへん問題を削減させる主要な成功例を報告することができたのである。中国の代表団は、国内のあへん生産が1906年の35,400トンから1908年の35400トンと37%の大幅減少したと報告した。上海会議の後、この過程はさらに顕著になり、帝政が崩壊した1911年には82%の削減となった。これと平行して、フォルモサ(台湾)、フランス領インドシナ、シャム(タイ)、ビルマ(ミャンマー)、およびフィリピンなど多くの国と地域が、1909年に先立って、あへん輸入と販売を大きく削減したと報告し、あへんに関する国際会議に向けた準備が、多くの国で当局を警戒させたことを示唆した。」

この委員会の意義として、初めて薬物問題の世界的な規模での外観が整理され、あへん市場に関する貿易、消費、財政的側面などの情報が共有されたことがあげられます。1906年/07年でのあへんの総生産量は41600トン前後と推定されていますが、これは100年後に当たる現在の世界のあへん生産量の5倍以上にあたるものです。
画像

グラフは『2008年版世界薬物報告書』180ページから

当時、世界最大のあへん生産国は中国。1906年では、世界総生産量の85%に当たる35000トンが生産されていました。第2のあへん生産国はインドで、ベンガル地方での総生産量は1906年6月で3400トン。ベンガル地方だけでも約150万人の農民があへん生産で生計を立てていました。次いで生産量が大きいのはペルシャ(今日のイラン)で、年間生産量は600トン前後、世界全体の1.5%と推定されています。
今日では最大のあへん生産地であるアフガニスタンにおけるあへん生産は、上海会議で討議されませんでした。これは、当時の情報によれば、この国でのあへん生産は比較的少なく、国の北東部に限られ、輸出用ではなかったことを反映しています。

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