乱用の拡大と薬物の価格

アメリカのハイスクール在学生の大麻使用のまとめ。
Monitoring the Future Study の2006年調査によると、マリファナの使用は、第8学年(中2)では11.7%、第10学年(高1)では25.2%、第12学年(高3)では31.5%でした。

これまで、The Netherlands National Drug Monitor Annual Reportによるオランダの学校調査、アメリカのMonitoring the Future Studyによる調査と、少年の薬物使用の実態をみてきましたが、その結果は、日本で行われている調査結果とは、大きく違うものです。
もちろん、こうした調査は、それぞれ調査方法が違うため、単純に比較することはできませんが、おおむね、日本の少年たちは、アメリカやヨーロッパと比べて、それほど薬物に染まっていないと考えることができるでしょう。成人に関しても、ほぼ同じ傾向が認められます。

ところで、なぜ日本だけが、薬物に関して比較的安全なのか。私は折に触れて、このことを考え続けています。理由のひとつとして、現在、私が関心を持っているのが、規制薬物の末端価格です。

覚せい剤の場合を考えてみましょう。第三次麻薬・覚せい剤乱用期をもたらした背景に、覚せい剤価格の急速な低廉化があげられます。北朝鮮などから船舶で密輸される覚せい剤が急増し、平成9年ころには、1グラム2万円を割り込む状態になり、末端で青少年に密売される少量の包みは、4,000~5,000円のものが中心になっていました。
価格の安さは、もたらされる量の多さと、それを使う人の多さを反映しています。平成9年ころには、覚せい剤取締法違反の検挙人員がおよそ2万人という状況が続きました。この時期、覚せい剤での検挙者の半分以上が29歳以下の若者でした。
その後、平成13年以降、覚せい剤の末端価格はじりじりと上昇を続けています。北朝鮮を仕出地とする海上の密輸ルートが壊滅し、わが国に流入する覚せい剤の量が減ったといわれています。これと歩調を合わせて、覚せい剤での検挙人員も減少し、平成18年は約1万2千人。価格の高騰と品不足で、乱用者が減ったのです。
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法務総合研究所編「平成19年版犯罪白書」115ページ

薬物の価格が下がれば、乱用者は増える。そして、新たに手を染める乱用者の中心は10代から20代の青少年。あらゆる薬物で、この連鎖が起きていると思います。

では、アメリカと日本で、10代での大麻使用に大きな差が認められるように、大麻の末端価格に大きな差があるのか。明日は、この点を確認してみましょう。

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