弁護士小森榮の薬物問題ノート

アクセスカウンタ

zoom RSS 近日デパス、アモバンが向精神薬に指定される見込み

<<   作成日時 : 2016/09/12 16:29   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

この数か月療養生活を送っていた私は、世間の流れに疎くなっていましたが、先日、当サイトの読者から質問を受けたことから、デパス等を向精神薬に指定する手続きが進んでいることに気付きました。

今回、新たに向精神薬に追加される予定は、つぎの3物質です。
@ゾピクロン(製品名アモバン等)
Aエチゾラム(製品名デパス等)
Bフェナゼパム(日本では未承認)

すでにパブリックコメントによる意見公募が締め切られ、現在は、政令の公布を待つ段階に来ています。予定では、9月中に政令を公布し、周知期間を経た後、10月から向精神薬としての規制が施行されることになっています(下記参照@)。

遡って調べてみると、今年3月8日に開催された「依存性薬物検討会」において、これら3物質について向精神薬指定相当との結論を得て、準備が進められてきたということですが、同委員会の議事録は公開されておらず、医療関係者向けの情報が出たにとどまっています。

<向精神薬として規制される対象>
@(RS)―6―(5―クロロピリジン―2―イル)―7―オキソ―6,7―ジヒドロ―5H―ピロロ[3,4―b]ピラジン―5―イル=4―メチルピペラジン―1―カルボキシラート 【別 名】ゾピクロン
睡眠薬として広く処方されています。日本での商品名はアモバン、ジェネリック医薬品も数種類販売されています。今回の規制では、ゾピクロンの鏡像異性体であるSゾピクロン(商品名ルネスタ)も同時に向精神薬として指定されるということになっています。

A4―(2―クロロフェニル)―2―エチル―9―メチル―6H―チエノ[3,2―f][1,2,4]トリアゾロ[4,3―a][1,4]ジアゼピン 【別 名】エチゾラム
抗不安薬として幅広く使われています。日本での商品名はデパス、ジェネリック医薬品も多数販売されています。
エチゾラムの適用症は、神経症やうつ病による不安、緊張、抑うつ、睡眠障害から、頸椎や腰の痛み、筋収縮性頭痛など、日本では多様な症状に広く処方されています。

B7―ブロモ―5―(2―クロロフェニル)―1,3―ジヒドロ―2H―1,4―ベンゾジアゼピン―2―オン
成分の一般名はフェナゼパム、日本で承認された医薬品はありません。ソビエト時代のロシアで医薬品として開発され、現在もロシアや東欧で製造・使用されています。近年、ヨーロッパなどで娯楽目的の乱用が広まり、英国は2012年6月にクラスC薬物に追加して規制対象としました。
なお、本年3月、国連麻薬委員会において、フェナゼパムを向精神薬条約の附表Wに追加することが決議されているので、今回の指定は、この追加に対応して、国内での規制を行うためのものです。

●改正にともなう公報の徹底を
これまで、処方薬問題が話題になるたびに、デパスやアモバンの名が取りざたされてきましたが、この情報に接して「ようやく」と感じておられる方も多いでしょう。麻薬や向精神薬については、譲り渡しや個人輸入などが厳しく規制されていますが、その指定を受けていないものについては、直接取り締まることが難しく、「野放し」という声を聞くこともありました。

しかし問題は、長年にわたって取り締まりの圏外に置かれてきたことから、漫然と個人輸入を繰り返してきたユーザーが少なくないという事実です。今回、デパスやアモバンが向精神薬に追加されることで、これらの個人輸入は、麻薬及び向精神薬取締法違反として厳しく摘発されるということを、一般人に対して広く周知徹底することが望まれます。

2015年春、関税法の改正によって、それまで摘発の対象になっていなかった指定薬物に対する税関の取り扱いが変更されましたが、その結果、続々と摘発されたのは、「ラッシュ」を海外の販売サイトから個人輸入した人たちでした。指定薬物の個人輸入については、長年にわたって、事実上、税関での摘発対象となっていなかったことから、個人輸入を繰り返してきた人が多く、関税法の改正によって摘発の対象になることを十分に認識しないまま、改正後も、漫然と輸入を続けた人たちが、実に多かったのです。

適切な規制を行うことは、重要な乱用対策です。しかし、長年にわたり、事実上「お構いなし」のまま推移してきた領域については、十分な公報を行い、個人輸入や譲渡が違反行為として取り締まりの対象となることについて、一般人に対してしっかり周知徹底しなければなりません。
法令の改正によって、違反者として摘発される人たちがむやみに増えることは、決して望ましいことだとは思えません。
画像

↑向精神薬事犯の推移・厚労省サイト(下記参照A)より

<向精神薬に関する主な違反>
●向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、小分け
 単純犯・・・5年以下の懲役
 営利犯・・・7年以下の懲役(2百万円以下の罰金併科あり)
 (麻薬及び向精神薬取締法66条の3)
●向精神薬の譲り渡し、譲渡目的所持
 単純犯・・・3年以下の懲役
 営利犯・・・5年以下の懲役(百万円以下の罰金併科あり)
 (麻薬及び向精神薬取締法66条の4)

[参照]
@パブリックコメントのために公開された情報
「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令」(案)及び「麻薬及び向精神薬取締法施行規則の一部を改正する省令」(案)に関する意見募集について」案の公示は2016年7月19日
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160131&Mode=1
A向精神薬事犯の推移
厚労省サイト内「不正麻薬の取締り」より
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/gyousei-gaikyo/dl/torishimari_h25-04.pdf

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
近日デパス、アモバンが向精神薬に指定される見込み 弁護士小森榮の薬物問題ノート/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる