弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 覚せい剤<自白事件>のQ&A

<<   作成日時 : 2016/05/13 06:49   >>

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K元選手の覚せい剤事件の第1回公判が近づいてきて、今度の公判での注目点などについて、そろそろ、問い合わせが寄せられるようになりました。
Kさんは、当初から覚せい剤の所持や使用について認め、反省の態度を表していると伝えられています。

このように、被告人が、起訴された犯罪事実を認めている事件を「自白事件」と呼び、犯罪事実について争いのある事件を「否認事件」と呼びます。実際の裁判では、審理される事件のほとんどが自白事件で、2014年では、全国の地方裁判所で審理された刑事事件の89%までが自白事件でした(平成26年度版司法統計年報・刑事編)。
しかし、自白事件では、被告人が犯罪を行ったことを認めているので、裁判の展開が注目を集めることが少なく、ともすれば、裁判の流れが形式的なものに思われるかもしれません。
覚せい剤<自白事件>の裁判について、要点をまとめてみましょう。

Q1 
覚せい剤の単純所持や使用、譲り受けといった事件で、被告人が犯罪事実を認めている場合、公判はどのように進行するのですか?
A1 
東京地方裁判所では、こうした事件では、たいてい、第1回公判で1時間程度の時間をかけて審理を終えて結審し、次回の期日で判決が言い渡されます。第1回公判の最後に、判決宣告の期日が決められますが、一般に、結審後1週間ほどです。
罪状が多岐にわたる場合や、被告人質問や情状証人の証言に時間がかかる場合など、第1回公判で結審せず、続行期日が開かれることもあります。

Q2 
公判では、どんな審理が行われるのですか?
A2 
第1回公判は、次のような流れで行われます。
■冒頭手続
これから誰のどのような行為について裁判をするのかが明らかにされます。
・人定質問
・起訴状朗読
・黙秘権の告知
・罪状認否
■検察官、弁護人の立証活動
検察官は被告人が有罪であることを証明するために、様々な証拠を用意し、証拠の取り調べを求めます。いっぽう、弁護人は、被告人側に立って書証や人証といった証拠を用意し、取り調べを求めます。自白事件では、弁護人は主に、被告人にとって有利な事情(情状)の立証に重点を置くことになります。
・冒頭陳述
・検察官の証拠調べ講求(検察官請求証拠に対する弁護人の意見は、同意となるのが普通です。)
・同意のあった検察官提出の証拠の取り調べ
以上が検察官立証段階です。以下は、被告人側の立証となります。
・弁護人の証拠調べ請求(これに対する検察官の意見も同意となるのが普通です。)
・同意のあった弁護人提出の証拠の取り調べ

■情状証人(通常の事件では、1人あたり15分程度)
■被告人質問(通常の事件では15分程度)
■検察官の論告・求刑
検察宮は、まとめとして起訴状記載の事実、冒頭陳述で述べた事実が証拠により充分に立証されたと主張します。これが「論告」です。
さらに検察官は、例えば「被告人を懲役2年に処するのを相当と思料します」というように検察官自身が適当と考える刑罰を明らかにします。これが「求刑」です。
■弁護人の最終弁論
弁護人は、証拠調べの結果を踏まえ、まとめを弁論というかたちで主張します。
■被告人の意見陳述
裁判官が最後に被告人に言いたいことがあれば言うように促し、被告人に話す機会が与えられます。「二度と覚せい剤には手を出しません」などと述べるのが普通です。

Q3 
冒頭手続で、なぜ「起訴状」を朗読するのですか?
A3 
検察官が「起訴状」を読み上げ、この裁判で、どのような行為について審判が行われるのかを明らかにします。「起訴状」には、被告人がいつ、どこで、どんなことを行い、それがどのような刑罰法規に触れるかということについて、検察官の主張が記載されています。
報道によると、Kさんは以下の内容で起訴されているということです。
・3月2日、東京都港区内の自宅で覚せい剤〇〇グラムを所持した
・2月1日ごろ、東京都港区内にあるホテル客室で覚せい剤を使用した
・平成27年9月1日ごろ、群馬県内のホテル客室で、知人から覚せい剤約1.2グラムを8万円で譲り受けた

Q4 
罪状認否とは何ですか?
A4 
裁判官は、被告人と弁護人に対して、起訴状に書かれた事実(公訴事実)に問違いがあるか、あるならどこが間違っているかを尋ねます。
自白事件では、被告人は公訴事実を認め、「間違いありません」といった意味の答えを述べます。

Q5 
「情状」とはどんなことですか
A5 
刑事裁判では、量刑判断に影響を及ぼす諸事情のことを「情状」と呼びますが、被告人に有利なものも、不利なものもあります。自白事件では、被告人にとって有利な情状を主張することが、弁護の重要なポイントになります。
覚せい剤事件では、次のようなものがよく取り上げられます。
・犯行態様・・・常習性、覚せい剤に対する親和性など
・犯罪に至る動機・・・同情すべき要素があるか、身勝手な理由から犯行に至ったのか
・前科の有無
・年齢、環境・・・更生可能性が高い若年であること、安定した仕事や家庭があることなどは被告人に有利な事情
・反省しているかどうか
・再犯を防ぐ具体的な対策があることは、被告人にとってきわめて有力な情状になる

Q6
「情状証人」にふさわしいのはどんな人ですか?
A6 
私は、覚せい剤の自白事件では、被告人の今後の更生を指導・監督する立場の方に「情状証人」になっていただき、今後の監督などについて法廷で証言していただくようお願いしています。
情状証人として最も適切なのは、被告人の日常生活に細かく目を配ることができる家族ですが、仕事関係の上司、公私ともに親しい友人などにお願いすることもあります。また、複数の証人が力を合せて支える体制を用意していただくケースもあります。ただし、両親の双方を請求したような場合には、裁判官から一方だけでは足りませんか(立証の内容が重複していません)と聞かれたこともあります。

Q7
「情状証人」は必ず法廷に出なければならないのですか?
A7 
刑事裁判は口頭主義を原則にしているため、証人は、法廷で直接証言することが求められます。
しかし、遠方に住んでいる、仕事で時間が取れないなどの事情で、どうしても法廷に出ることができない場合は、法定での証言に代えて、書面で証人の考えを述べていただくこともあります。
また、有名人の事件では、情状証人として出廷する人に過度に注目が寄せられることもあるため、証人として出廷することにためらう方もあるでしょう。こうした場合にも、書面で陳述する方法を選択することもあります。

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