弁護士小森榮の薬物問題ノート

アクセスカウンタ

zoom RSS 危険ドラッグ中毒の少女を放置、死亡させた男性に懲役4年

<<   作成日時 : 2016/03/21 13:33   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 5

静岡地方裁判所で行われていた保護責任者遺棄致死事件の裁判員裁判で、被告人に懲役4年の判決が言い渡されました。
2013年の年末、液体状の危険ドラッグを飲んだ少女が死亡してから2年半を経て、ようやく第一審の判決が出ました。

<ニュースから>*****
●男に懲役4年判決 危険ドラッグ中毒の少女放置死
危険ドラッグを一緒に飲んだ交際中の少女=当時(18)=が重篤な薬物中毒の症状に陥ったにもかかわらず、放置して死亡させたなどとして、保護責任者遺棄致死と大麻取締法違反の罪に問われた富士市江尾、無職の男(33)の裁判員裁判の判決公判で、静岡地裁沼津支部は18日、懲役4年(求刑懲役5年)を言い渡した。
判決理由で斎藤千恵裁判長は「医学的知識が無い一般人から見ても、少女の錯乱状態が異常で重篤な薬物中毒の症状だった」と指摘。「早期に医師による専門的診察と治療を受けていれば、ほぼ確実に救命できた」と述べた。「医師による専門的診察と治療が必要という認識がなかった」として保護責任者遺棄致死罪について無罪とする弁護側の主張を退けた。(以下省略)
@S[アットエス] by 静岡新聞 3月19日(土)7時57分配信
*****

この事件で、少女を薬物中毒にさせたのは、被告人が市内の危険ドラッグ店で購入した、液体状の危険ドラッグだったといいます。
逮捕当時の報道によると、被告人は、交際していた被害者少女と沼津市のホテルで、液体の危険ドラッグを一緒に飲んだところ、少女が急性薬物中毒で錯乱状態になったので、被告人は少女を連れて車でホテルを出て、車内で様子を見ていたということです。その後、少女は意識障害を起こすなど、さらに症状が悪化したため、約3時間後に救急医療センターに運んだが、少女は急性薬物中毒による多臓器不全で死亡しました。
なお、裁判では、大麻取締法違反事件についても、同時に審理されましたが、これは、逮捕された際に被告人が少量の大麻を所持していたというものです。

一緒に危険ドラッグを使った相手が、目の前で、錯乱状態に陥ったときには、まず救急車を呼ぼうと考えるのが普通ですし、現実に救急車を呼んだことで、一緒に使っていた仲間が事情を聞かれたり、逮捕されたりした事案はいくつか経験しています。でも、何らかの事情があって、苦しんでいる相手を前にして救助の手を打たないまま放置し、不幸にも死亡に至ったようなケースでは、保護責任者遺棄致死を視野にいれて、捜査が行われることになります。
今次の危険ドラッグ流行では、上記の事件の他にも似たようなケースがいくつか報じられ、一緒にいた人物が保護責任者遺棄の疑いで逮捕されたと伝えられた例もありましたが、その後、他の事件が具体的に立件されたという報道には接していません。
危険ドラッグのケースでは、死亡の原因になった薬物を特定し、その基本的な作用や中毒症状の発現に至る経緯を解明するだけでも、かなりの時間を要し、このように複雑な事件を立証するのは相当にハードルが高いといえるでしょう。

保護責任者遺棄罪とは、刑法が定める罪のひとつで、老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときに成立するものですが(218条、人を死亡させた場合は219条)、要件が難しく、適用される例はそれほど多いものではありません。

数年前、MDMAを服用した女性が急性中毒から死亡し、一緒にいた男性タレントが保護責任者遺棄致死罪で起訴されたのは、皆様も覚えておられるでしょう。
なお、この事件では、保護責任者遺棄罪は成立するものの、被害者が錯乱に陥ってから数分が経過した時点で被告人が直ちに119番通報したとして、被害者の救命が確実であったことが合理的な疑いをいれない程度に立証されているとはいえないとして、保護責任者遺棄致死罪の成立は認められないとされました。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
ドラッグをやって錯乱状態(使用者の間ではBadといいます)になることは、本当によくあることで、大抵ほっとけばよくなるんですよ
ドラッグやる時点でbad入る可能性は考えてると思います、5%くらいですから、20回やったら1回はbad入りますね
Bad入ったくらいで救急車呼ぶのが普通という考えは、法律は詳しくてもドラッグの実態をあまり知らない人の発言だと思います
司法側も、そういうことをよく知らないで今回の判決になったか、はたまた似たようなケースは立件されてないのにこれは立件されたから、ただのbadではない遺棄致死に値するような状態の証拠があったのかもしれませんね!
白井
2016/03/22 04:04
急性アルコール中毒でこのような場合の判例ってあるんですかね?
m
2016/03/25 06:44
>被害者が錯乱に陥ってから数分が経過した時点で被告人が直ちに119番通報したとして

ああ、「したとしても」という意味ですね。
押尾はすぐ119番通報しなかったとか聞いた記憶があるので、一瞬混乱しました。
滅智蓮寺 熾
2016/03/25 21:23
アフィじゃないのに炎上狙いのコメントかな?
唐沢
2016/03/26 00:01
炎上狙いじゃないですよ
Badで錯乱はよくありました
白井
2017/04/20 19:24

コメントする help

ニックネーム
本 文
危険ドラッグ中毒の少女を放置、死亡させた男性に懲役4年 弁護士小森榮の薬物問題ノート/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる