弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 2015年の薬物情勢が発表されました

<<   作成日時 : 2016/03/12 22:07   >>

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警察庁が「平成2 7年における薬物・銃器情勢(確定値)」を発表しました。これは、全国の警察による2015年中の薬物犯罪に対する取り締まり活動の統計で、毎年この時期に発表されているものです(下記参照@)。

2015年の統計データからは、おおまかに次のようなトレンドを読み取ることができます。
■大麻事犯の増加
危険ドラッグ市場が縮小し始めた2014年から、大麻事犯検挙者が増加していましたが、2015年ではさらに顕著な増加がみられました。しかも、若い層ほど急速な増加を示しています。
■覚せい剤事犯の下げ止まり
減少傾向が続いていた覚せい剤事犯の検挙者数に、下げ止まりがみられます。密売市場にふんだんな覚せい剤が供給され、末端価格が下落していることが、乱用状況を支えているものと思われます。
■峠を越えた危険ドラッグ
2011年ころから急拡大した危険ドラッグ市場は、2014年下期ころから縮小し始め、2015年夏には販売店舗がゼロになりました。
2015年中の危険ドラッグ関連事犯の検挙者は1,196 人と過去最高を記録しましたが、その過半数は2014年末までに認知したものです。2015年になってからは、危険ドラッグ関連の交通事件の発生は減少し、危険ドラッグ使用が原因と疑われる死亡事案も大幅に減少しており、危険ドラッグ関連事件の新たな発生は、峠を越えたようです。
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↑薬物事犯検挙人員の推移
警察庁が「平成○年の薬物・銃器情勢」として発表している各年度の資料に基づき、筆者がグラフ化したもの

●危険ドラッグ市場の壊滅と大麻事犯者の増加
日本の大麻市場は2000年を越えたころから本格的な拡大傾向をみせ、2009年には大麻事犯の検挙者が約3000人に達しました。検挙者の中心は、10代、20代の若年層でした。
しかし、社会は若者の間で拡大する大麻使用を問題視し、また大学なども積極的な対策に乗り出したこともあり、翌年には増加傾向に歯止めがかかりました。
その後も、引き続き検挙者の減少が続いた背景には、ちょうどこのころから急増してきた危険ドラッグによる影響があったと思います。
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↑大麻事犯検挙者の推移とその背景
各年度の「薬物・銃器情勢」のデータに基づき、筆者がまとめたもの

今回の統計資料では、危険ドラッグと大麻の関係について、警察庁が行った独自の実態調査の結果が、「コラム」として報告されています(下記参照資料の9ページ)。調査によると、大麻事件で検挙された青少年の3分の1強が、危険ドラッグを使ったことがあると回答し、また、危険ドラッグ経験者のほとんどが、現在では、危険ドラッグ使用をやめています。
ここからもわかるように、危険ドラッグから大麻に移行したユーザーが、一定数いて、それが大麻使用者の増加の一因となっているのかもしれません。
なお、この調査の対象は、2015年8月からの3か月間に大麻取締法違反(単純所持、単純譲渡及び単純譲受)で検挙された、年齢が30 歳未満の者で、全国の273 人の回答を分析したものです。

●若い層ほど顕著に増加している
ここ数年、低水準で推移していた大麻事犯検挙者が、2014年から2年続いて増加しました。しかも、この傾向はどうやら長期的に続きそうな様相を呈しているのです。
2015年では、検挙者の約半数(49.2%)を10代、20代の青少年層が占めました。さらに、若い層ほど顕著な増加を示していて、年齢層別にみると、20歳未満では前年より44%増、20〜29歳では26%増と極めて高い伸び率となっています。これは、新たに大麻に手を染める若者が増えていることを暗示していると考えてよいでしょう。
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もともと、大麻事犯検挙者の中心層は青少年で、ピークとなった2009年では29歳以下の年齢層が検挙者の61%を占めていましたが、減少傾向に転じるとともに、若年層の割合が低下していたのです。
2015年では、減少前の年齢構成に近づいてきましたが、従前の割合と比較すれば、まだ増加の途上にあるように思われます。それだけに、この増加トレンドを食い止めることが、何よりの急務です。
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↑大麻事犯の年齢構成
警察庁が「平成○年の薬物・銃器情勢」として発表している各年度の資料に基づき、筆者がグラフ化したもの

[参照]
警察庁刑事局組織犯罪対策部薬物銃器対策課「平成27年における薬物・銃器情勢(確定値)」
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/yakubutujyuki/yakujyuu/yakujyuu1/h27_yakujyuu_jousei.pdf

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