弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS いわゆる「グリーニー」について

<<   作成日時 : 2016/02/15 16:47   >>

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元スター選手の覚せい剤事件に関連して、ひところ、プロ野球界でなにかとウワサのあった「グリーニー」が話題になっているようです。私のもとへも、問い合わせが続いています。私は医学や薬学に関しては全くの素人なので、回答を控えていますが、メディアで流れる情報に、いろいろ誤解もあるように思われ、気になっています。
とりあえず、いま私が把握している部分的な情報をここに掲載しておきます。この先は、どうぞ医学や薬学の専門家にお尋ねください。

●「グリーニー」とは
この名で呼ばれているのは、アンフェタミンによく似た作用をもたらす、医薬品成分クロベンゾレックス(Clobenzorex)を含有するカプセル入りの錠剤です。
クロベンゾレックス製剤は、1970年代に食欲抑制作用を有する処方薬として、Asenlix®, Dinintel®, Finedal®などの商品名で発売されましたが、重大な副作用があったために、米国では承認が取り消され、販売停止となりました。

いっぽう、メキシコ、グァテマラなどでは、現在でも医薬品として販売されているため、クロベンゾレックス含有製品が一部で出回っています。米国などで出回っているのは、Asenlix®の商品名で販売される、1錠中クロベンゾレックス30rを含有するカプセル入りのものです。
カプセルが緑色に着色されていることから、「greeniesグリーニーズ」と呼ばれるようになったといいます。

クロベンゾレックスは、アンフェタミン類似構造をもつ物質で、体内に摂取されると、代謝によってアンフェタミンに変換されるため、アンフェタミンを使用した場合と同じような作用をもたらします。
画像


2006年頃、米プロ野球界でのアナボリックステロイド剤や興奮剤などの薬物使用がスキャンダルになり、そのなかで、野球選手の間に広まる「グリーニー」も問題になりました。日本でも、プロ野球選手の一部にこの薬物にまつわるウワサがあるようです。

●ドーピング禁止薬物
世界アンチ・ドーピング機構 (WADA)が定める、ドーピング禁止に関する国際基準は、全世界のすべてのスポーツに適用されていますが、クロベンゾレックスは、同機構が定める禁止表で、「競技会(時)に禁止されるもの」として掲げられています。
つまり、オリンピック競技をはじめとする公式な競技会で実施されるドーピング検査で、もしも選手の尿中にこの物質が確認された場合は、調査対象となることが定められているのです。
競技会(時)に禁止される物質の「S6. 興奮薬」の項目には、「すべての興奮薬(関連するすべての光学異性体(例えば、d体およびl体)を含む)は禁止される。」とあり、興奮剤の具体例としてアンフェタミンやメタンフェタミンとともに、クロベンゾレックスの名も挙げられています(下記参照@)。

●日本での対応
日本では、クロベンゾレックスは麻薬、向精神薬、指定薬物、覚せい剤および覚せい剤原料としての規制は受けていません。
しかし、クロベンゾレックスは、日本では医薬品として承認されていません。仮に、日本でAsenlixなどの製品が出回るとすれば、未承認医薬品ということになります(医薬品医療機器等法)が、同法は未承認医薬品の目自己使用目的での輸入や摂取等については規制を設けていません(同法55条2項は、未承認医薬品の販売、授与及び販売・授与での的の貯蔵・陳列を規制しています)。危険ドラッグ対策として指定薬物制度が創設された際に規制対象に輸入(個人輸入を含む)が加えられたのは、それまでは個人使用目的による危険ドラッグの輸入を規制することができなかったからです。


厚生労働省は、2007年3月、クロベンゾレックス(Asenlix)を「医師の適切な指導のもとに使用されなければ健康被害のおそれがある未承認の医薬品」に指定し、外国から輸入する際には、数量に関わらず厚生労働省の確認を得るよう指導しています(下記参照A)。
同省サイト内の「医薬品等の個人輸入について」のページには、
「医師の処方せん又は指示によらない個人の自己使用によって、重大な健康被害の起きるおそれがある医薬品」のリストが掲載され、そこにはAsenlixのブランド名で販売されるクロベンゾレックスも掲載されています。

*****<厚労省の資料より>*****
数量に関わらず厚生労働省の確認を必要とするもの
2.医師の適切な指導のもとに使用されなければ健康被害のおそれがある未承認の医薬品
販売名  Asenlix
一般名  クロベンゾレックス(Clobenzorex)
包装単位 30mg カプセル : 60 カプセル
原産国  メキシコ グァテマラ
*****
ここに指定された医薬品を輸入する際には、
「医師の処方せん又は指示によらない個人の自己使用によって、重大な健康被害の起きるおそれがある医薬品(PDF:76KB)については、数量に関係なく、医師からの処方せん等が確認できない限り、一般の個人による輸入は認められません。」
という記載があります(下記参照B)。

[参照]
@世界アンチ・ドーピング機構 (WADA)の2016年版禁止表
http://list.wada-ama.org/jp/
A厚生労働省 通知「数量に関わらず厚生労働省の確認を必要とする医薬品の追加について」平成19年3月9日
B厚生労働省サイト内情報 医薬品等の個人輸入について
http://www.mhlw.go.jp/topics/0104/tp0401-1.html

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