弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 復活か?暴力団主導の大型覚せい剤密輸

<<   作成日時 : 2016/02/13 23:08   >>

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2000年代前半に壊滅したと思われていた、海上ルートでの覚せい剤大量密輸が摘発されました。昔の手法そのままに、洋上で覚せい剤を受けとり、漁船で小さな漁港に水揚げするという、「瀬取り」による密輸が行われたといいます。
逮捕されたのは、暴力団の幹部や漁船の関係者など・・・。ひと昔前の大型密輸がそっくりそのままの姿で復活していたようです。

<ニュースから>*****
●暴力団幹部ら、洋上取引で密輸か 覚醒剤100キロ押収
鹿児島県の徳之島に陸揚げされた覚醒剤約100キロが押収された事件で、陸揚げに使われた漁船は逮捕された暴力団グループが所有していたことが、福岡県警への取材でわかった。覚醒剤は外国船との洋上取引を通じて同島に持ち込まれたとみられ、県警などが流通ルートを調べている。
・・・覚醒剤100キロの末端価格は約70億円に上り、今年に入って押収された量としては全国で最多。県警は鹿児島県の徳之島を経由して密輸しようとしたとみている。
朝日新聞デジタル(2016年2月12日)
*****

かつて、日本の暴力団は覚せい剤密輸を取り仕切って、莫大な利益を挙げてきました。とくに1990年代末から2000年代前半にかけて、中国や北朝鮮で密造される覚せい剤が、海上ルートで大量に密輸された時期には、覚せい剤の密輸・密売による利益が、暴力団の有力な資金源になったといわれます。
暴力団関係者が、買い付けから運搬まで、すべてを自ら取り仕切ったのですから、密輸が成功すれば、破格の収益を手にすることができたわけです。

このころの密輸手法とは、仕出し地の中国や北朝鮮側から漁船などに覚せい剤を積み込んで出港し、あらかじめ定めた受け渡し地点で積み荷を洋上に流します。いっぽう、日本側からは受取役の漁船が受け渡し地点に向かい、積荷につけられたGPS発信装置の電波を頼りに積荷を回収して、日本の小さな港に持ち帰り、ひそかに陸揚げするというものです。1回に100キロ、200キロという大量の覚せい剤が密輸されました。この手法は、親船で運搬した荷物を小舟に移して陸揚げするところから、「瀬取り」方式と呼ばれました。

こうした大型密輸は、時間をかけて仕出し地側と折衝し、受け取り側では、目立たない小さな港を選び、回収に向かう漁船、運搬するトラック、陸揚げした荷物を保管する倉庫などを用意するという綿密な準備が必要です。密輸計画の中枢では、仕出し地側との調整役、実行組織の指揮役など、特有のノウハウを身につけた人たちが活動していたといわれます。

しかし、ときには計画が破たんするケースもありました。
1998年8月、高知県沖の海上でポリ袋に入った覚せい剤が相次いで見つかりましたが、これは、暴力団組長らが計画した覚せい剤密輸で、漁船「玉丸」が東シナ海上で、北朝鮮の工作船から覚せい剤約300キロを受け取ったものの、海上保安庁の巡視船に追跡され、高知沖で海上に投棄したものでした。
2002年11月、鳥取海岸では200キロを超える覚せい剤が漂着して大騒ぎになりました。北朝鮮から運搬された覚せい剤を日本海の海上で回収するため、密輸グループが小型船で出港したものの、悪天候のため受け渡し地点に到達できず、覚せい剤が海岸に漂着したものでした。

2000年をはさむ数年間、北朝鮮を仕出地とする覚せい剤密輸の大型摘発が相次ぎましたが、やがて北朝鮮不審船事件をきっかけに領海の警備が厳しくなり、また相次ぐ大型密輸摘発によって暴力団の密輸活動が封じられたことから、瀬取りによる覚せい剤密輸は姿を消しました。
画像

↑北朝鮮を仕出地とする覚せい剤密輸入事件
平成19年版警察白書 第2章・組織犯罪対策の推進 P.133より転載

それが、今頃になってなぜ復活したのかと考えをめぐらすうちに、思い当たったのが、かつて密輸を取り仕切った中心メンバーの社会復帰です。
2000年代なかばころ、裁判所では、大型密輸事件で検挙された関係者の裁判が続きました。首謀者や調整役とされた暴力団幹部や、洋上で覚せい剤を回収し港へ運んだ漁船の船長や乗組員、陸揚げした覚せい剤を陸送した暴力団の配下など、密輸に加担した多様な人たちが被告人として登場し、それぞれの役割に応じて、懲役14年、12年などの刑を言い渡されました。
そういえば、受刑していた人たちが、順に社会復帰しているころでしょう。

瀬取りによる覚せい剤密輸が終焉を迎えた頃から、暴力団は次第に密輸計画の表舞台から退き、もっぱら、外国人密輸グループなどの手によって日本国内に密輸された覚せい剤を買い受ける立場にまわっていました。でも、リスクを回避すれば、その分、利益は少なくなります。
かつて瀬取りによって大型密輸を取り仕切ったグループのなかには、社会復帰とともに、昔の夢を再び追う人たちもいるのかもしれません。

現在では、北朝鮮での組織的な覚せい剤密造と密輸は確認されていませんが、国際社会の暗部で流通する覚せい剤の総量は、急速に増加しています。瀬取りによる密輸の復活に、警戒が必要です。

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内 容 ニックネーム/日時
そうですね
まな
2016/04/02 14:04

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