弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS なぜ減らない薬物事犯|犯罪統計2015年

<<   作成日時 : 2016/01/19 23:57   >>

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先日、警察庁の犯罪統計の2015年分のデータが出揃い、発表されました(下記参照)。
今回の話題は、刑法犯認知件数の減少が続き、戦後最少となったこと。刑法犯のなかで数の多い窃盗は前年対比10%減、殺人(未遂を含む)は11.5%減で戦後最少をマークと、日本社会の安全度がまた一段と向上したようです。

ところがそのなかで、薬物事犯はむしろ増加傾向を示していることが、ひときわ目立っています。(薬物事犯については、下記資料の第9表に法令別の検挙件数、検挙人員が掲載されています。)
検挙人員の増減率でみると、最も数の多い覚せい剤取締法違反は0.1%増と微増にとどまったものの、大麻取締法違反が20.1%増、医薬品医療機器法違反(指定薬物関連など)は63.3%増と大幅増加したものも目につきます。犯罪全体が減少傾向にあるなかで、薬物事犯の突出した増加ぶりは、なんとも気になるところです。
詳しくは、いずれ「平成27年の薬物・銃器情勢」として発表されることでしょうが、とりあえず、犯罪統計の数値から大まかな傾向を把握しておきましょう。
画像

↑薬物事犯検挙人員の推移
警察庁の公表データに基づき、私がグラフ化したもの
・2014年までは各年度の「薬物・銃器情勢」のデータを使用
・2015年は「犯罪統計」のデータによる暫定値を使用

●危険ドラッグから大麻への回帰か
危険ドラッグ市場が急速に縮小し始めた2014年から、それと対応するように、大麻の検挙者が増加し、2015年では2,000人の大台を超えました。

日本の大麻市場は2000年ころから拡大を続け、2009年には年間の検挙者が約3,000人に達した後、検挙者は減少に転じていました。これは、青少年(特に、大学生)に対する乱用防止活動が奏功したこともありますが、このころから流行し始めた危険ドラッグに青少年の関心が移り、大麻市場の拡大を抑えてきた影響もあると思います。
しかし、危険ドラッグの市場が縮小するにつれ、青少年の関心は、再び大麻に向かい始めたようです。危険ドラッグに乗り換えた乱用者が再び大麻に回帰しただけでなく、危険ドラッグで薬物を覚えた若者が、大麻に手を伸ばすこともあるでしょう。

危険ドラッグ市場が壊滅したいま、好奇心旺盛な若者にとって、最も身近な薬物は大麻です。しかも、大麻栽培の広がりによって、若者の周辺に供給される大麻は、次第に増えています。
これまで、ほとんど全ての薬物の供給源を外国からの密輸に頼ってきたわが国で、いまや、大麻は唯一の国内生産される薬物になりつつあるのです。
しばらくは、青少年と大麻の動向を注意深く見守る必要がありそうです。詳しいデータの発表が待たれます。

●危険ドラッグで滞留事件処理が続く
医薬品医療機器法違反の検挙者が引き続き急増していますが、その大多数は、指定薬物に関する違反によるものです。危険ドラッグ市場は2014年末ころにはほぼ壊滅し、新たな事件の発生も大幅に減少しましたが、滞留事件の処理がまだ続行しているため、2015年の検挙者の大幅増加となっています。

2014年春、指定薬物の所持や使用に対しても罰則が設けられたことから、違反者の検挙が相次ぎました。街頭での職務質問や交通事件、中毒者の救急搬送や保護・・・様々な場面で提出された膨大な量の危険ドラッグを分析し、事件を処理する警察の仕事は、今も続いています。
さらに、昨年春からは、日本に輸入される指定薬物が税関で摘発されるようになり、対応を要する案件がさらに増えました。こちらの処理も、まだしばらくかかることでしょう。

●覚せい剤は下げ止まり
2001年ころから急速に減少してきた覚せい剤の検挙者が、下げ止まりをみせています。
どうやら、日本にはいま、かなり大量の覚せい剤が流入しているらしく、末端での覚せい剤密売価格が下落していることが、需要を支えているようです。
検挙者の年齢層は次第に高齢化し、再犯者の割合も増え、同じ人が繰り返し検挙されながらも覚せい剤を使い続けている様子が、ありありとうかがえます。

これまでのところ、検挙者中に青少年層の増加や、初犯者の増加といった、乱用者層の拡大を示す兆候はとくに観察されていませんが、2015年の状況に変化は生じているでしょうか。詳細データが発表され次第、確認してみることにしましょう。

[参照]
警察庁の犯罪統計
平成27年1〜12月犯罪統計【暫定値】
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001066458&cycode=0

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
データ上、危険ドラッグの消費が激減し
大麻の暴力団関与が22%増加しています。

シノギが大麻に移行し、
健康被害は減少したと判断します。
さらなる増加は防がなくてはいけませんが、
良好と思います。

覚醒剤は昨年とほぼ同じで一安心ですが、
(危険ドラッグから覚醒剤に移行しなくてよかったホッ)
覚醒剤は世界的に生産は増加し、
上半期のデータでは低年齢化をしていますから
懸念材料ですね。
猫次
2016/01/20 04:35
怖っ。 作文の内容にしよ。
のぞみ
2017/09/18 18:58
大麻事犯が増えたことは勿論ダメなんだけど、
危険ドラッグによる死者は激減しているから
よかったと言っているんだよ。
猫次
2017/11/21 02:23

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