弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 中高生の薬物離れが進行|米モニタリング・ザ・フューチャー調査

<<   作成日時 : 2015/12/18 23:31   >>

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40年以上にわたって米国で毎年行われている、中高生の薬物・アルコール・タバコ使用に関する大規模調査、モニタリング・ザ・フューチャー(Monitoring the Future)の2015年版の速報が発表されました。

●薬物、アルコール、タバコともに減少
米国の中高生の薬物使用は、大麻を除けば、全般的に低下傾向にあり、薬物問題は落ち着きを見せています。コカイン使用は、長期的に減少を続けています。危惧されていた危険ドラッグ(米国では「合成大麻」と呼ばれる)や、MDMAの使用率も、2015年調査では低減しました。
それだけではありません。アルコール、タバコ、処方薬など、これまで青少年の乱用が憂慮されてきたものが、軒並み減少傾向を示しているのです。特に、アルコール、タバコは調査開始以来の40年間で、最も低い結果となりました。
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↑【図1】アルコール、タバコ、薬物の使用率の推移(1995‐2015)
下記参照Aより転載
・左から、アルコール、タバコ、不法薬物の使用率を表す
・各棒グラフは、下(白色)が8学年の使用率、中(薄色)が10学年、上(濃色)が12学年の使用率を表す

●大麻の危険性認識は急速に低減
中高生の薬物使用が長期的な低減傾向を示す中で、大麻使用は、依然として高止まりしています。
大麻は、米国の中高生に最も使用される薬物で、他の不法薬物とはケタ違いの使用率で推移しています。たとえば2015年調査の第12学年(高3)では、過去1年以内のコカイン使用率は2.5%、危険ドラッグ(合成大麻)は5.2%だったのに比べて、大麻は34.9%という結果になっています。
過去1年以内に1回以上大麻を使ったことのある中高生の割合を、下の図2に示しました。2015年調査の具体的な数字は次の通りです。
・8学年(中2)・・・ 11.8%
・10学年(高1)・・・25.4%
・12学年(高3)・・・34.9%
画像

↑【図2】過去1年以内に大麻を使った割合
ミシガン大学の報道発表資料(下記参照@)より転載

さらに重要なのは、ここ数年、大麻の危険性に対する中高生の認識が急速に薄れていることです。
2015年調査では、「大麻を日常的に吸うのはとても危険だ」と考える割合は、12学年(高3)で31.9%にまで下がってしまいました。つまり、中高生の80%近くが、日常的な大麻使用にそれほど危険性を感じていないのです。
この数字が、そのまま大麻使用に直結しているわけではありませんが、子どもたちの薬物認識は、近い将来の使用動向に影響を及ぼす重要な要素のひとつとされるだけに、この急速な変化が、米国社会をどう変えていくのか、専門家は、いくらか危惧しながら、その動向を見守っていることでしょう。
画像

↑【図3】大麻の常用は「大いに危険」とみる割合
ミシガン大学の報道発表資料(下記参照@)より転載

●モニタリング・ザ・フューチャー調査とは
1975年に第12学年(高校3年)を対象に開始されたモニタリング・ザ・フューチャー調査は、その後1991年から調査対象に第10学年(高校1年)、第8学年(中学2年)を加え、毎年、全米の公立及び私立学校で調査が行われ、米国の若者の薬物使用動向を示すものとなっています。
2015年調査は、全米382校で44,892人の生徒が参加して行われました。
調査項目は、薬物、アルコール、タバコです。薬物に関しては、大麻やコカイン、ヘロインなどの規制薬物や向精神薬などがあげられ、「合成大麻」「バスソルト」など脱法ドラッグも調査項目に加えられています。
この調査は、国立薬物乱用研究機関The National Institute on Drug Abuse(NIDA)とミシガン大学の調査センターによって実施されています。

[参照]
@ミシガン大学の報道発表
Press Release(Dec. 16, 2015)
"Use of ecstasy, heroin, synthetic marijuana, alcohol, cigarettes declined among U.S. teens in 2015."
・2015年調査結果の主なデータは下記ページ
Drug and Alcohol Press Release: Text, Figures, & Tables
http://www.monitoringthefuture.org/data/15data.html#2015data-drugs
ANational Institute on Drug Abuse(NIDA)の情報
Monitoring the Future 2015 Survey Results (December 2015)
http://www.drugabuse.gov/related-topics/trends-statistics/infographics/monitoring-future-2015-survey-results

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
見方を変えれば大麻のゲートウェイドラッグ理論を否定するデータとも考えられますね。
大麻の規制緩和によってハードドラッグの使用抑制に成功しているのかもしれません。
未成年者の大麻常用が問題である事には変わりありませんが。
大麻に対して肯定的な研究結果が多数発表される近年、日本国内における大麻の個人使用、単純所持の重犯罪扱いに無理が生じていると感じます。
neuromancer
2015/12/20 22:41

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