弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻について子どもと話す、その1

<<   作成日時 : 2015/12/12 22:49   >>

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危険ドラッグの嵐が一段落した今、日本の青少年にとって身近な薬物といえば、まず大麻が挙げられます。
今年1〜10月に、全国の警察が大麻取締法違反で検挙した人数は1,623人、昨年同期と比べて20%増加しています。じっさい、危険ドラッグが急速に姿を消したころから、若者の間で大麻使用が増えているという実感をお持ちの方は多いと思います。

今こそ、子どもたちと向き合って、大麻について真面目に話さなければなりません。ところが、薬物乱用防止の第一線に立つ指導者のなかには、大麻について話すことをためらう空気があるように感じます。
たしかに、大麻をめぐる状況は、いま、とても把握しにくくなっています。米国では大麻の合法化が進むなど、世界では、大麻の法規制をめぐる動きが急激に進展しています。いっぽう、大麻に関する研究は猛スピードで進み、最新の情報がどんどん更新されています。しかし、そのなかで、日本に暮らす私たちに提供される情報は、情けないほどわずかです。

大麻について、何をどう話すべきか、この場で、何回かにわたって考えてみたいと思います。
最初は、大麻にはどんな作用があるのか、きちんと知ることです。科学的に裏付けされた、しかも最新の情報に基づいて、正確に話すために、米国の公的機関が提供している情報から、必要な部分をそのまま日本語に移してお届けします。
画像

↑NIDAの啓発用資料Drug Facts―Marijuana(下記参照@)

[この資料を選んだ理由]
ここで取り上げたのは、米、国立薬物乱用研究所(NIDA)のサイトに掲載された、Drug Factsシリーズの大麻編です(下記参照@)。
この情報は、定期的に改定され、常に最新の科学的研究の成果が反映されています。また、政府機関が作成した情報であるため、著作権で保護されておらず、作成者の許可がなくても転載してよいと明記されています。
そこで、大麻の作用などに関する部分を選び出し、私の私訳で日本語にして、そのまま紹介します。

Drug Facts大麻
―米NIDAの啓発資料から

●大麻とは何ですか?
大麻とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)の乾燥した葉、花穂などをさします。この植物は、精神作用のある化学成分であるデルタ・9・テトラヒドロカンナビノール(THC)やその他の関連物質を含んでいます。

●大麻は脳にどのように作用するのですか?
大麻は、脳に対して短期的および長期的な作用を及ぼします。
[短期作用]
人が大麻を吸引すると、THCは速やかに肺から血流に移行します。血液は、化学成分を脳や身体中の他の器官に運搬します。大麻を食べたり飲んだりすると、THCはゆっくり身体に吸収されます。この場合は、通常30分から1時間ほどしてから、使用者は作用を感じます。
脳には、THCに類似した天然の脳内成分に結合する特定の受容体がありますが、THCはこの受容体に反応します。こうした天然の化学成分は、脳の正常な変化や機能に寄与しています。
大麻は、脳内でこの受容体が特に集中している部分を過活動状態にさせます。これが、ユーザーに「ハイ」な気分をもたらすことになります。
画像

↑THCは多くの脳の領域(黄色で表示)に影響を及ぼす

その他の作用として、次のようなものがあります。
・感覚の変化(たとえば色彩が鮮やかに感じられること)
・時間感覚の変化
・気分の変化
・身体の運動が損なわれる
・思考や問題解決が困難になる
・記憶が損なわれる
[長期作用]
大麻は脳の発達に影響を及ぼします。ユーザーが10代で大麻を使い始めた場合、大麻は思考、記憶、学習といった機能を低下させ、またこうした機能に必要な脳内での各領域の連結の形成に影響を及ぼすかもしれません。
こうした能力への大麻の影響は、長期におよぶもので、永久的なものになることもあります。
たとえば、ある研究によると、10代で集中的な大麻吸引を始め、その後大麻使用障害を発症した人たちは、13歳から38歳になるまでの間に平均してIQが8ポイント低下することが明らかになりました。精神面での損傷は、成人した後で大麻使用をやめても、完全に回復しないとされています。成人してから大麻吸引を始めた人では、顕著なIQの低下は見られませんでした〔Meier,2012〕。

●大麻の健康に対する影響には、ほかにどんなものがありますか?
大麻の使用は、精神面でも身体面でも様々な影響をもたらします。
[身体への影響]
■呼吸器の問題
大麻の吸引は肺を刺激するので、頻繁に大麻を吸引する人には、タバコ喫煙者と同じ問題が起き得ます。日常的な咳や痰、より頻繁な肺疾患、および肺感染症などのリスクが高くなります。大麻を吸引する人のほうが、タバコ喫煙者より、肺がんのリスクが高いかどうかの研究結果はまだ明らかになっていません。
■心悸の亢進
大麻は、摂取後最長で3時間まで心臓の鼓動を早めます。この作用は、心臓発作の機会を増加させることがあります。高齢者や心臓に問題のある人では危険性が高くなります。
■妊娠後および妊娠中の胎児の発育の問題
妊娠中の大麻使用は、子どもの脳の発達と行動上の問題のリスク増加につながります。妊娠中の女性が大麻を使用すると、この薬物は、胎児の発育中の脳の特定の部分に影響を及ぼすことがあります。その結果、子どもの集中力、記憶、問題解決能力などのトラブルが増すかもしれません。さらに、母乳中に一定量のTHCが排出されるとする研究もあります。子どもの脳の発育に対する影響は、まだ解明されていません。
[精神面での作用]
長期的な大麻使用は、一部の使用者で、次のような精神面での疾患につながることがあります。
■一時的な幻覚―現実ではないのに現実のような感覚やイメージ
■一時的な妄想―他人に対する極端で理由のない不信感
■統合失調症患者の症状の悪化(幻覚、妄想、まとまりのない思考などの兆候を伴う重度の精神障害)

また、大麻使用は以下のような精神面での問題につながります。
・抑うつ
・不安
・10代の子どもの自殺念慮

●大麻には依存性がありますか?
通説とは逆ですが、大麻は依存を引き起こすことがあります。研究によれば、ユーザー11人中1人は大麻に依存します〔Anthony, 1994; Lopez-Quintero 2011〕。この比率は、10代で使用し始めた場合には高くなり(6人中1人、あるいは17%)〔Anthony, 2006〕、また連日使用する人でも高くなります(25‐50%)〔Hall & Pacula, 2003〕。

●大麻依存にはどんな治療が受けられますか?
長期使用者が大麻の使用をやめようとすると、離脱症状に見舞われ、やめるのが難しくなるといいます。離脱症状にはつぎのようなものがあります。
・不機嫌
・不眠
・食欲減退
・不安
・渇望
大麻依存の治療には、行動支持による療法が有効です。たとえば、セラピーや動機付けと報酬(大麻を使わないでいる患者に報酬を提供する)などの手法があります。大麻依存に適合する薬物療法は、現在はありません。しかし、離脱症状を緩和し、大麻の影響をブロックし、再使用の防止につながるような薬物療法の開発努力が続けられています。

[参照]
@米、国立薬物乱用研究所(NIDA)の資料
National Institute on Drug Abuse; National Institutes of Health; U.S. Department of Health and Human Services
Drug Facts―Marijuana
http://www.drugabuse.gov/publications/drugfacts/marijuana
ANIDAサイト内の大麻に関する情報は下記のページから入手できます
http://www.drugabuse.gov/publications/research-reports/marijuana/letter-director

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コメント(10件)

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大麻が合法になろうが違法のままであろうがどうでもいいと個人的には思っていますが、国立薬物乱用研究所(NIDA)のサイトに掲載された、Drug Factsシリーズ はネガティブなことしか載せていないのでしょうか?ポジティブなこともあると思うのですが、それ無しで否定することばかり拾い上げているようでは真実を伝えてない機関では?日本のテレビ局みたいに報道しない自由を行使しているのでしょうか?ヘビースモーカーや大酒飲みの教師(意外といる)が上記のようなことを子供に伝えても説得力が全く無いと思いますし・・・
lol again
2015/12/13 04:15
大麻とはだいたいこういう報告があるのでそういうものです、というところからどう議論を広げるのですか?

40年以上前に、刑事罰を科すほどのものでない、罰金などが適当、というシェーファー委員会の報告があり、オランダでは30年以上前から自由に大麻を吸える。ウルグアイで合法化され、アメリカ各州でも合法化が進み国民の58%は合法化賛成。そしてカナダでも合法化される、という段階に来て、何を議論しろと?
日鷲
2015/12/13 20:34
京都の小6が大麻を吸った、ということに大人がヒステリーになって、さあどうするか、というお話ですよね。

まず、件の小6はニコチン依存だったようです。問題の深刻さはむしろそちらにあります。そちらの問題を解決しようとせずに、ただ無知性に騒ぎ立てる大人には、問題の本質を見る努力が必要です。

大麻を吸った小6は、それが大麻なのか、大麻ならどうやって吸うのかネットで調べたそうです。となるとおそらく、大麻の有害性や依存性は低いということも知っているでしょう。小6にどこまで理解できたかは分かりませんが、今ここでステップストーンがあるからダメなんだ、などと取て付けたことを言う大人より知識は上です。

結論から言えば、「大麻は有害とはいえない」という事実を子供に伝えることです。ではなぜ規制して、吸ったら人生終るなどと教えるのか、と返されるでしょう。ポイントはそこです。大人はどう言い訳をするべきなのか、ということです。

「知らなかった」「我々もそう教わってきた」「マスコミが悪い!政府が悪い!」「嘘ついてました」「何か有るんじゃないかと思って」「いまさら間違ってましたなんて言えなかったので」などなど。どれも正直な答えです。

「じゃあ吸っても良いのか?」と聞き返されるでしょう。応えはノーです。日本において大麻最大の害は逮捕されることです。逮捕されると友達を失い、家族もバラバラになり、学校や会社は辞めさせられ、人生が破壊されてしまいます。だからダメです。

「何でそんな社会なのか」と問われるでしょう。いや、責められるでしょう。それは受け入れるしかありません。そして改善を約束するしかありません。具体的には大麻で逮捕されない社会の実現です。

ここまでやって、大人の責任の取り方を示せるのでは?
ここで適当な事を子供に示したら、教育上も良くないですよね。
日鷲
2015/12/14 00:04
大麻の毒性をつらつら並べても、アルコールやタバコの毒性を同じように並べたら、そちらのほうがえげつない内容になりますよ。酒やタバコやりながら、「大麻は健康に悪い」などと言っているのは、滑稽そのものとしか言えません。

タバコは肺がんになる可能性がある。副流煙で、周りにいる人まで肺気腫にしてしまう。自分で分かっていても、止めるのが困難で、医療レベルの措置が必要になる。
アルコールは、社会問題の枚挙に遑がない。喧嘩・DV、内臓疾患脳疾患、酷い依存症があるのは公知。依存症患者は200万人とも。交通事故では危険ドラッグよりも頻度は多く、何人もの子供を殺している。

大麻がなんですって?

アルコールやタバコの問題が大きくても、禁止する事はできない。だから呑み屋や分煙がある。

今大麻の有害性を、重箱の隅を突くようにして晒して論議しても意味は無い。なぜならそれ以上の有害なモノを、我々は身近におき嗜んでいるから。

今見つめるべき問題点は、大麻を規制するにしても、刑事事件相当の取り締まりや刑罰は妥当なのだろうか、ということ。そして、大麻の有害性は低いのかどうか、国に調べさせるにはどうするか、ということである。
日鷲
2015/12/14 00:36
日鷲さま。ご苦労様です。

物事なんでもそうですが、理解できてる人はとっくに理解が出来てるんです。
理解しようとしない人に理解してもらおうとする。
大変な作業です。

子供達は敏感ですから、大人の嘘にうんざりしています。
いざ、真実を語らなくてはならなくなったとき、
大人を信用しない子供はオオカミに食べられてしまうんでしょうね。

やたらと子供を罰する方向へ傾いてるが、
まともな教育もしない、救ってもあげられない。
日本人が作り上げる社会の犠牲者だよ。
m
2015/12/14 10:25
麻薬組織はどんな政策を取ろうと撲滅することは無理なのだろう
じゃあ麻薬組織にどんな麻薬を売って欲しいかと考えた場合
大麻が適任
麻薬組織に売らせるためには、大麻は違法状態にし取り締まりを続けるべきと考えている

欧米の場合は、栽培がしやすい大麻の消費が増えすぎた。
ならばいっそ、非犯罪化や合法化を選択肢として選んだんだと思う
大麻の消費の少ない日本では前者を選んだほうが薬物による害は少ないとみています。

オランダではMDMAの出現
メキシコでは大麻栽培からケシ栽培に転作している情報があり
アメリカでの処方箋薬・ヘロインの増加は大麻解禁が遠因かもしれません

大麻解禁して危険ドラッグやMDMAやヘロインでイタチごっこをするよりも
大麻でイタチごっこをした方が遥かに良いでしょう。
娯楽用の大麻解禁には反対です
猫次
2015/12/14 10:56
コーヒーは依存し、胃潰瘍の原因になることもあり、脳を興奮させ、睡眠傷害を起こす事も有る。貧血を起こす場合も有り、発がん性物質アルキドアミドが含まれている。

こういう紹介のしかたをして、さあこれを受け入れますか?と聞いたら、ほとんどがノーと言うでしょう。こういう記述を使った手法は、レトリックというのではないでしょうか。

本来なら、デメリットとメリットを比較検討して評価をするものです。そうしないでデメリットだけ示して「イエスかノーか」を迫ればノーと言う。それを分かっていてそう教える、昔ながらの薬物教育のし方と同じである。

もう昔ながらの威嚇やレトリックは止めるべきです。何十年も威嚇やレトリックを続けて来て、成果が無いどころか、国民の人生を破壊しながら役人を太らせていることになっただけ。もうこんなやり方は通用しなくなっているんです。

じゃあ新しいやり方とは何か。1からそれを考えることになり、どうしたら良いか戸惑う所もありますが、過去のやり方とは違うやり方であるのは事実。今までと違うやり方じゃなければダメだ、ということです。
日鷲
2015/12/14 16:10
小森弁護士の始めのスタンスは、大麻事件の被疑者の人物と刑罰の解離に焦点を当てていた。ようは犯した罪(罪と言えるのかどうかさえ怪しいが)に刑罰がそぐわない。だから危険ドラッグに流れた。
刑罰よりも自らの身体や危険運転や諸々の被害が拡大した。
小森弁護士はマスコミに呼ばれるたびにスタンスを変えていった。
違いますか?
しでかしたことに刑罰がそぐわない〜弁護士として一番身近で気づくことです。
刑事が言ってました「重すぎる」と・・・・・
その刑事はキャリアでしたけど。

維新の会の橋本にならないで下さい。
弁護士は常に弱者に寄り添う立場なんです。
権力が強大だと、カネがあると、客観的ではなくなるのです。
弁護士が右側へ回ると、この国は救いようが無くなります。
わかってますよね。

それでもカネが一番というなら好きにして下さい。
軽蔑するだけですから。
m
2015/12/14 22:39

国内大麻解禁議論に至るには、先ずは煙草喫煙問題を他先進国に合わせ、徹底的に最適化する必要を感じます。
他国での個人大麻ユーズ解禁には、必ず煙草喫煙問題解決が付きまとっていました。

ちょっと乱暴ですが、例えば国内禁止路上での違法喫煙者を刑罰で摘発する等、同様に法改正も併せて必要でしょう。

欧米で違法となるのは、公共場所での喫煙行為であり、他人への迷惑行為の典型例です。
もし、路上喫煙者が淘汰されれば、今度は欧州型のコーヒー ショップが登場して、有償で喫煙させるスキームが勃興するでしょう。
アムステルダム中央駅周辺のショップ内では、約半数近くが煙草喫煙者。煙草の喫煙が許可されるのは、街中はショップしか無いためです。

国内の大麻解禁には、自治体による公共スペースの全面禁煙化と刑法による罰則化を、上手く両立させる事が可能で有れば、次のステップへ進捗するのではと思います。

煙草喫煙者がこのまま野放しだったら、日本の大麻解禁は永久に不可能だと、欧米先進国からの教えでした。
神流美 王井門
2015/12/15 13:10

煙草喫煙者への様々な規制により、喫煙者そのものが減少が予想されます。
喫煙者減少による税収減をカバーする形で、超党派議員を中心に、大麻待望論が沸き起こり、上手く行けば『大麻規制緩和の在り方』審議会へ持ち込める訳です。

街中には政府公認の、欧州型コーヒー ショップが多数運営され、店内で個人ユーズ最小限度量の大麻を販売、そして有償喫煙させる。

収穫激減する煙草葉農家には、煙草葉に代わって大麻を栽培させる。
政府は大麻購入とユーズ専用の許可証を国民へ発行する。
徹底的な管理下で運営する店舗では、販売毎に記録と一緒に購入者の許可証をコピーする。

追い風としては、訪日外国人観光客の激増があります。

欧米をはじめ他国では、大麻ツーリズモの潮流がじわりと拡大しており、既に貴重な観光資源となっております。
日本の農業技術は素晴らしく、大麻の品種改良を重ね、ジャポニカ種のオリジナリティを出せれば、特産品に化ける可能性も秘めてます。
勿論、大麻ツーリズモ目的の訪日外国人観光客も激増するでしょう。

訪日外国人観光客を2020年 3千万人、2030年 5千万人受け容れ体制を掲げた日本政府。 先進国の一国としては海外情勢から、もう大麻議論を避けては通れないでしょう。

神流美 王井門
2015/12/16 00:16

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