弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 生後3か月の乳児が覚せい剤中毒死

<<   作成日時 : 2015/12/06 23:26   >>

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今夕、とんでもないニュースが飛び込んできました。
生後3か月の乳児が、覚せい剤中毒で死亡。母子と一緒にいた男性が、乳児に覚せい剤を投与したとして逮捕されたといいます。
おとなの乱用者が、覚せい剤の過量摂取で急性中毒になり、死亡に至ることは、それほど珍しいわけではありません。稀なことですが、他人を殺害しようとして覚せい剤を投与したというケースも、あります。
しかし、生後3か月の乳児が覚せい剤中毒で死亡とは、いったい何が起きたのでしょうか。

<ニュースから>*****
●乳児に覚醒剤投与、殺害疑い 熊本の24歳男逮捕
熊本県警は6日、知人女性の生後3カ月の乳児に覚醒剤を投与して殺害したとして、殺人と覚せい剤取締法違反(使用)の疑いなどで熊本県益城町・・・、自称会社員、Y容疑者(24)を逮捕した。県警は認否を明らかにしておらず、詳しい状況や動機を調べている。Y容疑者は乳児の父親ではないという。
逮捕容疑は今年9月4日未明ごろ、熊本市東区のラブホテルで、女性の長男、西田悠真ちゃんに覚醒剤を投与し、殺害した疑い。・・・以下省略・・・
産経ニュース2015.12.6 16:00
*****

覚せい剤には、中枢神経興奮作用のほかに、もうひとつ、交感神経を興奮させる作用もあり、この作用によって、血管が収縮し、心臓の鼓動が早くなり、発汗、ふるえ、血圧上昇や高体温などが生じます。重症になると、全身のけいれんが起き、意識を失うこともあります。
最悪の場合は、脳出血や、心筋梗塞による突然の心不全によって生命が失われるのです。横紋筋融解症による腎不全から死亡に至ることもあります。

ニュースは、女性が「子供が泡を吹いて固まっている」と110番した、と報じています。覚せい剤を摂取した乳児が急性中毒となり、重症のけいれん発作が起きていたのでしょう。

覚せい剤の致死量は、個人差が大きいのですが、おとなではだいたい1g程度といわれます。
また、ある文献に、アンフェタミンの場合ですが、小児では体重1s当たり5rが致死量という記載があるそうです(下記出典からのマゴビキです)。この数字を当てはめるなら、3か月の乳児の体重が5sとして、覚せい剤25rで致命的な結果をもたらすことになります。

乱用者が1回に使う覚せい剤は約30r、目分量では耳かき1杯の量ですが、このわずかな量が乳幼児にとっては致死量になるのです。
以前、私が担当した事件の周辺で、覚せい剤を使う親のそばにいた幼児が、ひきつけを起こして病院に運ばれたという例に出会ったこともあります。親の使った覚せい剤がテーブルか床にこぼれ、幼児がそれを口に入れてしまったのでしょう。そもそも、乳幼児のいる場所で覚せい剤を使うこと自体が、とんでもないことなのです。

さて、この事件ですが、今のところ報道されている内容がごくわずかで、いったいどんな経緯でこの小さな命が失われたのか、わかりません。
乳児の死後、母親と男性の覚せい剤使用が判明し、2人はすでに裁判を終え執行猶予付の有罪判決を言い渡されたそうです。普通なら、覚せい剤使用で勾留されている間にこの件についても捜査を進め、両事件を合せて審理するのでしょうが、捜査に手間取る事情があったのでしょうか。
続報を待ちたいと思います。

[出典]
上記の小児の場合の覚せい剤の致死量については、下記の文献からマゴビキしました。
井上堯子ほか『改訂版 覚せい剤Q&A―捜査官のための化学ガイド』24頁、東京法令出版、2008年

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