弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS メキシコ発、テキーラ瓶に覚せい剤160キロ

<<   作成日時 : 2015/12/04 06:03   >>

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今年に入って、メキシコ発の覚せい剤大型密輸の摘発が途絶え気味で推移していることが、私にはずっと気になっていました。いま日本にはふんだんな覚せい剤が出回っている現状から考えると、水面下では、大型密輸が行われているのではないかと思えてならなかったのです。
当サイト11月25日付の記事でそんな私見を述べたところへ(下記参照@)、やっぱり・・・。メキシコ発の覚せい剤大型密輸摘発のニュースが届きました。

<ニュースから>*****
●覚せい剤160キロ超を密輸か テキーラ瓶でメキシコから
横浜市鶴見区の倉庫に今秋、メキシコから貨物船で運ばれてきたコンテナにあった約7千本のテキーラの瓶を千葉県警などが調べたところ、千本以上に溶かした覚せい剤が入っていた疑いのあることが2日、捜査関係者への取材で分かった。同県警は密輸事件として捜査、覚せい剤が合計で160キロを超えるとみて、鑑定を進めている。
同県警などはこれまでに、テキーラ瓶などの貨物の明細書を持って成田空港から入国していたメキシコ人で会社役員の男(42)を覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)などの疑いで逮捕、千葉地検が11月に同罪などで起訴している。同県警はこの男が密輸に関わったとみている。
共同通信 2015年12月2日 22時17分 (2015年12月2日 22時18分 更新)
*****

●警戒すべきは、メキシコ、液体、商業貨物
メキシコは、いまや世界でも最大の覚せい剤(メタンフェタミン)の密造地域です。
覚せい剤の密造は、世界中のいろいろな場所で行われていますが、そのほとんどが手作業で小規模に行われているのに比べ、メキシコでは、麻薬カルテルが化学工場並みの製造設備を備えた大規模密造所を運営し、大量の覚せい剤を生み出しているのです。

メキシコ産覚せい剤の最大の密輸先は、隣接する米国で、国境を越えて大量の覚せい剤が密輸され、その量は年々増加しています。
国境に近いカリフォルニア州サンディエゴは、メキシコから密輸される覚せい剤の影響が最も深刻な地域のひとつで、つい先日発表された報告書によると、2014年中にカリフォルニア州内の国境検問所で押収されたメタンフェタミンは5,862 kg、5年前と比べておよそ3倍に増加という結果でした(下記参照A)。

しかし、米国の覚せい剤需要は、近年では停滞傾向を見せていて、メキシコで産出する膨大な量の覚せい剤は、ダブつき気味です。そこでカルテルの側は、次なる密輸先の開拓を狙っているといわれます。その有望な密輸先として挙げられるのが東アジア・太平洋地域で、なかでも覚せい剤の密売価格の高い日本が重点目標になっているとみられているのです。
画像

↑アロエジュースに偽装した液体状覚せい剤の押収を報じるニュース
2015年6月29日付けのBreitbart ニュースは、メキシコ軍が液状メタンフェタミンが入ったアロエ・ベラの瓶29本を押収したと報じました。メキシコの農村部から国境地帯へ向かうバス乗客の手荷物検査でみつかったものだといいます。
http://www.breitbart.com/texas/2015/07/29/mexican-military-seizes-meth-hidden-in-aloe-vera-bottles-headed-to-border/

ところで、カルテルの手で行われる覚せい剤密輸の手法に、近年、新しい動きが起きています。覚せい剤は通常、細かい結晶状で流通していますが、それを水や有機溶媒に溶かした液体にして、密輸する手口です。
各地の税関や国境検問所では、密輸に対する警戒が厳しくなり、高機能なスキャナーや大型X線装置が導入されるケースも増え、従来の偽装工作では簡単に見破られるリスクが高くなったのです。
液体状の覚せい剤を、酒や飲料、化粧品、液状洗剤などの容器に詰め、工場から出荷された状態と同じように密封しておけば、外見からは見分けがつかず、X線装置でも発見されません。しかも、酒や食品、日用品などの強い香りが覚せい剤のかすかなにおいを消してしまいます。最近では、覚せい剤を溶かしこんだガソリンを自動車のガソリンタンクに満載して、国境を超える手口も増えています。

米国のニュースから、国境地帯で摘発された、液体状の覚せい剤密輸の例を拾ってみましょう。ほんの数か月遡るだけで、いろいろな手口が見つかります。
■ガソリンタンクに5ガロンの液体状覚せい剤、国境警備隊が密輸を摘発
テキサス州 2015年11月22日 Laredo Morning Times 
http://www.lmtonline.com/news/local/article_d3b7a1c8-9155-11e5-9c54-d73ae54331f0.html
■瓶36本に覚せい剤2.8キロを含む液体、国境で摘発
テキサス州 2015年11月19日 Brownsville Herald
http://www.brownsvilleherald.com/news/local/article_4d9809a4-8f3c-11e5-8320-17103edb6570.html
■ガソリンタンク内に約70キロの液体状覚せい剤
カリフォルニア州サンディエゴ 2015年10月29日 ABC7ニュース 
http://abc7.com/news/150-pounds-of-liquid-meth-seized-at-ca-border/1058175/
■再結晶化拠点を摘発、710万ドル相当の覚せい剤を押収
ジョージア州アトランタ 2015年9月2日 AJC.com
http://www.ajc.com/news/news/local/71m-in-meth-seized-in-sandy-springs-bust/nnXFy/

液体状で密輸された覚せい剤は、密輸組織の手で再結晶化され、市場に出回ります。水溶液の場合は、水分を蒸発させるだけで結晶を取り出すことができますが、香りの強い液体や油性の溶媒に溶かした場合は、有機溶媒を使って不純物を除去する技術が必要です。多様な種類の液体状覚せい剤の密輸にあたっては、密輸品を受け取って製品化する要員が、先回りして来日することもあるはずです。
つまり、液体状での覚せい剤密輸は、相当に大掛かりなもので、それに見合うには、密輸される覚せい剤の量も多くなるというわけです。

メキシコから遠く離れた日本への密輸となると、航空機の乗客を運び屋に仕立てて、少量ずつ運んだところで、たいした量にはなりません。密輸組織の側は、当然、もっと大量に運ぶことを考えるでしょう。そこで、警戒すべきは商業貨物ということになります。
今回はテキーラでしたが、液体状の輸入品はいくらでもあります。まだ摘発の手が及んでいないところで、様々な液体状の製品に隠されて、覚せい剤が密輸されているのかもしれません。

桁違いの密造キャパシティーをもつメキシコのカルテルを相手に、覚せい剤密輸をめぐる新たな攻防戦が始まろうとしています。

[参照]
@当サイト内過去記事
「覚せい剤密輸の摘発が大幅減|成田空港」2015/11/25
http://33765910.at.webry.info/201511/article_12.html
Aカリフォルニア州サンディエゴ地域の覚せい剤報告書
Methamphetamine Strike Force Report Card 2015
http://www.sandiegouniontribune.com/documents/2015/nov/30/meth-strike-force-2015-report-card/

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