弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 名古屋の集団襲撃事件、密売グループに関係か

<<   作成日時 : 2015/12/23 11:34   >>

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名古屋市で起きた集団襲撃事件が、イラン人密売グループに関係しているとの見方が出てきました。襲撃事件の現場近くで、注射器数十本がみつかったといいます。

覚せい剤密売人は、たいてい、「パケ」と呼ばれる小袋入りの覚せい剤と一緒に、「ポンプ」と呼ばれる注射器も取り扱っています。
使われるのは、糖尿病患者がインスリン注射に使う小型のものです。医療用に使われる正規の価格は1本当り20円弱程度ですが、もちろん患者以外の人が入手することはできません。
そこで、密売人たちはヤミルートで注射器を入手するのですが、その方法は外国から不正に輸入したり、生活苦の患者や医療ルートからの横流し品などを買い取ったりと、多彩です。

最近では、覚せい剤使用者の多くが、長年にわたって乱用を続けてきた人たちで占められていて、使用方法も、注射によるものが多くなっています。注射使用することで使用時の強い快感が得られることに加えて、この方法が最もロスが少ないのです。
いきおい、密売人も覚せい剤と注射器をセットで販売することが多くなります。夜の繁華街で注射器がまとめて見つかれば、密売人の痕跡かと疑われるわけです。

<ニュースから>*****
●名古屋の襲撃、被害者はイラン人 麻薬めぐりトラブルか
名古屋市中川区の市道で20日未明、外国人とみられる複数の男から集団暴行を受け、死亡した男性は20代のイラン人で、麻薬密売グループに関係するとみられることが愛知県警への取材でわかった。現場近くからは注射器数十本が見つかっており、県警は薬物をめぐるトラブルの可能性もあるとみて捜査を進めている(以下省略)。
2015年12月23日 朝日新聞
*****

●密売グループ周辺での暴力事件
密売人の縄張りや仕入れルートをめぐる抗争、密売によって転がり込む利益をめぐる内輪もめなど、薬物密売グループの周辺で暴力沙汰が起きることは、珍しくありません。殺人や監禁といった陰惨な事件も多発しました。後ろ暗い商売をしている密売人なら、被害を受けても警察に届けることはないとみて、狙い撃ちしたという、悪質な強盗事件もありました。

名古屋での襲撃事件も、これまでよくあった、密売グループ周辺の暴力事件のひとつかもしれません。
でも、私は、この事件の一報を知ったときに、ひと昔前、イラン人密売グループ周辺で暴力事件が頻発したころのことを思い浮かべていました。発生場所が名古屋だったことや、イラン人グループが関係しているといったこともあります。でも、最近の覚せい剤供給ルートに何やら大きな変化が生じているように感じていたところに、こうした事件が起きたことが、気になっているのです。

2006〜2007年ころ、薬物密売に関わるイラン人グループの周辺で暴力事件が頻発したことがありました。警察庁の薬物・銃器情勢に関する当時の資料には、次のような記載があります。
「イラン人薬物密売組織は、薬物密売に絡む他組織との抗争、組織内のトラブル等から、過去には逮捕監禁、けん銃使用による殺人事件等を敢行しており、同組織の凶悪化・武装化が認められる。」

相次いだ暴力事件は、その都度、密売グループ間の勢力争い、指揮系統の変化による抗争などと説明されてきました。しかし、今思えば、日本の密売覚せい剤の流通が大きく変化した時期に当って、覚せい剤流通構造の再編成が進んでいて、その過程で、暴力事件が頻発していたのだと考えることができます。

1990年代後半から、日本の暴力団は覚せい剤の密輸密売への関与を深めていました。中国や北朝鮮から豊富に供給された覚せい剤の密流通を取り仕切ることは、暴力団にとって有力な資金源になっていたのです。
ところが、21世紀に入ったとたん、北朝鮮からの海上密輸ルートは遮断され、覚せい剤への取締まりを強化した中国からの密輸も、急速に困難になり、日本に流入する覚せい剤が極端に減少したのです。
この時期に、新たな覚せい剤密輸ルートを開き、日本に覚せい剤を密輸した主な勢力は、イラン人など外国人グループでした。2007年ころは北米大陸から、次いで中東やアフリカから、外国人グループの手を経て覚せい剤が密輸されるようになったのです。それまで、覚せい剤取引の主役だった暴力団は、しだいに、日本国内に密輸された覚せい剤を買い受ける立場へと軸足を移していきました。

さて、2015年末の現在、日本の密売市場には、世界規模の密輸ルートを経由して覚せい剤が流れ込んでいますが、最近の密輸摘発ケースのなかに、気になる動きがあります。世界でも最大級の覚せい剤生産地であるメキシコから、数十キロ、時に百キロを超える大量の覚せい剤が直接送り込まれているのです。
こうした密輸を主導している組織は、まだ明らかになっていませんが、どうやらこれまでの密輸ルートとは異なる要素が見え隠れしています。わが国に流入する覚せい剤密輸ルートに、また新しい要素が登場しているように思えてなりません。

ともあれ、構造変化が起きる時期には、既存組織の周辺で暴力沙汰が頻発しがちです。密売グループの不穏な動きが、市民社会を脅かすようなことがないよう祈らずにいられません。

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内 容 ニックネーム/日時

かつて深夜の渋谷センター街でも、同様な事件が有りました。
これは一般市民からすると、見えない恐怖だと思います。

ところで最近の都区内では外国人が続々と流入、増加しています。
一部の無法地帯を謳歌する外国人に対して、行政指導型の『交通整理』を早急に実施しないと、何らかの新たな問題が起こりそうです。

訪日外国人激増と彼等の爆買いは、日本経済の下支えになります。
しかし、『初めての海外渡航』、『初めての訪日』に該当する外国人達を許容する、度量を持った日本人は、電車内での道案内も満足に出来ていない様子から察すると、意外と少ないです。

日本人が多様な外国人と上手く共存体験する、初めての時代が訪れたと実感します。




神流美 王井門
2015/12/30 02:11

訪日外国人は全てが善人とは限りません。
一部の犯罪目的で訪日する外国人から、日本人が洗礼を受ける可能性が有ります。

それはスリと置き引きです。

諸外国で最も頻発する犯罪はスリと置き引きで、日本人観光客は格好な獲物です。

そんな獲物が街に溢れる日本国内は、外国人の『出稼ぎ場所』となる可能性が有ります。
しかし、これは日本人にとって、社会経験する良い機会だと思います。

もし被害に遭えば、物を盗んで生活する人間が身近に共存する事を、身を持って初めて知る貴重な体験となります。

ある意味、彼等は先生だと思います。

神流美 王井門
2015/12/30 02:55

訪日外国人が夜の繁華街へ繰り出しています。

最近よく訪日外国人が客引きするお兄さんと、何らかのやり取りをする姿を見かけます。
ひょっとしたら、日本へ旅行に来た外国人へフォーカスした、新たな違法品マーケティングが起こりそうです。

潤沢な資金を持った顧客は、別の爆買いにアプローチするかもしれません。

神流美 王井門
2015/12/31 02:54

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