弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 覚せい剤密輸の摘発が大幅減|成田空港

<<   作成日時 : 2015/11/25 22:49   >>

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成田空港の税関で、年初から10月末までの密輸摘発実績の発表がありました。覚せい剤密輸は、摘発件数、押収量ともに、昨年より大幅に減少したということです。
先日、当ブログに、「税関での密輸摘発、減る覚せい剤、増える金地金」という記事を載せ、今年の覚せい剤密輸摘発はかなり減少しそうだと書いたのですが、そのとおりの発表となりました。

<ニュースから>*****
●覚せい剤は大幅減 手口巧妙化か、別手段移行か
(東京税関成田支署は)、成田空港で1〜10月に摘発した覚せい剤密輸事件が前年同期比で約82%減の13件、覚せい剤の押収量が同約65%減の約61キロとなり、いずれも大幅に減少したと発表した。
同支署は「成田空港ではこれまで旅客による密輸が多かったが、手口が巧妙化したか、貨物、郵便など別の方法に移行した可能性もある」としている。覚せい剤の国内の末端価格は昨年とほぼ変わっていないとして、引き続き警戒を強める。
ちばとぴ(千葉日報)「金の密輸入急増 摘発件数17・5倍 税制悪用、消費税分8%利益に 成田空港」2015年11月24日 10:25
*****

●姿を消したメキシコ発の大量密輸
これまで、輸入押収量を押し上げてきたのは、主に大型密輸の摘発でした。2000年前後に桁違いに押収量が多かった時期には、北朝鮮仕出しの覚せい剤が海上ルートで密輸され、100キロ、200キロという大型摘発が相次いだものです。その後、北朝鮮での組織的な覚せい剤密造・密輸そのものが下火になり、この波は沈静化しました。
2013年から2014年には、機械や車両、石材などに隠した覚せい剤が、メキシコから次々に送り込まれ、相次ぐ大型摘発が年間の押収量を押し上げました。

今年は、1回の摘発で数十キロ、ときには100キロ超の覚せい剤が押収されるような、大型密輸事件がほとんどなく、この流れが止まったように見えます。
しかし、メキシコのカルテルが覚せい剤の密造をやめたわけではありません。米国のメキシコ国境地帯で押収される覚せい剤(メタンフェタミン)は年々増加しているのです。
相次ぐ大型摘発に遭い、メキシコ組織が日本への密輸をあきらめたと考えることもできますが、この組織がそうやすやすと作戦を放棄するとも思えません。密輸手法を切り替えたとみる方が妥当でしょう。
画像

↑覚せい剤密輸摘発の推移・仕出し地別
各年度の税関による発表資料に基づき筆者が作成したグラフ

そこで思い当たるのは、水溶液での覚せい剤密輸です。メキシコから大量の覚せい剤が運び込まれる米国で、いま最も警戒されているのが、水溶液で密輸され、国内で再結晶させるという手口です。
米麻薬取締局(DEA)の「薬物脅威分析」報告書・2015年版は、メキシコ国境地帯で液体に溶かしたメタンフェタミンが増加していると指摘しています。水、アルコール、ジュースなどに溶かされ、酒や飲料、液体洗剤といった容器に入れ、工場から出荷された状態と見分けがつかないように封がされた状態で密輸されます。ときには、車のラジエーター液タンク、バッテリー液やフロントグラス洗浄液タンクなどに隠されることもあります(下記参照A)。

そういえば、こうした手口は、すでにわが国でも摘発例があります。これまでは、旅客による携帯密輸の形で少量ずつ持ち込まれてきたのものが、商業貨物のなかに紛れ込んで大量に密輸されている恐れもあるでしょう。
日々進化する密輸の手口、新たな隠匿手法を見破るための技術開発が遅れをとらないよう、水際の守りをしっかりお願いします。

@今年の密輸摘発の動向についての過去記事
「税関での密輸摘発、減る覚せい剤、増える金地金」2015/11/16
http://33765910.at.webry.info/201511/article_8.html
A米麻薬取締局(DEA)の「薬物脅威分析」報告書・2015年版
National Drug Threat Assessment Summary 2015
液体メタンフェタミンについては50-51ページ
http://www.dea.gov/docs/2015%20NDTA%20Report.pdf

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