弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 危険ドラッグ対策レビュー・15

<<   作成日時 : 2015/09/26 07:08   >>

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「危険ドラッグ対策レビュー・14」2015/09/14 からの続きです。
前記事http://33765910.at.webry.info/201509/article_6.html
*****

6、危険ドラッグのマーケット

⑴危険ドラッグの使用者
 一時的とはいえ、日本の都市部に広く蔓延し、新たな社会現象にまでなった危険ドラッグですが、その使用者像や使用実態などは、いまだ十分に把握されているとはいえません。でも、幸いなことに、私たちの手の届くところに、危険ドラッグ使用者を知るための、貴重な手がかりがあります。
 データをたどりながら、今次の流行期に危険ドラッグを使った人たちの像を追ってみましょう。

@危険ドラッグ乱用者像―警察庁の分析
 警察庁は、2014年上期から2015年上期まで、3回にわたって危険ドラッグ乱用者層に関する分析を発表してきました(以下「○年版薬物・銃器情勢」といいます)[1] 。ここでいう「危険ドラッグ乱用者」とは、「危険ドラッグに係る検挙人員のうち、危険ドラッグを販売するなどにより検挙された供給者側を除いた検挙をいう。」とされています。2014年4月、旧薬事法の改正によって、指定薬物の単純所持等に対する禁止が追加されたことによって、危険ドラッグ使用者の検挙が増えたことから、こうした分析が可能になったのです。
 上記各報告書は、2014年1月〜2015年6月末までに検挙された(検挙者が集中しているのは2014年7月〜2015年6月)、通算1,180人を対象とした分析で、対象者数が多く、しかも刑事手続の過程で収集された正確なデータであるという点からも、極めて信頼性の高いものであるといえます。また、「乱用者」のほとんどが、街頭での職務質問などによって検挙されていると考えられることから、検挙対象者は一般の危険ドラッグ使用者層と偏りなく重なると思われます。

■薬物使用経験
 検挙された危険ドラッグ乱用者のほとんどは、これまでに他の薬物犯罪で検挙された経歴のない人たちでした。このことから推測すれば、危険ドラッグ使用者の多くは、薬物使用歴が比較的浅く、今次の危険ドラッグ流行の刺激を受けて薬物を使い始めた人も少なくなかったものと思われます。
  ・2014年中(631人)中・・・薬物事犯の初犯者が79.2%
  ・2015年上半期(549人)中・・・薬物事犯の初犯者が73.4%
 
■年齢層
  ・2014年中に検挙された危険ドラッグ乱用者(631人)の平均年齢・・・33.4歳
  ・2015年上半期に検挙された危険ドラッグ乱用者(549人)の平均年齢・・・34.0歳
 検挙された「乱用者」通算1,180人についてみると、年齢層では、下のグラフのとおり、20〜29歳(35.1%)、30〜39歳(34.9%)が大半を占めていますが、50歳以上が6.8%、また20歳未満の少年が3.7%含まれるなど、幅広い年齢層にわたっています。
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↑検挙された危険ドラッグ乱用者の年齢構成
注[1]記載の各資料のデータに基づき筆者が集計し・グラフ化したもの

 2014年版薬物・銃器情勢は、危険ドラッグ乱用者の平均年齢は33.4歳であり、「覚醒剤乱用者の平均年齢41.7歳より低く、大麻乱用者の平均年齢31.9歳より高い。」と分析しています。
画像
 
↑危険ドラッグ乱用者、大麻乱用者、覚せい剤乱用者の年齢層比較
2014年版薬物・銃器情勢より転載

A青少年層の危険ドラッグ使用
 危険ドラッグの乱用が広まり始めたころから、危険ドラッグ使用者の中心が若年層だという、見方が広がっていたことから、上記の警察庁による分析が示す、危険ドラッグ乱用者の年齢層に、違和感を持たれた方もあるのではないでしょうか。
 2012〜2013年頃、各地から、危険ドラッグを使用した人たちの救急搬送が急増しているというニュースがもたらされ始めましたが、救急搬送された患者の大半は、青少年であったと報告されています。

<当時のニュース記事から>*****
■[神奈川県警発表]
 昨年3月から今年5月末までの間に発生した78件のうち、吸引直後に酩酊(めいてい)状態になるなど健康被害があったケースは43件にのぼる。そのうち30歳未満の若年層が関わったのは過半数に達し、「脱法ハーブは覚醒剤など違法薬物を乱用する契機になりかねない」(県警銃器薬物対策課)と警戒を強める。
(産経新聞・神奈川「脱法ハーブ事案が急増、昨年の10倍ペース」2012年6月23日) 
■[警視庁発表]
(警視庁が)把握する救急搬送は、脱法ハーブ以外の粉末や液体なども加えた脱法ドラッグ全体で219人となり、うち約1割の26人が未成年者だった。(読売新聞夕刊「脱法ハーブ救急搬送 都内で昨年 前年11人から大幅増」2013年1月29日)
■[福岡県発表]
(福岡県は)2012年に脱法ハーブを吸引して薬物中毒の疑いで救急搬送された人が、県内で84人に上ったことを明らかにした。今年に入ってからは5月末までに27人が搬送されたという。県によると、12年1月から13年5月までの搬送者を年齢構成別にみると、10代14人、20代50人、30代34人、40代11人、50代2人。このうち、中高生に該当する15〜18歳が7人で、低年齢化が進んでいる。(西日本新聞「脱法ハーブによる救急搬送 5月までに27人」2013年6月15日)
*****

 これを裏付けているのは、救急搬送された患者に関するデータです。前述したように、愛知県では2011年分から(年齢層、発生場所などを含む詳細データは2012年2月分から)、大阪府では2012年5月から、危険ドラッグによると疑われる救急搬送患者などに関する調査を続け、その結果を発表しています。
 下図は、愛知県による集計データに基づき、救急搬送者患者の年齢層をあらわしたもので、対象者は2012年2月〜2015年6月までの救急搬送者327名ですが[2] 、グラフが示すように、10代、20代の青少年層が60%近くを占めています。
 大阪府の集計についても、2012年5月以降の全患者のうち10代、20代の青少年層の占める割合は63%と、愛知県の場合ときわめてよく似た構成を示しています [3]。

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↑危険ドラッグによると疑われる救急搬送者の年齢層(愛知県)

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↑危険ドラッグ関連の健康被害例の年齢層(大阪府)

Bユーザー層の変化
 これまで見てきたように、警察の検挙者データと救急搬送等の患者データでは、危険ドラッグ使用者の年齢層にかなり違いがありますが、この差は、集計が行われた時期の違いによるものではないかと、私は考えています。
 愛知県及び大阪府による患者データは、いずれも2012年前半から3年以上にわたって集計されてきたものですが、その推移を仔細にみていくと、時期とともに、患者の年齢層が変化してきたことがわかります。ごく簡単に言うなら、最も患者の発生が多かった2012年頃には、10代、20代の青少年層が圧倒的多数を占めていたものが、その後、患者が急速に減少するとともに、年齢層が上がる傾向がみられるのです。
 つまり、流行初期の2012年頃には、好奇心や入手の手軽さなどから危険ドラッグに手を伸ばす青少年が多く、使用者の中心層を青少年が占めていたものが、取締まり強化や広報活動の浸透によって危険ドラッグに対する社会的な非難が強まるとともに、青少年層の危険ドラッグ離れが進行していったと推測することができます。いっぽう、30歳以上の年齢層は、危険ドラッグに対する取締り強化や社会的な非難の高まりに影響されることが少なく、危険ドラッグを使い続ける人たちが多かったものと思われます。
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↑危険ドラッグ使用者層の変化
大阪府、愛知県の患者データによる年齢層比較

 これと比較して、警察による検挙者データは2014年以降のものであり、既に多くの若者が危険ドラッグ使用から離れた後の状況を反映していると考えることができるでしょう。

<出典と注釈>
[1]警察庁刑事局組織犯罪対策部薬物銃器対策課「平成26年上半期の薬物・銃器情勢」、同「平成26年の薬物・銃器情勢」、同「平成27年上半期の薬物・銃器情勢」
[2]愛知県「危険ドラッグが原因と疑われる救急事例に関する報告の集計結果について」
http://www.pref.aichi.jp/0000065261.html
[3]大阪府「危険ドラッグの使用によると疑われる健康被害状況について」
http://www.pref.osaka.lg.jp/yakumu/ihoudrug/idorakenkouhigai.html

*****
続きは「危険ドラッグ対策レビュー・16」へ
http://33765910.at.webry.info/201510/article_6.html

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滅智蓮寺 熾
2015/09/26 12:19
↑の投稿は私によるものではありません。
滅智蓮寺 熾
2015/09/26 16:19
↑バリうける ただのエロサイトかよ
ああああ
2015/09/26 16:43

不特定多数の人が集まる場所の一つに、高速道路のPAがあります。都区内近郊の典型的な大型PAは横浜大黒。

週末、自慢の改造車でここに集まる面子は、コンプライアンスの欠片も持たない連中です。

何しろ異常な大音響のオーディオを積んだり、極端に車体からはみ出すタイヤ等、一目で違法だと判る悪質改造車で集まります。

どうやら彼等を観察すると、日常的な違法行為を繰り返す事を、生き甲斐にしている様子です。

ここのPAは横浜市中心地でもあり、米国系や中華系の外国人も多いのが特徴です。

交通安全を最優先とした高速機動隊による取り締まりしか行われないこんな場所は、意外と違法物品の取引場所に利用されそうです。

監視カメラも少ない暗がりの中は案の定、怖そうなお兄さんが大勢たむろしています。

ひょっとしたら駅前繁華街の街頭より、違法物品取引の穴場かもしれません。

神流美 王井門
2015/09/28 22:25
薬物に手を出した本質的な根源にある
理由が知りたい。
参考文献:人はなぜ依存症になるか
lol again
2015/09/29 09:22
沙矢さんのお父ちゃんは、お酒に依存していた時期が長くよくブラックアウト状態になっていました。
そのお父ちゃんが、沙矢さんの不倫捏造事件のあと別人のようにカッコ良くなり、なんと運送会社の社長さんになってしまいました。沙矢さんは、東京に宿泊している間にお父ちゃんと文通を始めたそうです。
びっくりしたのは、お父ちゃんのほうでした。
娘に嫌われているとばかり思い込んでいたらしいです。
真相を知ったお父ちゃんの活躍は、酒乱だった人とはとても思えない変身ぶりだったそうです。
↑たった一人だけでも理解者がいれば依存症から脱却できると思います。
依存症について
2015/10/04 05:44
沙矢さんのお父ちゃんは末期の膵臓がんだったのですが
大往生で天国に逝ってしまいました。告知は沙矢さんが受け抗がん剤も使わずオペもやらずモルヒネだけ使いました。治療しなかった人のほうが穏やかに亡くなるのは真実みたいです。ご報告まで 
お父ちゃん膵臓がんで天国へ
2015/10/04 06:08
前の方が仰る通りです。私の場合も、自分の発達障害の諸症状を、誰にも理解されずに、家庭や学校において、言葉、肉体、両方の暴力を受け、とうとう、もう死ぬ事しか考えられなくなっている時に、元構成員を名乗る男性からSを勧められたのです。必ず物事には、始まりがあり、終わりがあります。原因があって、結果があります。>たった一人だけでも理解者がいれば依存症から脱却できる は、本当です。
そのやん
2015/10/04 21:22
前原官吏と直系の子孫たちのイメージは大きく捏造されてきたようですね。旅順工科大学を卒業したばかりの官吏がソウルに赴任したのは、わずか23歳の頃でした。
官僚さんにありがちな偏差値至上主義ではなく、子共たちを国鉄職員にしようとさえしなかったのだそうです。
優勝な子共は90点でも叱られ、お父ちゃんは70点で褒められていたのだとか・・。
礼節を重んじ友情を大切にする前原官吏の子孫は皆立派
に成長しました。
風評被害による捏造
2015/10/07 16:41
体験した人にしか理解できないほど、テクノロジー犯罪は進化してるそうです。「ワシのほうが上やで!」と技術を見せつけられるような経験をしてしまったそうです。
戦争は無理してでも作り出したい人がおるんやなと確信に至ったんやそうです。市民は連帯して平和を守ろう。
確かな証拠はないけれど・・
2015/10/11 17:33

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