弁護士小森榮の薬物問題ノート

アクセスカウンタ

zoom RSS 米国の捜査陣は、中国の化学会社に目を向けている

<<   作成日時 : 2015/09/02 04:20   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 5

米国でも、危険ドラッグ業者の摘発が本格的に動き出し、各地のローカルニュースが、販売業者や製造業者の逮捕や裁判について、頻繁に情報を発信しています。
でも、その原料は、中国の化学工場でどんどん製造され、インターネットを通じて販売されているのです。自国内の業者をいくら摘発してみても、根源の原料輸入を遮断しない限り、危険ドラッグはなくならない・・・。米国でも、最近はそんな声が聞かれます。
米国の危険ドラッグ取締まりは、いま、危険ドラッグ問題の大元、中国の化学会社や流通業者に目を向け始めたようです。この数か月、目についた動きをまとめてみました。

●中国の危険ドラッグ製造業者を米空港で逮捕
米麻薬取締局(DEA)と国税庁犯罪捜査事務所(IRS)は、今年3月、ロサンゼルス空港に到着した中国人男性、ティアン・ハイジュン(田海军?)を逮捕したと発表しました。男性は、中国で危険ドラッグ原料を製造し、米国に輸出していた有力な業者とみられています。逮捕された中国人ディーラーは、米国に輸出されることを知りながら中国で危険ドラッグ原料AB-FUBINACAを製造し、米国に輸出したなどの罪状で、ミルウォーキーの連邦裁判所に起訴され、裁判手続きが開始されたということです。
AB-FUBINACAは米連邦ではスケジュールT物質に指定されており、裁判で有罪になれば、最長60年の拘禁及び300万ドル以下の罰金が科せられることになります(下記参照@)。

捜査のきっかけになったのは、ウィスコンシン州で危険ドラッグを販売していた業者が摘発されたことでした。地元のニュースサイトによると、この販売業者はインターネットを通じて「合成大麻」を販売し、最盛期には1か月に13万ドル(約1400万円)の売り上げを挙げていましたが、逮捕後は捜査当局に協力して情報を提供してきました。業者の提供した情報によって、危険ドラッグの製造元としてテキサスの会社が浮かび上がり、さらに原料薬物の供給元の中国人ディーラーが特定されました。テキサスの会社関係者の誘いに乗って、米国を訪れた中国人ディーラーは、ロサンゼルス空港に到着したところで逮捕されたというわけです(下記参照A)。

●国際手配されている中国の化学会社
ニューヨークタイムズが6月に掲載した記事は、危険ドラッグ原料を欧米に輸出しているとしてインターポールが国際手配している、上海の化学会社、CEC株式会社への取材ルポです(下記参照B)。
この会社は、「研究用試薬」と称して、危険ドラッグ原料の薬物をインターネット販売しているとして、2011年にインターポールが経営者を国際手配し、各国の捜査当局も実態調査に乗り出しています。また、覚せい剤(メタンフェタミン)製造の原料化学品を出荷したとして、オーストラリア警察も告発しています。
画像

↑米財務省によるCEC株式会社の資料(下記参照C)

しかし、この会社は中国国内では活発な事業活動を続け、危険ドラッグを輸出し続けてきました。2013年11月、各国からの要請に配慮したのか、中国の警察は、他人に犯罪手法を教授した罪で経営者のチャンを逮捕しましたが、その後も親族の手で会社は運営されているといいます。
記者が訪問したのは、上海の国際空港にほど近いビジネス地区、IDカードを首から下げた若い人たちが行きかうオフィスビルの6階です。経営者の母親という女性が、不機嫌そうに、外国人記者のインタビューに応じてくれたそうです。
危険ドラッグ原料の製造者として西欧社会で指名手配されているというのに、この会社は、中国国内では、ごく普通の会社として活動しているのです。自らの英文ホームページでも、社名や所在地、電話番号などを堂々と掲載しています(現在もホームページは稼働しています)。中国にとって、現在はほとんど国内問題になっていないこの種の薬物に対する感覚のギャップの大きさに、記事は焦点をあてています。

2014年7月、米財務省は、中国の化学会社CEC株式会社、及び経営者らを麻薬犯罪組織の重要人物に指定しました。この指定によって、対象者及び法人との取引は禁止され、対象者及び法人が合衆国内で保有する資産は凍結されました(下記参照C)。

@DEAの報道発表
Top China-Based Global Designer Drug Trafficker Arrested in U.S.(May 28, 2015)
http://www.dea.gov/divisions/chi/2015/chi052815.shtml
Aウィスコンシンのニュースサイト記事
Records: Wisconsin dealer gave key tips on synthetic drug operation(May 27, 2015)
http://www.jsonline.com/news/crime/records-wisconsin-dealer-gave-key-tips-on-synthetic-drug-operation-b99508520z1-305249861.html
Bニューヨークタイムズの記事
Synthetic Drug Manufacturing Is an Open Secret in China(JUNE 21, 2015)
http://www.nytimes.com/times-insider/2015/06/23/synthetic-drug-manufacturing-is-an-open-secret-in-china/?_r=0
C米財務省の報道発表
Designations Pursuant to the Foreign Narcotics Kingpin(7/29/2014)
http://www.treasury.gov/press-center/press-releases/Pages/jl2593.aspx

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
https://books.google.co.jp/books?id=Mqf-CQAAQBAJ&pg=PA41&lpg=PA41&dq=%E2%80%9D%E7%94%B0%E6%B5%B7%E8%BB%8D%E2%80%9D&source=bl&ots=atbbwgIe9n&sig=-6OLBLZA6TDikiJAFtVzvtwtw7k&hl=ja&sa=X&ved=0CCIQ6AEwAWoVChMI-omg24fXxwIViJ2UCh2wKAl2#v=onepage&q=%E2%80%9D%E7%94%B0%E6%B5%B7%E8%BB%8D%E2%80%9D&f=false
「田海軍」で検索すると、こんな雑誌の記事が出てきました。
6月時点の物です。

しかし、アメリカは連邦アナログ法という、どこまでが規制対象なのかあいまいな法律によって規制されていると聞きますが、そういった国に対して脱法ドラッグを輸出するのは、なかなかリスクがあると思います。
実務では、どのように輸入の可否が判断されていたのか、興味深いところです。
滅智蓮寺 熾
2015/09/02 09:27

LAXは世界の中でも相当に、入国審査が厳しい国際空港だと思います。


入国審ブースには度々、審査員が2名居ます。
1人がパスポート情報照会と執拗な質問責めを行い、もう1人が顔面、指紋等の生体認証を複数台のカメラを使い撮影、そして舐める様に目視をします。

入国審査ブースの2名体制は、他国では感じない迫力が有り、その圧力感が犯罪抑止力にも繋がっていると思われます。


しかしながら、実際のロス市内中心部は、既にヒスパニックの街に変わってしまい、間断無く隣国メキシコから流入するヒスパニック達がもたらしたドーナツ現象により、白人をあまり見掛けなくなりました。

ダウンタウンの夜間は毎晩、事件捜査の複数台ヘリコプターがスポットサーチライトを点けて飛び回っています。
ハリウッド映画さながらといった光景です。

神流美 王井門
2015/09/02 22:00
使用者を逮捕して嬉々としてる日本の警察とは格段に違いますね。
そう言えば、カンボジアの麻薬王で国会議員もCIAがずっとマークしていますね。
m
2015/09/03 06:55
これは密輸で逮捕とかではなく、中国国内から輸出していたことに対して逮捕ってことですよね
なんか違和感あります
だってアメリカ国内で、この中国人は一切法律を犯していないわけですよね?
アメリカの法律で、中国国内でやったことを裁けるんですか?
これは我々一般日本人にも関わってくる問題じゃないですか
イーベイ等で日本のものを購入するアメリカ人は急増しています。もしそれが日本で合法だけどあっちで違法だったら?
わかりやすく解説して欲しいですね
貴族
2015/09/03 17:44
これは密輸で逮捕とかではなく、中国国内から輸出していたことに対して逮捕ってことですよね
なんか違和感あります
だってアメリカ国内で、この中国人は一切法律を犯していないわけですよね?
アメリカの法律で、中国国内でやったことを裁けるんですか?
これは我々一般日本人にも関わってくる問題じゃないですか
イーベイ等で日本のものを購入するアメリカ人は急増しています。もしそれが日本で合法だけどあっちで違法だったら?
わかりやすく解説して欲しいですね
貴族
2015/09/03 17:45

コメントする help

ニックネーム
本 文
米国の捜査陣は、中国の化学会社に目を向けている 弁護士小森榮の薬物問題ノート/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる