弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 逃走中のグスマンに500万ドルの懸賞金

<<   作成日時 : 2015/08/07 23:48   >>

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メキシコの薬物カルテルの首領ホアキン・グスマンが、24時間監視の重警備刑務所を脱走して、間もなく1か月が過ぎようとしています。
この人物は、米国にとっても、長年その行方を追跡してきた重要犯罪者で、アリゾナ、カリフォルニア、テキサスなど多くの州の地方裁判所に麻薬関連犯罪やマネーロンダリングで告発されていて、2014年に、グスマンがメキシコ政府によって逮捕されて以来、米国はその身柄の引き渡しをメキシコ政府に要請してきました。
今回の脱走は、メキシコだけでなく、米国にとっても、国境地域の安定を揺るがす重大問題なのです。

8月5日、米麻薬取締局(DEA)は、米国内外からの情報提供を求めるために、グスマン捜索専用の無料ホットラインを開設したと発表しました。逮捕につながる情報提供者には、米国務省から最高500万ドル(日本円で約5億4千万円)という高額の懸賞金が提供されるということです。
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↑グスマン捜索の情報を求めるポスター(DEA)

ホットラインは、米国内からの無料電話専用番号、メキシコ及び中南米地域からの無料電話専用番号が用意され、また専用のEメイル回線も開設されました。DEAのサンディエゴ地方事務所が、このホットラインの管理に当たるそうです。(下記参照@)

メキシコ政府も、すでに6000万ペソ(米ドル換算で約380万ドル、日本円で約4億8千万円)の懸賞金を提供して情報提供を求めています。
メキシコ大統領にとっては、グスマンの捜索は政治生命を左右しかねない重要課題です。
多大な犠牲を払いながらカルテル掃討作戦を強行してきた前政権と比べて、弱腰と批判されることも多かった現大統領ですが、2014年にグスマンを拘束したことで政治的地盤が固まり、また、麻薬問題に関してとかく干渉してくる米国と距離を保つ足がかりも得ていただけに、その脱走によって、甚大な痛手を被ったといわれています。

●ホアキン・グスマンとは
メキシコの薬物カルテルで最大勢力を誇るシナロアの首領が、ホアキン・グスマンです。シナロアの勢力圏は、メキシコ国内にとどまらず、国境を越えて米国内の薬物流通も支配していて、その首領の動きについては米国の取締まり当局も少なからぬ関心を寄せてきました。
グスマンは、1993年6月にメキシコで逮捕され、殺人及び麻薬取引の罪で20年の刑を言い渡されていましたが、2001年1月、収容されていたハリスコ州の重警備刑務所から脱走。その後、2014年2月にシナロア州のリゾート地に潜伏していたところを逮捕されました。
2度目の脱走は、2015年7月、メキシコ州の最高警備刑務所で24時間監視されているなかで、シャワースペースの床下に掘られた地下トンネルを使って脱走したというものです。

●シナロア・カルテルの今後
グスマンが統率するシナロア・カルテルは、メキシコの薬物カルテルの最大勢力で、メキシコから米国に密輸される薬物の40%から60%を支配しているとみられています。また、その活動は、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ、アフリカ、アジアにまで及んでいます。
この組織が取り扱うのは、コカイン、ヘロイン、大麻、覚せい剤(メタンフェタミン)と多彩です。とくに、覚せい剤に関してはグスマン自身が陣頭指揮をとって原料の仕入れルートの開拓や、密造技術の開発に当たり、この組織の勢力拡大に大きく寄与したといわれます。メキシコから日本にもたらされる覚せい剤のほとんどは、シナロアに関係しているともいわれてきました。
また、密輸の運送手段にも、この組織の特徴が発揮されてきました。米国との国境を潜り抜ける地下トンネルづくりは、シナロアの得意技で、運搬用レールや換気設備などを備えた大型のトンネルを使って、大量の薬物が米国に持ち込まれてきました。コカインの海上輸送に、高速艇や、潜水艇、半潜水艇など多様な手段を使い分けるのも、シナロアの特徴だといわれます。

ところが、2014年になって、首領のグスマンが逮捕され、またその腹心の部下が死亡したこともあり、その勢力は急速に衰え始めたとみられていました。
シナロアの弱体化は、他のカルテル間の緊張を高め、勢力争いの激化を招きました。また、もとはシナロアの活動の中心地域だったハリスコ州では、シナロアから分派した、ハリスコ新世代と名乗る新勢力が急速に活動圏を拡大中です。

つい最近、DEAはメキシコのカルテル勢力分布に関する最新の情報を発表しました。ただし、この分析は、グスマンの脱走前の状況に基づくものです。グスマンの脱走によって、カルテルの勢力バランスがどう変わるのか、いま、世界の関係者はその成り行きを注視しているところです。
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↑DEAが発表したメキシコ系カルテルの勢力分布図(下記参照A)
・オレンジ色はシナロアの勢力圏
・黄色はハリスコ新世代の勢力圏

[参照]
@DEAの報道発表(August 05, 2015)
DEA Announces Tip Line, Wanted Poster for Chapo
http://www.dea.gov/divisions/hq/2015/hq080515.shtml
ADEA Intelligence Report―Areas of Influence of Major Mexican Transnational
Criminal Organizations , JULY 2015
http://www.dea.gov/docs/dir06515.pdf

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