弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 危険ドラッグ対策レビュー・9

<<   作成日時 : 2015/07/26 23:58   >>

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「危険ドラッグ対策レビュー・8」 2015/07/22からの続きです。
前記事http://33765910.at.webry.info/201507/article_9.html
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5、健康被害の拡大

⑴ 急性中毒の多発
 危険ドラッグを販売する店が急増するとともに、まず社会の目を引いたのは、この種製品を使用した青少年たちが、意識障害、嘔吐、痙攣、呼吸困難等の急性症状を起こして、救急搬送される事例が増えたことでした。
 繁華街の一画で、「合法ハーブ」と称する販売店が営業を始めると、やがてその周辺で、立て続けに救急搬送が発生し始めます。この連鎖に最初に目をつけ、危険ドラッグ販売店の増加に警戒意識をもったのは、都道府県警察だったようです。
 2011年下期ころから、危険ドラッグによる急性中毒の集中発生を報じる記事が、新聞をにぎわせるようになり始めました。

<当時のニュースから>*****
●16人が意識障害…違法ハーブ販売
静岡中央署や浜松中央署などは23日、薬事法違反の疑いで、静岡市葵区鷹匠の合法ハーブ店経営の容疑者(42)を逮捕した。
・・・静岡市と浜松市ではこれまで、この合法ハーブを吸って16人が意識障害などで緊急搬送されている。
産経新聞 静岡版 2011年8月23日

●福岡「脱法ハーブ」で11人救急搬送
植物片に幻覚作用などのある薬物を混ぜ、「合法ハーブ」と称した「脱法ハーブ」の販売が横行している問題で、今年に入って福岡県内で11人が使用後に意識が混濁するなどし、救急搬送されていたことが福岡県警の調べでわかった。脱法ハーブが引き起こす健康被害について、同県警が調査したのは初めて。
・・・県警によると、11人は10代後半から20代の若者たち。・・・
このうち、9人は北九州市小倉北区と福岡市の天神などにあるハーブ店で「合法ハーブ」として売られていたものを吸引。残る2人はインターネットで入手していた。
両市の繁華街では、「ナチュラルハーブショップ」などの看板を掲げた店のほか、雑貨や服を販売する店でも「お香」を装い、脱法ハーブを売る事例が増加。ネット販売も横行している。福岡県薬務課はこれまでに、県内には店舗型で7店、ネットで6店あることを確認している。
読売新聞「九州発」 2011年12月5日
*****
 このころ、大都市の救急救命センターには、脱法ハーブを吸って中毒症状位見舞われた人たちが、次々に救急搬送され始めました。搬送される人たちは、極端な興奮状態にあり、叫ぶ、泣く、怒鳴る、暴れるといった異様な状態を示していましたが、その多くは、数時間で症状が回復し、平静さを取り戻しました。当初は、危険ドラッグによる急性中毒のほとんどは、直接生命に関わるものではないという見方も広まっていました。
 しかし、その後、救急医療分野からの事例報告が発表されるようになると、搬送患者の多様な症状が報告され、なかには医療措置が遅れると重大な結果を招きかねない重症症例もあることが、次第に明らかになってきました。2013年初頭に専門雑誌で発表された報告書から、この時期の救急医療現場の様子をみておきましょう。
 神奈川県中央部の北里大学救急救命センターでは、2011年4月頃から「脱法ハーブ」による搬送者が散見されるようになったといいます。2011年1月〜2012年4月末までに同センターが受け入れた事例をまとめた報告によると[1]、12症例中、7例には意識障害があり、うち1例は痛み刺激を与えるとかろうじて反応するが覚醒しないという重症の意識障害をともなっていました。また、身体的な合併症としては、2例に横紋筋融解症があり、1例では精神医学的な後遺症として幻覚妄想状態の残存がみられたということです。
 また、日本中毒情報センターには、各地で発生する中毒事故に関して問い合わせが寄せられますが、脱法ハーブに関しては、2011年中の問い合わせは55件にのぼり、2012年は9月までで49件と急増しました[2]。患者の年齢層は10歳代が25.0%、20歳代が58.3%と若年層が多いのが特徴的です。
 同センターでは、2008年1月から2012年9月までに受信した、医療機関からの問合せ例など44例について、詳細に解析した結果を発表していますが、頻脈(24例)、痙攣・振戦(7例)が多く、またショック状態も1例ありました。入院を要したのは23例、入院日数はショックを認めた1例を含め22例が1〜2日間でしたが、誤嚥性肺炎を起こした例では4日間、腎障害出現例では11日間の入院を要しました。下の表は、発表論文に掲載されたもので、分析した症例のうち重症の14例について、主な症状と治療経過などをまとめたものです。
画像

↑JPICで受信した脱法ハーブの中毒症状(重篤症例のみ)
中毒研究Vol.26、No.1、p.26より転載

<出典と注釈>
[1] 井出文子「脱法ハーブによる中毒症例の臨床的特徴」、中毒研究Vol.26、No.1(2013年3月10日発売号)p.35-38
[2] 高野博徳他「脱法ハーブの法律による規制と現状」、中毒研究Vol.26、No.1(2013年3月10日発売号)p.22-27

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続きは「危険ドラッグ対策レビュー・10」
http://33765910.at.webry.info/201507/article_14.html

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