弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS またですか、大麻の簡易検査ミス

<<   作成日時 : 2015/04/05 15:57   >>

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捜査現場で薬物らしい物が発見された場合に、その場で簡易検査が行われることがあります。検査結果が陽性となれば、薬物所持の現行犯として逮捕されることになります。
この薬物簡易検査(予試験、簡易鑑定と呼ばれることもある)は、正式な鑑定ではないけれど、薬物事件の捜査に欠かせない、重要な手続きのひとつになっています。
でも、この簡易検査で、ときどきミスが起きているのです。
またしても、同じ過ちが繰り返されてしまいました。

<ニュースから>*****
●大麻所持:釈放後不明の男出頭、改めて逮捕 警視庁
警視庁組織犯罪対策5課は4日、立川署員が東京都内に住む30代の自営業の男を3日夕に大麻取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕した後に簡易鑑定手順の誤りが判明し、約4時間後に釈放したと発表した。その後、正規の手順で再鑑定したところ大麻の陽性反応が出たため、警視庁は4日深夜、改めて同容疑で男を逮捕した。
毎日新聞 2015年04月05日 00時48分(最終更新 04月05日 01時23分)
*****

当サイトで、私は繰り返し指摘してきましたが、大麻の簡易検査には、誤認を起こしやすい、大きな落とし穴があります。
大麻の簡易検査は3ステップで行なわれます。3ステップ目が終わってしばらく放置した後、上下に分離した検体の下部分の色をみて、これで大麻かどうかを判定します。
ところが、検査途中の第2ステップで、一度、検体の色がさっと変わって、紅紫色になるため、この変化をみて、大麻が判定できたと勘違いしてしまいやすいのです。
上のニュースでは、「簡易鑑定で本来使用すべきだった3種類の試薬のうち、2種類しか使わなかったことが分かったため」、逮捕した男性をいったん釈放したとあります。やはり、この落とし穴でミスが起きたのでしょう。
これまでも、何度も同じパターンの過ちが繰り返されてきました。

<大麻の簡易検査>
@ 検査薬@を加えて振り混ぜる
  大麻の成分を抽出するための処理です。
A 検査薬Aを加える
  この検査薬は塩酸で、次のステップで呈色体を作り出すための前処理です。この段階で検体は鮮やかな紅紫色を呈しますが、これは大麻の呈色ではありません。気をつけないと、この色を最終的な呈色と見誤ってしまいやすいのです。
B 検査薬Bを加え、振り混ぜた後、しばらく放置
  しばらくすると、検体は2層に分離し、その下部が紅紫色を示します。これが大麻の呈色反応です。上層の色は関係ありません。

現在警察で使われているのは、大麻の呈色試験で最も広く使われるデュケノア試薬で、3種の薬剤を順に加えた後、最終的な検体の色で、大麻であるかどうかを判定するものです。この試薬は、大麻の成分に対して反応色を示すので、乾燥大麻、大麻樹脂、大麻オイルなど各種の大麻製品に使うことができます。
この検査方法そのものは安定したもので、誤認の危険性は極めて低いといいますが、上で指摘した以外にも、
・資料の質や量によっては呈色が微妙で見分けにくい
・ステップAで用いる塩酸の危険性
・検査薬が小さく扱いにくい
など、捜査現場での扱いやすさや、専門家ではない捜査員が勘違いすることなく実施するための工夫など、まだまだ検討すべき点があるように思います。

たとえば、検査に使うキットについても、再検討してみるべきでしょう。下の写真は、米国で一般に販売されている薬物判定用の簡易キットで、これは大麻検査用のものです。
画像

↑市販されている大麻用の検査キットの例

厚手のビニール袋の中に、簡易検査で使う3種類の検査薬が小さなアンプルに詰めて収められ、袋の上から指で押すと、アンプルが割れて検査薬が出て来る仕組みです。
ビニール袋に少量の検体を入れた後、検査薬の入ったアンプルを順に割ることで、3ステップの検査ができるようになっています。
ビニール袋の表面には、見誤りを防ぐため、3ステップの反応色の見本がついていたり、色調が判別しやすいよう、ビニール袋の背面が白の不透明ビニールになっていたり、使いやすさの工夫もみえます。しかも、量産品のためコストも安く、米国での販売価格は1テスト当り250円ほど。

危険ドラッグが蔓延して以来、出回る薬物の種類が多様化し、簡易検査で判別しにくいものも増えたため、警視庁では、現場で簡易検査を行うケースを覚せい剤と大麻の場合に絞っているので、現場での簡易検査の実施も減っているはずです。
それでも、こうして同じ問題が繰り返し発生しているからには、この手法そのものを見直すことが必要ではありませんか。

そもそも、大麻事犯での現行犯逮捕は、最も多かった2009年でも全国で1500件ほど、2012年では750件ほどです(警察庁「平成24年の犯罪」)。捜査員が簡易検査に不慣れなのは当然でしょう。
あえて簡易検査を強行して現行犯逮捕をしなくても、正式鑑定を経て逮捕することを標準にすれば、誤認逮捕のおそれもなくなり、現場の負担も軽減されます。基本的な発想を見直してはどうでしょうか。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
私はこの検査の仕組みを知って、「じゃあ最初から大麻に紅紫色の色素を吹きかけておけば検査できないのでは?」と考えてしまいました。
水に浸しただけで紅紫色に水が変色する大麻なら、この検査をやろうとしても、検査で陽性のために色が変わったのかどうか区別できないからです。

海外では、意図的に覚醒剤に色素を添加して、購買意欲を煽る色にしている例がありますが、覚醒剤も大麻も、最初から色が付いていたら、警察の簡易検査キットは役に立たなくなりますね。
滅智蓮寺 熾
2015/04/06 22:28

違法売買が活況な新宿歌舞伎町。
最近タクシー運転手の大麻事案が発生したり、摘発され続けても一向に減らない違法DVD店舗等、相変わらずです。

そんな新宿歌舞伎町に最近、ある異変が起きています。


歌舞伎町浄化作戦を訴求し続けた新宿区長。その甲斐もあり、浄化が始まりました。

具体的な変化のは、LED街灯照明大量導入による、街の照度向上です。
また、ビル上壁面から照らすデジタルサイネージの数も増え、初めて夜間の歌舞伎町が明るくなりました。

ライトアップされた街頭では、人物存在そのものが目立ち、従来型の商売がやりにくい印象です。

順次導入開始される、高精細映像4Kネットワーク監視カメラ。
顔面認識、網膜生体認識と併せて、人物映像は国家クラウドへ格納されます。

もし歌舞伎町が少しでも浄化されたら、夜間繁華街浄化のベンチマークモデルになるでしょう。
神流美 王井門
2015/04/07 22:04
>最初から色が付いていたら、警察の簡易検査キットは
>役に立たなくなりますね。

熾さん、相変わらずの無知ぶり、恥ずかしいですねw
lol again
2015/04/16 05:24
あ、よろしければどこら辺が間違いなのか教えてください。

このブログのコメント欄で回答を頂いても、見逃してしまう可能性があるので、↓の掲示板に書いていただければ確実です。
http://awabi.open2ch.net/test/read.cgi/hobby/1427939348/
滅智蓮寺 熾
2015/04/20 12:50

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