弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS またタイから覚せい剤密輸、気になる新たな流通ルート

<<   作成日時 : 2015/03/31 23:54   >>

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昨年、成田空港をはじめ各地の空国で、タイからの覚せい剤密輸が次々と摘発され、なかでも、若い女性を運び屋に仕立てて、体内に覚せい剤を隠して持ち込む手法が目につきました。
税関の報告書によると、2014年に全国の税関で、覚せい剤の密輸で摘発されたタイ人は30人、そのうち25人までが20〜30歳代の女性でした。しかも、その半数近い12人が、体内隠匿によって覚せい剤を持ち込んでいました(下記参照@)。
気になる新たな動きですが、この流れは、まだ終わっていません。またしても、そっくり同じ手口の密輸事件が福岡空港で繰り返されたのです。この空港では、昨年10月にも、覚せい剤を体内に隠して密輸しようとした2人連れの若い女性が、逮捕されています。

<福岡のニュースから>*****
●覚醒剤”密輸” タイ人の女2人逮捕
覚醒剤およそ400グラム=末端価格にして2800万円相当を福岡空港に密輸したとして、タイ人の女2人が逮捕されました。
逮捕されたのは、いずれもタイ国籍のU容疑者(29)とD容疑者(28)です。
2人は今月10日タイから福岡空港に入国する際、覚醒剤およそ400グラム=末端価格にして2800万円相当を下半身に隠して密輸した疑いが持たれています。
RKB毎日放送3月30日(月) 12時30分
*****

●タイからの密輸、背後に国際的な犯罪組織の影がみえる
日本政府はいま、東南アジア諸国からの短期旅行者を対象に訪日ビザの緩和など入国促進策を進めていて、訪日観光客が急増しています。なかでもタイからの訪日者は、2013年の訪日ビザ免除によって増加し、日本政府観光局の集計によると、2014年中にタイから日本を訪れた人は約45万人、前年比45%増という勢いです(下記参照A)。
日本とタイを結ぶ空路も、直行便の新規就航や増便が相次いでいます。成田や羽田に限らず、日本各地の空港が、直行便でタイの主要都市と直接結ばれています。
急増する来日観光客、急速に便利になる空のアクセス、この勢いが、覚せい剤密輸にとって格好の隠れ蓑になるのです。

しかも、タイは、東南アジアに流れる覚せい剤のハブ基地になっている土地柄です。隣接するミャンマーでは、錠剤タイプの覚せい剤の密造が盛んに行われていますが、近年では、より高純度のものを求める需要が増えているため、日本ででまわっているものと同じ、結晶タイプ(いわゆる白い粉状)の覚せい剤の密造も増え、この地域での流通量も急増しています。

加えて、最近では、新たな供給地域として浮上してきた西アジアや中東地域で密造された覚せい剤が、東南アジアに流れているとみられ、マレーシアやタイがその中継基地になっているとみられています。さらに、その覚せい剤が、タイを経由して日本にも密輸されているともいわれています。
国連薬物犯罪事務所が昨年発表した「世界合成薬物アセスメントGlobal Synthetic Drugs Assessment」には「専門家の意見によると、タイは、イランから日本への覚せい剤流通ルートにおける最大の中継基地になっている。」という指摘があります(下記参照B、25ページ)。
画像

↑東南アジア及びアジア太平洋地域での覚せい剤流通・専門家による見方
下記参照B26ページより転載

イランでの覚せい剤密造は、まだはっきりと確認されてはいませんが、数年前から国際的な薬物コントロール機関で話題になり、東南アジアでの結晶タイプ覚せい剤の増加と関係しているといわれています。そして、イラン系や西アフリカ系の犯罪組織の手によって、日本に密輸されている覚せい剤の出元のひとつとも、ウワサされているのです。
どうやら、タイからの覚せい剤密輸の背後には、イラン系や西アフリカ系の犯罪組織の影がちらついているようです。
タイのニュースを検索してみると、覚せい剤の密輸や密売に関わる外国人の逮捕が、話題になっています。昨年10月、バンコクで、結晶タイプ覚せい剤の密売で3人のナイジェリア人が逮捕されたニュースのなかで、チェンライ・タイムズは、アフリカ系の不法滞在外国人が15000人にのぼり、当局が問題視していると報じています(下記参照C)。

そうなると、タイからの覚せい剤密輸は、西アフリカルートの減少と関係しているとみることもできそうです。勢力を拡大しているイラン系あるいは西アフリカ系の薬物犯罪組織の新たな戦略が、動き始めているのかもしれません。

[参照]
@平成26年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況(詳細)2015年2月20日発表
http://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/mitsuyu/cy2014/ka20150220a.htm
A日本政府観光局「2014年1月〜12月 国・地域別 / 目的別 訪日外客数 (暫定値)」2015年3月18日発表
http://www.jnto.go.jp/jpn/reference/tourism_data/visitor_trends/pdf/2014_december_zantei.pdf
B国連薬物犯罪事務所(UNODC),2014 Global Synthetic Drugs Assessment
引用はp.25より。
http://www.unodc.org/documents/scientific/2014_Global_Synthetic_Drugs_Assessment_web.pdf
CChiangRai Times, Three African’s Arrested in Bangkok for Selling Crystal Meth(October 30th, 2014)
http://www.chiangraitimes.com/three-africans-arrested-in-bangkok-for-selling-crystal-meth.html

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当時の政権崩壊による、タイランド経済危機を発端に、1997年代以降アジア通貨危機が勃発。IMF管理下へ。

当時、バンコク市内のダウンタウン、特に日本人が集うタニヤ街周辺、スクンビット通り辺りはバブル絶頂期から、一気に景気が悪化、そして治安悪化へ。

その隙を突いたのが、違法薬物市場の蔓延でした。

バンコク市内の薬物市場の特徴は、警察官が売人と結託。
薬物市場を完璧にコントロールしている構図です。

他のアジア諸国でも似たような状況ですが、特にバンコク市内は別格で、その傾向が突出しています。

宿泊ホテルを利用した、売春市場も活況。部屋のドアを一晩中ノックされ、若い売春婦に売り込まれます。

全ては警察官の管理下にあり、タイ人が収益を得るための主要な産業です。

またタイランドはLCC増便により、東京等のアジア都市部へ片道数千円で行けます。
LCC市場増加により、薬物密輸市場が活況
を呈したと思われます。

神流美 王井門
2015/04/04 13:39

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