弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS NYタイムズの大麻合法化ディベート3

<<   作成日時 : 2014/08/14 23:59   >>

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ニューヨークタイムズが、「連邦政府は、大麻禁止を撤廃すべきである」という主張を掲げて、大麻合法化ディベート特集の連載を開始しました。各州での大麻法制見直しが加速する中で、米連邦は依然として大麻を全面的に禁止している現状を変えるときが到来しているとして、米国民に議論を呼びかけています[下記参照@]。
いま米国を揺さぶっている大麻議論とは何か、どんな点が問題になっているのかを知っていただくよい機会ですから、シリーズで掲載されている記事について、簡単にまとめておきます。
[参照]
@NYタイムズの特集「潮時:大麻合法化特別編集版シリーズ」
The New York Times/ High Time: An Editorial Series on Marijuana Legalization
http://www.nytimes.com/interactive/2014/07/27/opinion/sunday/high-time-marijuana-legalization.html?action=click&contentCollection=Opinion&module=RelatedCoverage&region=Marginalia&pgtype=article

■第3部「連邦政府の大麻禁止令のルーツ」JULY 29, 2014
1930年代のアメリカで始まった大麻禁止令の背景にあったのは、アフリカ系アメリカ人やメキシコからの移民に対する偏見や警戒心だった・・・。
薬物統制について関心をお持ちの方なら、米連邦の大麻禁止政策について、一度は読んだことがあるでしょう。大麻喫煙という見慣れない習慣に対して、白人社会が感じた、いささかヒステリックな警戒心が社会を動かし、やがて全米で大麻はヘロインなどと同じスケジュールT薬物として厳格に禁止されるに至ったのです。

■第4部「大麻の健康影響―科学的研究」JULY 30, 2014
1930年代、アメリカ社会が最初に抱いた大麻のイメージは、上で述べたように、いささか感情的な拒否感でした。大麻使用は人を堕落させる反社会的な行為と受け取られたのです。
しかし、大麻使用は若者を中心にアメリカ社会に広まり、やがてヒッピー文化とともに新世代の象徴ともなっていきました。このころの大麻解禁運動の原動力は、世間の大麻に対する偏見を取り払うことが中心で、大麻は、狂気を生み出す悪魔の薬ではなく、無害な植物だとするものでした。
1970年代、アメリカ社会の自己防衛的な機運を背景に、突如として動き出した「薬物との戦い」が勢力を増すのに呼応して、大麻解禁運動にも反対勢力としての色彩が濃厚になり始めます。大麻を中心とする薬物取締まりの行き過ぎ、人種的な偏見などに対する批判を強めていきました。
1990年代後半になると、大麻をめぐって「科学的根拠に基づく議論」が叫ばれるようになります。それまで、主に規制論者対解禁論者の対立という構図の中で動いてきた大麻議論が、より多くの人たちを巻き込み始め、薬物政策のあり方として議論されるようになってきたのです。今日、大麻禁止政策の見直しを提唱し、大麻議論をリードしている人たちには、社会運動として大麻解放を提唱してきたグループだけではなく、薬物問題に関わってきた高名な専門家や有力な政治家など、多様な人たちがいることを明記しておきます。

さて、NYタイムズの記事に戻りましょう。記事は、大麻をめぐる「科学的な根拠に基づく議論」の現在の到達点をわかりやすくまとめてくれています。
・大麻は決して無害ではないが、使用者個人、および社会に及ぼす影響の大きさについては、より使用者の多いアルコールやタバコに比較して軽度であるといえる。
・大麻には依存性があるが、依存症に至る割合はヘロインなどの麻薬に比べて低く、アルコールよりも低い。
・健康な成人のカジュアルな使用による健康上のリスクは低い。
・脳の発育期に当たる10代での大麻使用は、その後のIQ低下につながるという研究もあり、少年期での大麻使用を防止することは重要である。
・現在流通している大麻は、室内栽培された強力な作用を持つものが中心になっており、健康影響も、より強くなっていることが考えられる。

今日では、大麻の薬理作用や人に及ぼす影響を解き明かし、大麻使用が社会に及ぼす影響を予測するために、実に多くの研究が行われています。NYタイムズの記事は、これまでに発表され、大きな影響力を持ってきた主要な学術論文を引きながら、大麻の影響についての議論の流れを紹介しています。ここで引用された論文の全てに目を通すことはできませんが、私がとくに重要と考えるものを下記にあげておきます。大麻を考えるうえで大変重要な資料ですので、機会があれば原論文をお読みください。

[参照論文]
@WHOの大麻使用の健康影響に関する論文、1995年
「アルコール、大麻、ニコチン、鎮静剤使用の健康および精神的な影響」
Wayne Hall, Robin Room and Susan Bondy, A Comparative Appraisal of the Health and PsychologicalConsequences of Alcohol, Cannabis, Nicotine and Opiate Use, 1995
http://www.academia.edu/2868073/A_comparative_appraisal_of_the_health_and_psychological_consequences_of_alcohol_cannabis_nicotine_and_opiate_use

A英国のナット教授らの研究班がLanset誌に発表した論文、2010年
「英国における薬物の害:階層分析」
David J Nutt, Leslie A King, Lawrence D Phillips, Drug harms in the UK: a multicriteria decision analysis.
http://www.sg.unimaas.nl/_OLD/oudelezingen/dddsd.pdf
・当サイト内の過去記事
「最も危険なドラッグはアルコール|英国の研究から」2010/11/07
http://33765910.at.webry.info/201011/article_4.html

BNIDAによる大麻の作用に関する学術研究レビュー、2014年
「大麻使用による有害作用」
*このレビューでは10代での大麻使用がIQ低下などにつながるという結果を示した論文の再評価が話題になりました。
Nora D. Volkow, et al. , Adverse Health Effects of Marijuana Use, New England Journal of Medicine, 2014; 370:2219-2227, June 5, 2014
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1402309
・NIDAサイト内の記事
NIDA review summarizes research on marijuana’s negative health effects(June 04, 2014)
http://www.drugabuse.gov/news-events/news-releases/2014/06/nida-review-summarizes-research-marijuanas-negative-health-effects

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