弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 中国で日本人男性に死刑執行、覚せい剤密輸で5人目

<<   作成日時 : 2014/07/27 11:55   >>

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7月25日、中国で、麻薬密輸罪で死刑判決が確定していた日本人男性に対する死刑が執行されました。2010年4月に、相次いで4人の日本人男性に対する執行が行われてから4年余り、5人目に対する死刑執行となります。

<ニュースから>*****
●麻薬密輸罪で邦人に死刑執行=50代男、10年以来5人目−中国大連
【北京時事】中国遼寧省大連市の拘置所で25日午前、麻薬密輸罪で死刑判決を受けた50代の日本人の男に対する刑が執行された。中国での日本人の死刑執行は2010年4月、麻薬密輸罪で瀋陽(遼寧省)と大連で4人に対して行われて以来で、5人目になる。
大連市中級人民法院(地裁)から、日本の瀋陽総領事館大連出張駐在官事務所に執行の連絡があった。
男は大連から覚せい剤数キロを日本に密輸しようとした罪に問われ、12年12月に死刑判決が下された。13年8月に上訴が棄却され刑が確定。男は24日、死刑執行前に家族と面会した(以下省略)。
時事ドットコム【時事通信】(2014/07/25-12:36)
*****

薬物問題は国家の安定を揺るがす脅威だととらえる中国は、薬物の密輸・密売に対して非常に厳しく対処しています。
刑法347条は、「以下のいずれかひとつ以上に当たる者は、15年の有期懲役、無期懲役または死刑に処し、併せて財産の没収を命ずる」と定め、
その第1号に挙げられているのが、
1000グラム以上のあへん、50グラム以上のヘロイン又はメタンフェタミン、あるいは大量のその他薬物を密輸、密売、運搬、製造した者
となっています。

中国では、最も乱用が広まっているのがヘロインですが、近年ではヘロイン乱用者が固定化しているのに対し、新しい合成薬物として若い世代を中心に覚せい剤(メタンフェタミン)乱用が拡大し、社会問題となっています。
この状況に対応して、法律の上でも、上記のとおり、ヘロインと覚せい剤に対してはとくに厳しい基準が設けられているのです。報道される事件をみると、さすがに覚せい剤50グラム程度の密輸や密売事件で死刑判決が言い渡された例に出会ったことはありませんが、1キロ以上の覚せい剤に関する事件で死刑が言い渡されたという報道にはしばしば接します。

中国では、死刑の宣告や執行は国家秘密とされ、その内容は一切公表されませんが、年間の執行数は1000人を下らないとみられています。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、世界各国での死刑の宣告、執行の状況をまとめた報告書を毎年発表していますが、中国に関しては、2009年版から死刑執行の推定数の発表をとりやめ、前年対比での増減を示すにとどめ、中国政府に対してデータの公表を求めています。

大量の死刑が行われていることに対して国際的な批判が集まるなかで、中国側でも死刑制度を見直す動きが出始めています。2011年、非暴力的な財産犯などに関して、最高刑を死刑から無期刑に引き下げる改革が行われましたが、薬物関連犯罪は引き下げの対象にならず、依然として、外国人を含む多数が死刑を言い渡されています。

なお、中国で宣告される死刑判決には、ただちに執行するもの(通常の死刑)と、2年間の執行猶予がつくものがあります。
中国の刑法では、直ちに死刑を執行しなければならないものでない場合は、死刑の言い渡しと同時に2年間の死刑執行猶予を宣告することができるとして、執行猶予付き死刑の制度を定めています。猶予期間中に故意による犯罪を犯さない限り、2年の執行猶予期間を満了した後、無期懲役に減刑し、さらに功績のあった場合には、15年以上20年以下の有期懲役に減刑するというものです。
死刑判決が予想される事案で日本人が逮捕される例が相次いでいる中で、実際に、どのような場合に執行猶予付きの死刑判決が言い渡されているのかも含め、具体的な状況分析を重ね、司法上の支援を行うことが、急務ではないでしょうか。
たとえ犯罪に関与したとしても、外国で拘禁されている自国民を守り、必要な支援をすることは、国の責務であると思います。

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