弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 薬物事件を誘発して被疑者を検挙、巡査部長ら逮捕

<<   作成日時 : 2014/05/29 23:45   >>

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薬物捜査担当の巡査部長が、覚せい剤に関係している男に指示して被疑者に覚せい剤を渡させ、その後、被疑者宅を捜索して被疑者を逮捕。こんな悪質な手段で覚せい剤事犯者を摘発した巡査部長が、静岡県で逮捕されました。巡査部長は、共犯の男とともに、被疑者に対して覚せい剤を無償で譲渡したとされています。

<ニュースから>*****
●細江署巡査部長ら逮捕 覚せい剤譲渡容疑
細江署の薬物捜査担当の巡査部長が知人と共謀して県内に住む30代の男に覚せい剤を譲り渡したとして、県警は28日、覚せい剤取締法違反(譲り渡し)の疑いで同署刑事課の巡査部長の男(39)=浜松市北区初生町=と住所不定の40代の男を逮捕した。
譲渡したとされる時期からしばらくして、同署が巡査部長の情報を基に30代の男を同法違反(使用)容疑で逮捕していたことも県警の捜査で判明した。監察課は「(細江署による摘発は)正当性を欠いた捜査だった」との見解を示し、事件の全容解明を目指すと説明した。
巡査部長ら2人の逮捕容疑は共謀して4月12日夜、浜松市天竜区の山中に止めた車の中で、30代の男にビニール袋入り覚せい剤1袋を無償で譲り渡した疑い。同課によると、覚せい剤を直接手渡したのは40代の男とみられる。2人は容疑を認めているという。(以下略)
@S[アットエス] by 静岡新聞 5月29日(木)8時20分配信
*****

薬物犯罪の捜査には、犯罪行為に出る疑いの濃厚な人たちがある程度特定されているという、少し特殊なところがあります。薬物犯罪の防止のためにも、薬物取引に関係していそうなグループや、再犯を繰り返してきた乱用者などの動きを観察することは、捜査員の日常活動の中に織り込まれることになります。
こうした捜査活動のなかで、捜査員と特定の対象者の間に、独特の人間関係が生じることは、珍しくないでしょう。両者は長年の宿敵であると同時に旧知の間柄でもあり、互いに相手の動きを監視し合っているのです。年季の入った薬物乱用者の中には、特定の捜査員との相互関係を匂わせる発言をする者も珍しくないのです。

しかし、時にはその関係に不明朗なものが紛れ込み、捜査対象者が、有力な内部情報の提供者になり、もたらされる情報と引き換えに、捜査情報をもらしたり、摘発に手加減を加えたり、取り調べ中の被疑者に便宜を図ったり・・・といった不祥事に発展してしまうこともあります。
上記のニュースが取り上げた事件は、「不祥事」という呼び方がふさわしくない悪質なものですが、その根元となったのは、やはり、共犯の男と巡査部長の間にあった、不適切な相互関係だとみてよいでしょう。

そういえば、2012年に東京高裁で、けん銃を突き付けられて覚せい剤を注射するよう強要されたとする被告人の主張を容れて無罪が言い渡された覚せい剤事件がありましたが、被告人は、以前から面識があった警察署の巡査長や警部補に覚せい剤密売に関する情報提供をしたところ、さらに具体的な情報を調べるよう頼まれ、捜査対象者に会いに行ったところ、相手に怪しまれ、銃を突き付けられて覚せい剤を注射するよう強要されたと供述していました(平成24年12月18日東京高裁判決)。

このような捜査手法は、決して公然と認められているものではないのですが、しかし、捜査員の個人的な裁量によって一部で行われており、必要悪のような感覚で容認されているという現実があります。警察は、この事件を教訓として、こうした不明朗な捜査手法を許容しない風土づくりに取り組まなくてはなりません。

なお、この巡査部長の行いは、いわゆる「おとり捜査」に似ていますが、捜査対象者に覚せい剤を渡して覚せい剤犯罪を誘発するような手法は、おとり捜査で行われることは決してありません。

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