弁護士小森榮の薬物問題ノート

アクセスカウンタ

zoom RSS 英国で脱法ドラッグ対策のから騒ぎ|変わり目の薬物政策6

<<   作成日時 : 2014/03/03 23:56   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

脱法ドラッグ対策の見直しが進行中の英国が、ニュージーランド方式にならって認可販売店制度を検討か?・・・。先日、TIMES が取り上げた記事をめぐって、ちょっとした騒動がありました。

始まりは、2月28日にTIMESのニュースサイトに掲載された記事でした。
2月末に各分野の専門家を招集して、脱法ドラッグ対策の検討会が開催されましたが、この会議で議長を務めた閣僚のベイカー議員がTIMESの取材に応えて、脱法ドラッグ対策のひとつとして、認可店での販売を認めるという方式も検討していいのではないかと発言したといいます。
「窓をつぶし、18歳以下は禁止している風俗店と同じように、認可制にすることを考えてもいいのではないか。」
閣僚のこの一言が、論争を巻き起こしたのです(下記参照@)。

これに対して、すかさず反論したのは、野党側の議員です。危険な脱法ドラッグ販売店を公認するなど、とんでもない。英国のショッピング街をミニ版アムステルダムにしてしまうのか。キャメロン首相は、この発言を支持するのか、あるいはこの閣僚を解任するのか態度を決めなければならない、と厳しい批判をぶつけました(下記参照A)。

「ヘッドショップは風俗店なみ」「アムステルダム化」「脱法ドラッグ公認」・・・。
たちまち、タブロイド紙やウェブ上のニュースサイトには、こんなわかりやすいキーワードが乱立し始めました。

政府は、あわてて火の手を消しにかかったようです。やがてBBCのニュースサイトには、内務省は脱法ドラッグ販売店を認可制にすることは考えていない、とする記事が掲載されました。
情報筋によると、閣僚の発言は、文脈を無視して取り上げられたものだといいます。また、火元となったベイカー議員は、この問題についてコメントすることは何もないと回答しています(下記参照B)。
話題に火が付いてからわずか数時間、この記事で、騒ぎは一応の決着となったようです。

それにしても、薬物政策というものの難しさについて、改めて思い知らされた出来事でした。禁止策をベースに進展してきた薬物政策が、壁に突き当たっていることを感じ、新たな切り口の必要性を感じている人は多いはずです。しかし、「禁止・厳罰」に代わる新しいコントロール策は、見方によっては「解禁」と受け取られやすく、拙速な提言は非難を浴びることになりかねません。
ニュージーランドが導入した新方式は、リスクの低いものに限定して認可した製品を認可店で販売するというもので、果てしないイタチごっこが繰り返されている脱法ドラッグ市場をコントロールする新しいアプローチとして、注目されています。もちろん、ニュージーランド国内でも反対論はありますが、現時点では、販売店の大幅な減少といった成果が報告されています。
昨年末、英国政府は脱法ドラッグ対策の見直しに着手すると発表しましたが、そのころから、専門家の間では、検討すべき政策モデルのひとつとして、ニュージーランド方式が話題になってきたといいます。しかし、専門家の間で期待の大きい政策モデルも、「脱法ドラッグ公認」と言い換えたとたん、世間の批判にさらされてしまったのです。

「禁止・厳罰」だけでいいのか・・・こうした話題はとかく一部の人の間だけで終始してしまいがちですが、皆さんに広く理解していただくために、何をどう語ればいいのか、もっと悩む必要がありそうです。

[参照]
@TIMSの記事
TIMES>Sell danger drugs on the high street, says minister(February 28 2014)
http://www.thetimes.co.uk/tto/news/politics/article4018681.ece
Aテレグラフの記事
TELEGRAPH >Britain's high streets could become 'mini Amsterdams', MPs warn(28 Feb 2014)
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/crime/10668824/Britains-high-streets-could-become-mini-Amsterdams-MPs-warn.html
BBBCの記事
BBC>Home Office rules out licensing of 'legal highs' shops(28 February 2014)
http://www.bbc.com/news/uk-politics-26383774

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
英国で脱法ドラッグ対策のから騒ぎ|変わり目の薬物政策6 弁護士小森榮の薬物問題ノート/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる