弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 米フロリダ州で鑑定疑惑|薬物鑑定スキャンダル

<<   作成日時 : 2014/02/03 23:53   >>

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米フロリダ州では、同州ペンサコラの犯罪鑑識ラボに勤務する、研究員1名の不正行為に関して、内部調査が開始されたということです。
たまたま証拠品を探していた捜査官が、証拠品保管室に保管されていた、数十点にのぼる処方せん鎮痛薬が、ありふれた市販薬に差し替えられているのに気づいたのが、不正発覚の発端でした。差し替えられた鎮痛薬は、警察が処方せん薬不正流通事件の証拠として押収したもので、鑑識ラボで鑑定された段階で、鎮痛薬が抜き取られ、カルシウム剤に差し替えられていました。

差し替えはいつから行われていたのか。研究員が鎮痛薬を抜き取ったのは乱用目的か、それとも転売するためか。不正行為の実態はまだわかりません。研究員には鑑定結果をねつ造する意図はなかったようだといいますが、しかし、刑事手続きの核心である鑑定書の作成過程に不正行為があった以上、州当局は、この研究員が関わったすべての鑑定案件を調査しなければなりません。
調査は、この研究員が職務に就いた2006年までさかのぼり、件数にするとおよそ2600件の鑑定書が逐一精査されるといいます。

フロリダ州では、処方薬の不正流通が大きな問題になっていて、処方せんを乱発する診療所、鎮痛薬などの処方薬を大量に横流しする薬局、そして不正入手した処方薬を売買する乱用者など、処方薬関連の薬物犯罪が多数摘発されています。当然、犯罪鑑識ラボにも、大量の処方薬が、犯罪捜査の証拠品として持ち込まれ、鑑定されることになるのです。
麻薬も、処方薬も、多くの人を巻き込む魔力を備えた薬物です。職務として、日常的に薬物に接する人たちにとって、目の前にある薬物は危険なワナになりかねません。犯罪捜査に当たる人たちの健康や精神状態の管理は、意外に大切なのかもしれません。

ところで、米国で「犯罪鑑識ラボ」と呼ばれるのは、日本の科学捜査研究所にあたる機関で、犯罪捜査の一環として、証拠品の鑑定などを行いますが、近年、薬物鑑定に関する不正事件が次々と発覚して、大きな波紋を広げています。
事件捜査で押収した薬物の鑑定書は、事件捜査のいわば核心にあたり、鑑定書にわずかでも不正が見つかれば、その鑑定書を裁判上の証拠とすることはできず、被告人が薬物犯罪を行ったと判断することが難しくなるのです。
裁判手続中の場合は、公訴の取下げや、無罪言渡しとなり、既に確定した事件では再審が行われ、受刑者が釈放されることになるでしょう。
2012年にマサチューセッツ州で発覚した、研究員による鑑定書ねつ造事件では、同人が関わった約6万件の鑑定書が精査された結果、未決者、既決者合わせて1千人以上が釈放されるという騒動になりました。
今回の事件では、問題の研究員が取り扱った約2600件の鑑定のすべてが精査されるといいますが、不正行為が鑑定結果に影響を及ぼすものが出てくれば、これまでのケースと同じように、被告人や受刑者の大量釈放という事態につながるかもしれません。

それにしても、米国では、この種の不正疑惑が浮上した際に、きわめて迅速な対応がとられていることに驚きます。
CNNのニュースによると、捜査員が証拠品の差し替えに気づいたのが先週のこと、すぐに予備的な調査が開始され、差換えられた証拠品がすべて1名の研究員の手で鑑定されていたことが判明、すぐに研究員は自宅待機が命じられ、週末には当局が記者会見を開いて事態を説明、週明け月曜からは関係部署に人員を配置して、2600件の精査に着手するというスピーディな対応です。
内部の不正疑惑については、とにかく隠密裏に調査を進め、時間をかけて対処し、当事者を処分した後で発表というのが、わが国では常套手段になっているのと比べると、大きな開きを感じてしまいます。

[参照]
@USA TODAYの記事
Fla. crime lab probed for evidence tampering(February 2, 2014)
http://www.usatoday.com/story/news/nation/2014/02/01/fla-crime-lab-probed-for-evidence-tampering/5136515/
ACNNの記事
Crime lab chemist removed as Florida probes prescription drug evidence tampering(February 2, 2014)
http://edition.cnn.com/2014/02/01/us/florida-chemist-prescription-drug-evidence/

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