弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 室内栽培が日本の大麻市場を変えている・1

<<   作成日時 : 2013/11/12 23:52   >>

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つい先日、仙台市内で大麻草約160本の栽培が摘発されたのに続き、兵庫県加古川市ではベトナム人による190本の栽培事案、岡山県倉敷市では243本の栽培事案と、このところ立て続けに大麻栽培の大型摘発が報じられています。
急速に増加する大型の大麻営利栽培事件の摘発、その影響はどこまで及んでいるのでしょうか。

<11月7日のニュース>*****
●「金稼ごうと」民家で大麻189鉢栽培 ベトナム人の男逮捕【11月7日】
兵庫県加古川市の民家で大麻を栽培したとして、兵庫県警組織犯罪対策課などは7日、大麻取締法違反の疑いで、ベトナム国籍で神戸市兵庫区浜崎通の無職、B容疑者(46)を逮捕、送検し、大麻草約190鉢を押収したと発表した。「金を稼ぐために栽培していた」と供述している。
逮捕容疑は6日午前、加古川市内の民家で大麻草189鉢を栽培したとしている。
産経新聞 11月7日(木)15時24分配信
*****

<10月31日のニュース>
●自宅で密売目的に大麻栽培 玉島署、容疑で男3人逮捕【10月31日】
密売目的で自宅で大麻を栽培したとして、岡山県警組織犯罪対策1課と玉島署は31日までに、大麻取締法違反(営利目的栽培など)の疑いで倉敷市・・・アルバイト店員A(35)、同市・・・警備員I(37)、同県吉備中央町・・・会社員O(34)の3容疑者を逮捕。家宅捜索で乾燥大麻約6・2キロ、栽培中の大麻草243本などを押収した。
・・・2010年春から栽培、加工して100グラム当たり13万円で密売し、これまでに1千万円以上を売り上げたとみて、入手先や流通ルートを調べる。
山陽新聞 (2013/10/31 13:37)
*****

大麻の室内栽培が話題になったのは、2008年から2009年ころのことです。室内で高THC大麻を栽培するために品種改良された種子を外国から輸入して、人目につかない建物内部で、ひそかに大麻を栽培する人たちの増加が、社会の関心を集めたのです。
警察は市場に出回る大麻種子を追跡して栽培者の検挙に力を入れ、大麻栽培での検挙件数が2008年には274件、2009年には312件と急増しました。でも、その後は大麻種子を販売する業者が激減し、それとともに栽培事犯の検挙も急速に減少、2012年では111件の検挙にとどまりました。しかし、栽培事件の検挙が減ったからといって、問題が終息に向かっているとみることはできそうにありません。
営利目的で行われる大規模栽培をめぐる状況について、考えてみたいと思います。なお、以下では、とくに断りのない場合、警察庁が「平成○年中の薬物・犯罪情勢」として発表しているデータを使用します。

●1件当たりの押収量は増加
下のグラフは、2005年以降の大麻栽培事犯の検挙件数(折れ線グラフ)と、栽培事件で押収された大麻草の本数(棒グラフ)を示したものです。栽培中の大麻草が押収された場合は、その本数で記録されるため、押収量は大麻草の本数で示しています。
大麻栽培事犯の検挙は、2009年をピークに減少していますが、いっぽう栽培事件で押収される大麻草の数は増加しています。つまり、2010年ころから摘発される栽培事件の規模が、どんどん大型化していることがわかります。参考までに、1件当たりの平均押収本数をグラフの下に表示しました。
画像

↑大麻栽培事犯の摘発状況
下記参照資料に基づき私が作成したもの

以前は、大麻栽培事犯のほとんどは、若者が興味半分で栽培を試みたといったもので、押収される大麻草も2、3本からぜいぜい十数本という規模だったものです。ところが、2008年ころから室内栽培が主流になり始めると同時に、栽培規模にも大型化の傾向がみられるようになりました。上のグラフにも表示したように、大型摘発が続いた2012年では、1件当たりの平均栽培本数は60本に達しています。この調子だと、今年もかなりの数字になりそうです。

もともと、室内栽培は、人目に付きにくい建物内部に、人工照明や換気装置を備えた人口環境を作って大麻を栽培する手法として発達してきましたが、同時に、極めてTHC濃度の高い改良品種の栽培手法としても追及されてきました。人工環境で栽培することで、屋外で自然に育ったものよりも、THC濃度の高い大麻を収穫することもできるのです。
室内栽培のためには、特殊な照明器具や水耕栽培の装置、換気装置やタイマーといった設備を備え、大量の電力を使い、プロ仕様の農業資材を大量に消費します。高額な費用をかけて栽培するとなると、いきおい、大量に栽培して収穫品を売りさばくという、営利志向に傾きやすくなるのも当然でしょう。

最近では、営利目的で大麻を大量栽培していたとされる事件のほとんどが、栽培用に建物を賃借し、大型の設備を備えて室内栽培をしていたケースです。季節を問わず収穫できるよう時期をずらして植えつけ、年間を通して大量の大麻を収穫し、密売人や暴力団関係者などの固定した買い手に卸売りしています。収益が出たかどうかは別として、少なくともその姿勢は営利目的だといえるでしょう。

こうして供給される大麻が、日本の薬物乱用市場にどんな影響をもたらそうとしているのか、次回で引き続き考えを進めたいと思います。

[参照したデータ]
警察庁「平成24年中の薬物・銃器情勢・確定値」2013年3月
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/yakubutujyuki/yakujyuu/yakujyuu1/h24_yakujyuu_jousei.pdf
なお、過去年度の数字は各年の同資料のものを使っています。

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2008年と言えば加勢大周から大相撲まで大麻報道が盛んに行われた時期です。社会が騒げば騒ぐほどそれは宣伝となり、逆に広く大きく拡大してゆく。ドラッグ戦争がアメリカに何をもたらしたかを見れば誰にでも分かる事です。
「室内栽培が日本の大麻市場を変えている・...
2013/11/15 02:09

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