弁護士小森榮の薬物問題ノート

アクセスカウンタ

zoom RSS 第1審で無罪の輸入事件の最高裁決定、高裁の逆転有罪判決を支持

<<   作成日時 : 2013/10/22 23:11   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

10月23日午前加筆*****
最高裁HPに本決定の全文が搭載されました。
平成25年10月21日 第一小法廷決定
平成24年(あ)第724号 覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20131023092307.pdf
*****

2011年、千葉地裁の裁判員裁判で無罪が言い渡された後、東京高裁の控訴審で逆転有罪となり、被告人側が上告していた覚せい剤輸入事件について、最高裁は被告人の上告を棄却する決定を出しました。

<ニュースから>*****
●覚せい剤密輸、逆転有罪確定へ=英国籍の男、裁判員で無罪―最高裁
スーツケースに隠された覚せい剤を密輸したとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われた英国籍の地質学者ソウヤー・ジョフリー・ロバート被告(56)について、最高裁第1小法廷(横田尤孝裁判長)は22日までに、被告の上告を棄却する決定をした。決定は21日付。一審裁判員裁判の無罪判決を破棄し、懲役10年、罰金500万円とした二審判決が確定する。
覚せい剤密輸事件で、裁判員裁判の無罪を破棄し、逆転有罪とした二審判決が最高裁で確定するのは2例目。
第1小法廷は決定で、密輸組織が密輸先で運搬者から覚せい剤を確実に回収できる事情がない限り、運搬者は組織から回収方法について指示を受け運搬を委託されていたと認めるのが相当と判断した。 
時事通信 10月22日(火)18時1分配信
*****

税関の検査で手荷物から覚せい剤が発見されたけれど、被告人は、自分の荷物内に覚せい剤が隠されていたことを知らなかったと主張している・・・。覚せい剤輸入事件では、このように、被告人の認識が争点となるケースは珍しくありません。この事件で被告人は、ウガンダを出発する前にメイドに指示して新たに購入させたスーツケース内に覚せい剤が隠されていたといい、それについて誰からも何らの指示も依頼も受けていないと供述していました。
この点について第1審の千葉地裁の判断は、
■本件輸入には覚せい剤密輸組織が関与していると推認され、このような犯行においては、覚せい剤密輸組識は、目的地到着後運搬者から覚せい剤を回収するために必要な措置をあらかじめ講じているはずであるが、そのような措置としては様々なものが考えられ、運搬者に事情を知らせないまま同人から回収する方法がないとまではいえない。
としました。
これに対して控訴審は、
■本件のような国際的な覚せい剤密輸組緯による計画的犯行の場合であって、覚せい剤の運搬者が、被告人のように、犯行の首謀者ではないようなときには、運搬者が、覚せい剤密輸組織の者からにしろ、一般人を装った者からにしろ、誰からも何らの委託を受けていないとか、受託物の回収方法について何らの指示も依頼も受けていないということは、現実にはあり得ないという「回収措置に関する経験則」が認められる。
として、第1審の無罪判決を破棄して逆転有罪を言い渡しました。
今回の最高裁決定は、控訴審での逆転有罪判決を支持したものです。上記の記事は、最高裁は、密輸組織が密輸先で運搬者から覚せい剤を確実に回収できる事情がない限り、運搬者は組織から回収方法について指示を受け運搬を委託されていたと認めるのが相当と判断したと報じています。

これまでの裁判の経緯をまとめておきます。
覚せい剤2.5キロを隠したスーツケースを西アフリカから持ち込み事件
2010年6月・成田空港
被告人はウガンダに住む英国籍男性。西アフリカの・ベナンからフランス経由で成田空港に到着した際、スーツケース内に覚せい剤約2.5キロを隠し、営利目的で密輸したとして逮捕、起訴された。
■第1審・裁判員裁判
 千葉地裁 2011年6月17日判決 
 無罪(求刑・懲役13年、罰金700万円)
被告人がスーツケースに覚せい剤など違法薬物が入っていたことを認識していたかどうかが争点。被告人は、事情を知らないまま運搬役に仕立てられたと主張、検察官はベナンに立ち寄るなど、日本に来るまでの渡航経路が不自然であることなどを指摘していた。
判決は、被告人の供述には不自然な点が散見されるが、虚偽とするだけの証拠がない。密輸の認識があったとするには疑いの余地が残るとした。
[判決のポイント]
本件には覚せい剤密輸組織が関与していると推認され、同組織は目的地到着後運搬者から覚せい剤を回収するために必要な措置をあらかじめ講じているはずであると考えられるが、運搬者に事情を知らせないまま回収する方法がないとまではいえない。
■控訴審
 東京高裁 2012年4月4日判決
 原判決を破棄 懲役10年、罰金500万円
被告人は自動車やパソコンを購入するために来日したと主張しながら、所持金が少なく、クレジットカードやカタログも所持していなかったことなどから「所持品には覚せい剤密輸以外の渡航目的をうかがわせるものがない」と判断した。また、税関検査で覚醒剤が見つかった際に驚いた様子がなかったことは「明らかに不自然」で、「スーツケースに覚せい剤が隠されているかもしれないとの認識があったことは優に推認できる」と結論づけた。
[判決のポイント]
本件のような国際的な覚せい剤密輸組緯による計画的犯行の場合であって、覚せい剤の運搬者が、被告人のように、犯行の首謀者ではないようなときには、運搬者が、覚せい剤密輸組織の者からにしろ、一般人を装った者からにしろ、誰からも何らの委託を受けていないとか、受託物の回収方法について何らの指示も依頼も受けていないということは、現実にはあり得ないという「回収措置に関する経験則」が認められる。
■上告審
  最高裁 2013年10月21日
  上告棄却(控訴審での逆転有罪判決を支持)
密輸組織の関与が認められる状況下で、覚せい剤の運搬役が組織からの指示を否定した事件では「特別な事情がない限り、運搬役は組織から委託されていたと認定できる」との初判断を示した。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
第1審で無罪の輸入事件の最高裁決定、高裁の逆転有罪判決を支持 弁護士小森榮の薬物問題ノート/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる