弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS サーモグラフィで大麻栽培を摘発|英国のニュースから

<<   作成日時 : 2013/10/16 23:52   >>

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上空のヘリコプターに搭載されたサーモグラフィ装置が映し出したのは、高層マンションの外壁。上層階の1戸部分の壁面が白く表示され、異様な高温になっていることが示されています。
後日、警察は、この部屋から143本の大麻草(末端価格で約470万円相当)を押収し、住人の男性は大麻栽培で起訴されました。この住戸には、大麻栽培用の照明器具や給水設備、換気装置などが備え付けられていたといいます。
画像

↑BBCニュースの記事より(下記参照@)

サーモグラフィは赤外線を使って、肉眼では見えない対象の温度差を視覚化する装置で、上の画像では、マンションの外壁の温度が示されていますが、白く表示された部分の壁面が、周囲と比べて高温になっていることがわかります。大麻の室内栽培では、大型の照明器具の熱で室内の温度が上がり、外壁や屋根なども高温になります。特に冬場の夜間には、周囲との温度差がはっきりします。
この画像は、英ウエストミッドランド警察が公開したもので、大麻栽培の取り締まりに力を入れている英国では、ヘリコプターや車両に搭載したサーモグラフィ用カメラが、大麻栽培摘発に威力を発揮しているといいます。

ところが、ところ変わって米国では、サーモグラフィによる探査はほとんど使われていません。2001年に連邦最高裁は、Kyllo v. U.S事件で、建物の外側からサーモグラフィ装置を使って温度を測定することは、「捜索」に当たり、令状を必要とするという判断を示しているのです。
この事件は、自宅で大麻を栽培しているとの疑いで男性宅を監視していた連邦捜査官が、男性宅の向かい側に停車した捜査車両から、サーモグラフィ装置を使ってイメージ画像を撮影し、その画像を根拠に捜索令状の発布を得て男性宅を捜索し、約100本の大麻草を押収したというものです。男性側は、連邦捜査官が建物外部から撮影したサーモグラフィ画像は、令状なしに行われた違法捜査によって得られた違法収集証拠であるとして、この証拠の排除を求めていました。
連邦最高裁は、5-4でサーモグラフィ装置によって男性宅のイメージ画像を撮影した行為は、「捜索」にあたると判断しました。
建物の外部からサーモグラフィを撮影することによって、住人や建物所有者のプライバシーは侵害されていないという指摘もありましたが、スカリア判事は、より高度な未来のテクノロジーによって個人のプライバシー侵害が起こることもあるとして、「壁の外側からの探査」と「壁を透過した探査」に差異はないと指摘しています。

さて、わが国でも大麻の室内栽培が問題になっていますが、その捜査にサーモグラフィなどの科学的な装置を使ったというケースは、まだ聞き及んでいません。しかし、外部からうかがうことが困難な建物内部の様子を知るために、いずれこうした装置の利用も検討されることでしょう。
ヘリコプターや車両から建物を軒並み探索する英国流か、サーモグラフィ装置による撮影にも捜索令状が必要な米国流か、どちらの方向に進むことになるのでしょうか。

[参照]
@BBCのニュース記事
Helicopter thermal imaging leads to cannabis factory conviction(15 October 2013)
http://www.bbc.co.uk/news/uk-england-birmingham-24542698
Aアメリカの連邦最高裁の判断
Kyllo v. U.S., 533 U.S. 27 (2001) Findlaw
http://caselaw.lp.findlaw.com/scripts/getcase.pl?navby=CASE&court=US&vol=533&page=27

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