弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 薬物非犯罪化の国にも脱法ドラッグは押し寄せた

<<   作成日時 : 2013/05/16 23:56   >>

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ハームリダクションを掲げる薬物政策関連のニュースサイトに、ポルトガルで脱法ドラッグの販売が禁止されたというニュースが載っていました(下記参照@)。
3月に施行された規制法は、脱法ドラッグとして流通している160物質が暫定規制の対象として挙げられ、それにかかわるあらゆる商業活動を禁止するというもので、違反者には罰金が科されます。暫定規制の期間は最大18か月で、この間に対象物質の危険性が評価されたうえで、固定的な規制薬物に加えられることになるといいます。

実のところ、この記事を目にして、私はいささか驚いています。なぜかといえば、ポルトガルでは少量の薬物所持は犯罪として扱われず、ユーザーが逮捕されたり、刑罰を受けることがないのです。その国でも、脱法ドラッグが広まっているという現実は、私には意外でした。

ポルトガルが、あらゆる薬物の少量所持に対して刑罰を科すことをやめてすでに12年になります。この国では、薬物の種類ごとに10日間の使用量を目安に基準量が定められ、それを下回る「少量」の所持は、たとえ警察に発見されたとしても犯罪扱いされることはなく、保健委員会の調査にゆだねられることになっています。
脱法ドラッグが急速にユーザーの支持を獲得した何よりの原動力は、「合法」、つまり使用者が処罰されないという点にあるわけですが、ポルトガルではヘロインもコカインも、その点では同じなのです。

その国にも、やはり脱法ドラッグの潮流は押し寄せていました。上記のニュース記事によれば、脱法ドラッグ販売店が最初にできたのは2007年、新法が施行された時点では国内におよそ50の販売店があったといいます。2009年には流通品からメフェドロンが初めて検出され、合成カンナビノイドやカチノン類などの検出例も急増していました。脱法ドラッグの急性中毒も多発しました。2012年中の死亡事故が4件、救急搬送された人数は170人を超えました。
脱法ドラッグ・・・、この現象の背景には、単に「処罰されない薬物」というメリットだけでなく、普通の店で買える手軽さや、安全だと思い込みやすいイメージ、価格の安さ、そして何よりも先進諸国で軒並み広まっているという話題性など、いろんな要素が複雑にからみあっているようです。
そういえば、厳しすぎる薬物規制が、脱法ドラッグの蔓延を招いているという意見を聞くことがありますが、薬物使用を非犯罪化したこの国でも、やはり脱法ドラッグが広まってしまったことを知ると、それほど単純な問題ではないという思いが一層深まります。

なお、ポルトガルでは、薬物の非犯罪化政策を導入したことによって、拡大していた薬物使用率に歯止めがかかり、過量摂取による死亡やHIVなど感染症の発生も減少し、この政策はおおむね順調に推移していると評価されています。
ポルトガルの薬物非犯罪化政策の現状について、SPIEGEL ONLINEが今年3月に興味深いレポートを掲載しています。この国が2000年に薬物の非犯罪化に踏み切った背景にあった深刻な状況、そして現在の状況などがわかりやすく説明されているので、ぜひお読みください(下記参照A)。

[参照]
@ポルトガルの脱法ドラッグ禁止を伝えるニュース
Drug Reporter>Portugal Bans Legal Highs(1 April, 2013)
http://drogriporter.hu/en/portugal_bans_legal_highs
Aポルトガルの薬物非犯罪化の現状レポート(
SPIEGEL ONLINE >'This Is Working': Portugal, 12 Years after Decriminalizing Drugs(March 27, 2013)
http://www.spiegel.de/international/europe/evaluating-drug-decriminalization-in-portugal-12-years-later-a-891060.html

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