弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 注目のウガンダ人覚せい剤密輸事件で有罪判決

<<   作成日時 : 2013/02/18 23:54   >>

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2011年5月、関西国際空港で2人のウガンダ人男性が体内に覚せい剤を飲み込んで密輸したとして逮捕された事件の判決が出ました。主犯とされたT被告人には懲役7年及び罰金300万円、S被告人に対しては懲役5年及び罰金150万円。
大阪地方裁判所は、税関検査時に職員が暴言を吐くなどしてエックス線検査を強要したとして、T被告人の飲み込んだ覚せい剤などを証拠採用しないと決定。検察官は、T被告人から押収された覚せい剤について立証を断念し、S被告人から押収された分の覚せい剤について、2人の共謀を主張していました。

<ニュースから>*****
●覚醒剤密輸のウガンダ人2人に実刑判決
大阪税関の職員による暴言が違法と認定され注目を集めていた覚醒剤密輸事件の裁判員裁判で大阪地裁は18日、密輸の罪に問われていたウガンダ人2人に実刑判決を言い渡した。ウガンダ人のT被告とS被告はおととし、覚醒剤を91個の袋に小分けにして飲み込むなどして密輸した罪に問われていた。これまでの裁判で2人は『違法な薬物とは知らなかった』と無罪を主張。また大阪税関職員が暴言を吐いて検査を強要した事が違法と認定され、T被告から押収された覚醒剤は証拠に採用されなかった。きょうの判決では『2人には明確な主従関係があり、S被告が体内に隠した11袋についてT被告との共謀は成立する』と認定した。その上で『透明なポリシートの中身が白色の塊であると見て取ることができ、2人は違法な薬物と認識していた』としてT被告に懲役7年、罰金300万円、S被告に懲役5年、罰金150万円の実刑判決を言い渡した(当事者の氏名を省略)。
読売テレビ(2012年2月18日 18:20)
*****

裁判員裁判が導入されて以来、覚せい剤輸入事件で相次いで無罪判決が出ているなか、この事件の判決に注目してきた方も多かったことでしょう。
これまで、無罪判決の出た事件のほとんどは、手荷物などに巧妙に細工して隠匿された覚せい剤を持ち込んだというもので、被告人が隠されていた覚せい剤に気づいていたかどうかが争われてきたケースです。運び屋による覚せい剤輸入事件で、違法収集証拠が問題になることは、あまりなかったように思います。
本件では、最終的には有罪判決となったとはいえ、検査を強要した職員の対応を任意捜査の限度を超えた違法捜査とし、主要な証拠を採用しなかった大阪地裁の判断には、やはり裁判員裁判によってもたらされた、新鮮な潮流を感じることができます。

薬物輸入事件では、通常、当初の税関検査の様子を記録した書類が証拠として提出されますが、そこでは、できるだけその場の雰囲気を伝えるような工夫がされていることが多く、「被疑者は涙目になりながら・・・」「・・・と申し向けたところ、被疑者は黙ってうつむいた」などと詳細な描写が盛り込まれていることがよくあります。とはいえ、こうした描写は、被疑者の疑わしげなそぶりなどを強調して印象付けるためのもので、もし検査にあたる職員や捜査員に威嚇的な態度などがあったとしても、それは当然反映されていません。
裁判での判断材料になるのは、何と言ってもその場での録音や録画です。この裁判では、エックス線検査への同意を求める税関職員と被告人のやりとりを録音したテープが、法廷で再生されたといいますが、現場の状況を再生することで、裁判員も迷いなく判断できたことでしょう。

裁判員にとってむずかしい判断が、求められる覚せい剤輸入事件にこそ、全過程の録音録画が必要なのではないでしょうか。また、すべての過程を記録することは、おのずと違法捜査を防止することにもつながるはずです。

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