弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 千葉と東京で相次いで無罪|覚せい剤輸入事件

<<   作成日時 : 2013/02/14 03:08   >>

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本日、東京地裁の裁判員裁判で、覚せい剤輸入事件の被告人に対してまた無罪の言い渡しがありました。つい先日、千葉地裁でも、覚せい剤輸入事件で無罪判決が言い渡されたばかりです。

<2/13のニュースから>*****
●覚せい剤裁判員裁判で無罪=「事情知らず密輸」−東京地裁
香港から覚せい剤を密輸しようとしたとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われたアルバイト女性(23)に対する裁判員裁判の判決で、東京地裁(三浦透裁判長)は13日、「事情を知らずに持ち込んだ可能性がある」として、無罪(求刑懲役12年、罰金700万円)を言い渡した。
女性は2011年8月、交際相手に紹介された男(42)=同法違反罪などで一審有罪、控訴中=から、報酬20万円で香港から時計を持ち帰るよう依頼され渡航。帰国時にスーツケース内の缶から覚せい剤約1.4キロが見つかり、逮捕、起訴された。
判決は、女性が香港の健康食品販売店で購入した缶が、覚せい剤入りのものにすり替えられた可能性を否定できないと判断。男は別の複数の女性に同様の渡航依頼をしており、「若い女性らをだまし、海外から日本に覚せい剤を運び込ませようとしていた」と指摘した。
時事通信(2013/02/13-18:07)
*****

<2/8のニュースから>*****
●覚せい剤密輸で無罪 「認識の断定困難」 千葉地裁
成田空港から覚せい剤約6・2キロを密輸入しようとしたとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われたカナダ・バンクーバー在住の電気技工士、S被告(40)に対する裁判員裁判の判決公判が7日、千葉地裁であり、中山大行裁判長は「違法薬物の認識を間違いないとまで認めることは困難」として無罪(求刑・懲役16年、罰金800万円)を言い渡した。千葉地裁の裁判員裁判での全面無罪判決は5例目。
公判では違法薬物の認識の有無などが争点とされ、S被告は「皮膚をまひさせるクリームの成分と確信していた」として無罪を主張。検察側は、S被告が不合理な弁解をしているのは違法薬物の認識があったためとしていた。
判決で中山裁判長は、一定量を超えると没収の恐れがあるとする友人の依頼内容などを挙げ、「隠匿する必要性を感じていたとは認められるが、違法薬物の認識まで推認できるかは疑問が残る」とした。(当事者の氏名を省略)
2013年02月08日 10:38  千葉日報
*****

裁判員裁判で審理された覚せい剤輸入事件の第1審で、全面無罪が言い渡されたのは、これで12件目になるのでしょうか。このほかに、実質的には無罪判決と受け取ってよさそうな一部無罪判決もいくつか出ています。
覚せい剤の営利目的輸入事件では、制度導入から4年目で、すでに12件もの全面無罪判決が出たことになります。裁判員制度が導入される以前には、全面無罪の判決が数えるほどしかなかったことを思えば、裁判員の参加によって判断の流れが大きく変化したといえるでしょう。
2012年12月末時点での最高裁の速報によれば、制度導入から2012年末までの通算で、覚せい剤取締法違反で裁判員裁判を受けた被告人の総数は429人、そのうち無罪を言い渡されたのは10人(2.3%)に上り、他の事件を大きく引き離しています。罪名別でみると、殺人では通算1063人の被告人が審理を終えたなかで無罪は4人(0.4%)、強盗致傷では1104人中無罪は2人(0.2%)、傷害致死では438人中無罪は2人(0.5%)。
画像

↑裁判員裁判の量刑分布(下記参照資料による)

ただし、覚せい剤の営利目的輸入事件で裁判員裁判を受ける被告人の大多数は、有罪判決を言い渡されていることを忘れてはいけません。しかも、被告人の実に91%が5年以上という長期にわたる懲役刑を言い渡されているのです。被告人の多くは、弱みに付け込まれて運び屋に仕立てられ、自分の生活と全く関係のない犯罪組織のために覚せい剤を運ばされた人たちです。無実の訴えに耳を傾けるのと同じ真剣さで、被告人が覚せい剤の密輸に巻き込まれるにいたった背景に思いを巡らせ、裁判員裁判ならではの量刑を考えることも、ぜひ必要だと思います。
画像

↑覚せい剤取締法違反・裁判員裁判の量刑分布(下記参照資料による)

なお、覚せい剤取締法違反事件で裁判員裁判に付されるのは、営利目的の輸入事犯と営利目的の製造事犯ですが、わが国では覚せい剤製造事件はごくわずかしかないため、上記の数字はほぼ、覚せい剤輸入事犯とみてよいでしょう。ちなみに、薬物事件では、ほかにヘロインの営利目的輸入と、麻薬特例法違反(営利的・継続的・組織的に行った薬物の輸入・密売)事件が裁判員裁判の対象になっています。

[参照]
裁判員裁判の実施状況について(制度施行〜平成24年12月末・速報)
http://www.saibanin.courts.go.jp/topics/pdf/09_12_05-10jissi_jyoukyou/h24_12_sokuhou.pdf

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