弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS ニューヨーク市警の大麻取締りを見直し

<<   作成日時 : 2012/04/03 23:54   >>

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本来なら、大麻の少量所持が犯罪扱いされないはずのニューヨーク市で、年間5万人もの人が、少量の大麻所持で逮捕されている・・・。この異様な事態を収拾するための改正案が州議会で審議され、話題になっています。4月1日のニューヨーク・タイムズ(電子版)は「大麻の逮捕を検証する」という記事を掲げ、この問題を取り上げています。

ニューヨーク州では、25グラム以下の大麻の単純所持に対しては、刑事手続が適用されず、初犯者(3年以内に薬物犯罪の前科がない者)に対しては100ドルの罰金、2犯目の者に対しては200ドルの罰金という行政処分で対処することになっています。つまり、逮捕されることはなく、犯罪歴(逮捕歴)も残らないわけです。この法改正が行われたのは、今から30年以上も前の1977年のこと。
しかし法は、公衆の目に触れる状態で大麻を所持した場合は、たとえ25グラム以下であっても、軽罪として対処するよう定めているため、この部分をテコにして、警察は、街頭で通行人に対して片っ端から職務質問を行い、少量の大麻所持者を大量に逮捕してきたといいます。とくに批判が集中しているのがニューヨーク市警察のやり方で、街頭で若者を引きとめて職務質問をし、「ポケットのなかの物を出してみろ」と言い、相手が大麻を取り出したところで「公衆の目に触れる状態で大麻を所持した」として逮捕するというのです。

2011年、ニューヨーク市警察が大麻の少量所持で逮捕した人数が、5万人を超えました。被逮捕者の94%は有罪判決を受けたことがなく、約半数には逮捕歴もなく、ほとんどは、犯罪者と呼ぶにふさわしくない人たちです。1977年に同州が少量の大麻所持を非犯罪化してから2010年までの累計では、50万人を超える人たちが大麻の少量所持で逮捕されてきました。

ニューヨーク市警のやり方に対しては、識者の間にも、以前から批判がありました。警察は、とくに黒人やラテンアメリカ系の住民が多い地区で頻繁に職務質問を行っており、人種差別的な取り締まりが行われているという、強い指摘もあります。
また、こうした逮捕によって大量の刑事手続きを処理することは、税金の無駄遣いだという声も寄せられています。ある試算では、過去5年間で、ニューヨーク市が大麻の少量所持違反者の手続きのために要した費用は、3億4千万ドルに上るとか。

昨年、州議会に大麻の少量所持に対する刑罰規定の改正案が提出されました。この法案は、問題になっている、「公衆の目に触れる状態で所持した場合は軽罪とする」という部分を削除するというもの。議会では、この法案にたいする審議はいまだ進行中といいますが、同州の警察長官が取締りの適正化を求めるメモを発するなど、事態は少しずつ動き始めているようです。

なお、ニューヨーク州では、大麻の単純所持罪に対する刑事罰は、次のように定められています。
・25グラム以下の場合・・・
 初犯者(3年以内に薬物犯罪の前科がない者)に対しては100ドル以下の罰金
 2犯目(3年以内)の者に対しては200ドル以下の罰金
 3犯目(3年以内)の者に対しては250ドルの罰金または15日の拘禁(併科あり)  
・25グラムを超える場合、または公共の場所での所持・・・クラスBの軽罪
・2オンス(約57グラム)を超える場合・・・クラスAの軽罪
・8オンス(約227グラム)を超える場合・・・クラスEの重罪
・16オンス(約454グラム)を超える場合・・・クラスDの重罪
・10ポンド(約4.54キログラム)を超える場合・・・クラスCの重罪
(大麻の単純所持罪に対する罰則はニューヨーク州Penal Code § 221.00〜§ 221.30)

[参照]
■ニューヨーク州の刑罰コード
@Laws of New York
http://public.leginfo.state.ny.us/MENUGETF.cgi?COMMONQUERY=LAWS+&TARGET=VIEW
大麻関連の違反に対する罰則は
http://public.leginfo.state.ny.us/LAWSSEAF.cgi?QUERYTYPE=LAWS+&QUERYDATA=@SLPEN0P3TMA221+&LIST=LAW+&BROWSER=EXPLORER+&TOKEN=13775886+&TARGET=VIEW
A簡単な罰則一覧は下記にあります
Marijuana laws - Information on the law about Marijuana
http://law.jrank.org/pages/11811/Marijuana.html

■刑罰法令の改正案の概要
BS5187-2011: Relates to standardizing penalties associated with marijuana possession
http://open.nysenate.gov/legislation/bill/S5187-2011

■ニューヨーク市の大麻取締りに関する報道記事
@New York Times > Examining Marijuana Arrests( April 1, 2012)
http://www.nytimes.com/2012/04/02/opinion/examining-marijuana-arrests.html?ref=drugabuseandtraffic
関連記事
ANew York Times>Trouble With Marijuana ArrestsPublished(September 26, 2011)
http://www.nytimes.com/2011/09/27/opinion/trouble-with-marijuana-arrests.html?scp=1&sq=trouble%20with%20marijuana%201977%20editorial&st=cse

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
日本の大麻状況は変わる時が来るのかと考えてみると・・・やっぱそれだけはまずないかなぁと。

今じゃ世界中どこでも正しい情報・知識が得られる時代。アラブの春もフェイスブックが可能にしたもの。ちなみにチュニジア・エジプト・リビアどこも長期に渡る完全な独裁政治からの一気に民主化。それぞれの首領は日本でゆうところの竹下登(平成元年)中曾根、池田(1970年代)首相の頃から今まで完全な独裁政権。現実として北朝鮮並にやばかった所からフェイスブック一つで民主化成功。

池田内閣の頃は日本まだ高度経済成長期。てか全部昭和。いつの話やら。

超先進国日本における大麻状況は未だに戦後から進展なし。

もう革命を起こすしかないのでは?
太郎
2012/04/04 04:57
非常に解せません。アメリカでは「大麻ごときで」という認識が多いです。警官もそうであるはずです。何よりも、非犯罪化を通り越し(事実上非犯罪化の状態に近いからか)合法化の機運が高まっており、11月の大統領選挙に合わせて、州単位で再度合法化住民投票が行われる。住民の大麻に対する抵抗感が下がっているのなら、それは自然な現象といえます。

ではなんでそのような環境で、不当ともいえるような大麻の取り締まりが横行しはじめたのか。取り締まる側に、どのようなメリットがあるのか見当がつかない。
穿った見方では、合法化になる前(大麻合法化の住民投票が行われる前)に、捕まえられるだけ捕まえてしまおう、というようにも考えられる。いや、意外とそのほうが納得できるかもしれない。
もしそんなレベルで取り締まっているのだとしたら、それだけ合法化は確実だと思われていることになる。本当にそうなのだろうか、やはり理解できない。
日鷲
2012/04/18 16:43

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