弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 小規模分散型へのシフト|英国の大麻営利栽培の報告書

<<   作成日時 : 2012/04/30 18:12   >>

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英国にとって、大麻の営利栽培は依然として重大な脅威であるとする、英ACPO(警察本部長協会:The Association of Chief Police Officers)の報告書が発表され、ますます増加する大麻栽培犯罪の現状がクローズアップされています。
2011年にUK(英国)の警察が摘発した大麻裁判施設は約7800件、1日当たり21件にのぼります。警察は、国内での大麻の営利栽培の増加を重要問題ととらえ、対策を強化してきたといいますが、依然として増加傾向は収まらず、この4年間で摘発件数が2倍になりました。

報告書によれば、近年では、小規模分散型への回帰がみられるといいます。一時期は、閉鎖した工場や映画館といった大型施設を使った大規模栽培の摘発が続き、数千本単位の大麻草が栽培されている規模の大きさに、世間の注目が集まりました。でも、近年は、摘発される栽培施設の大半は個人の住宅で、数10本程度の小規模栽培が中心になっています。大規模施設を次々と摘発してきた警察の捜査力に対抗するために、犯罪組織側が小規模分散の戦略をとっていると、報告書は分析しています。
しかし、その背景には、財政引締めと経済減速の下で、「自分の使用分を自宅で栽培する」というニーズの高まりも見え隠れしており、ヘッドショップにおける大麻の種子や栽培用具の売上げが拡大していることも、この傾向を裏付けています。

英国では、25本を超える大麻草が押収された場合は、営利栽培とみなされる基準のひとつになるといいますが、近年の摘発事例では、小規模栽培でも25本以上の大麻草が押収されることが多く、個人的使用を満たした余剰分に犯罪組織が手を伸ばしているという指摘もあります。
画像

↑ACPOが発表した大麻営利栽培に関する報告書

この報告書には、大麻の営利栽培事案について興味深い分析が示されているので、その一部を紹介します。まず、今回は営利栽培に関わる犯人像について。以下の文章は、報告書の記載内容に基づいて、私が概要をまとめたものです。

●犯人像
これまで、大麻栽培といえば東南アジア系の外国人による犯罪と考えられてきたが、今回の報告で、白人の英国人の関与が増加していることが明らかになった。東南アジア系の栽培グループと共謀している例もみられる。
犯人の年齢層は18から35歳が中心で、全体の58%を占めている。
未成年者はわずか2%未満に過ぎないが、摘発された栽培施設内に、未成年者が発見されることがある。成人の栽培犯の親族の場合も多いが、人身売買によって英国につれてこられた少年がこうした場所で発見されることもある。
少年たちは栽培組織内でいろんな役目をさせられているが、栽培組織内では暴力や脅しによる支配が行われており、また前借金などで拘束されていることもあり、保護された少年たちは、その内情をほとんど話さないまま、施設から逃亡することが多い。
大麻栽培に関わる犯人の多くは、人身売買によって英国につれてこられた外国人だと考えられている。栽培施設が摘発された際に、現場に居るのはたいてい栽培係で、その多くは中国系やベトナム系の不法移民である。
不法移民は、英国に密入国した後、大麻栽培施設で働いて、1人当たり1万ポンド(約130万円)の密入国費用を支払うのだが、水や肥料のやり方について栽培組織の人間から母国語で指示を受け、ほとんど施設を離れることなく、施設内で暮らし、食料や生活用品は外部から届けてもらう。
捜査資料を分析すると、国内で摘発された複数の栽培施設に関与している者がおり、背後には、同国人のつながりを生かして高度に組織化された犯罪グループが存在するとみられる。
また、栽培施設の賃借、用具の調達、機材の据付、収穫、収穫物の売り渡しや現金の移動などを請け負う、小規模な集団が関与していることも推測され、犯罪組織の上層部がこうした集団を指揮しているものと思われる。
これら犯罪組織は、英国内で行われる大規模な営利栽培の大半をコントロールしているが、こうした犯罪組織を壊滅させ裁判に送り込むことに的を絞って、警察は捜査活動を推進している。

【参照】
@リポートの刊行に関するACPOの報道発表
ACPO published UK national problem profile commercial cultivation of cannabis 2012(2012年4月30日)
http://www.acpo.presscentre.com/Press-Releases/ACPO-published-UK-national-problem-profile-commercial-cultivation-of-cannabis-2012-173.aspx

AACPOの報告書
「UK national problem profile commercial cultivation of cannabis、問題プロファイリング、大麻の営利栽培」
http://www.acpo.police.uk/documents/crime/2010/201008CRICCC01.pdf

B報告書の刊行を報じるガーディアン紙の記事
The Guardian>Cannabis production booming in Britain, say police(30 April 2012)
http://www.guardian.co.uk/society/2012/apr/30/cannabis-production-booming-britain-police

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
合法にして各自で育てれば解決じゃん!
石油関連産業、タバコ関連産業、アルコール関連産業、
製薬会社は困ったことになるけれどね。
いずれも巨大多国籍企業だから、大麻の合法化は進まない。
いまや世界は大企業を通過して生活しなければならないようになっている。
政治も行政もそれを後押しして、持ちつ持たれつ甘い汁を貪っている。
いつになったら傀儡国民は自分の意思で踊りだすのか?
ティモシーリアリー
2012/05/02 11:35
非合法だから儲かる、儲かるから悪い奴らが群がる。
リアリー氏と同じ結論。合法化せよ。合法化し認可販売にし税金を取れば良い。会員制にすれば大麻使用者も管理できる。
日本ではこういった考え方に馴染みがないが、彼の国ではそういった論議もされているはず。

現在のトレンドでは、一部の権力者(製薬会社とか)により大麻の利益を奪われている、というようなことがささやかれている。その真偽は別にしても、大麻を規制する事で利益を得る者と、規制で被害を被っている者が確実に存在する。日本でもそうなのだが、英国でも取り締まり側が利益を手放したくないからなのだろうか。

しかしながら大麻を使いたくても使えない病人や、悪人でもない若者や社会人の人生を破壊してまで権益にこだわるのは、わたしから見れば悪魔でしかない。当然規制派も同罪である。最後の審判の時は覚悟していただきたい。
日鷲
2012/05/11 20:55

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