弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 麻薬犬による薬物探査は憲法違反?|米国のニュースから

<<   作成日時 : 2012/01/08 23:54   >>

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米国の連邦最高裁判所は、警察が麻薬犬を使って住宅の外部を捜索することの合憲性について、審理を開始すると発表しました。

事件は、2006年にフロリダ州で行われた住宅に対する捜索に関するもので、マイアミ地区の住宅で大麻を栽培しているとの情報を得た警察が、麻薬犬を使って被疑者の住宅を探り当てたというものです。麻薬犬として訓練を受けたラブラドール犬のフランキーが、被疑者の住宅の玄関先で大麻草の臭いをかぎ当て、警察は麻薬犬の反応を根拠として捜索令状を請求し、住宅の捜索に取り掛かりました。押収されたのは、179本の大麻草で、末端価格にして70万ドル(約5400万円)相当。
この事件では、この住宅で大麻栽培が行われていると疑うに足りる合理的な根拠がないにもかかわらず、麻薬犬を使って住宅外部の捜索を行ったことが、合衆国憲法修正4条に違反する「合理的な理由のない捜索」に当たるとして争われてきました。

合衆国憲法修正4条は、いわゆる権利章典と呼ばれるもので、令状によらずに、理由のない捜索を受けることから国民を保護するもので、犯罪捜査における捜索・押収(逮捕)などは必ず令状に基づいて行わなければならないと定めています。
さて、問題の麻薬犬については、たしかに、令状によらずに無差別な捜索をしているという解釈もありえるでしょう。連邦最高裁は、これまでに空港での麻薬犬による薬物探査のケースや、高速道路脇に停車している車に対する探査の事案で、合憲の判断を示していますが、今回のケースは、プライバシーがとくに尊重されるべき個人の住宅が対象で、これまでの裁判例がそのまま適用されるとは限りません。

薬物の探査には、様々な新技術が活用されていますが、なかには、無関係な人たちのプライバシーまで侵害されると危惧されるものもあります。たとえば、大麻の室内栽培をする建物の探査に、屋根や外壁の温度差を測定して表示するサーマル・イメージャという装置が使われることがありますが、2001年に連邦最高裁は、この装置を使った捜索を違憲とする判断を示しています(Kyllo v. United States)。

なお、合衆国憲法修正4条は犯罪捜査における令状主義を定めた条項ですが、日本国憲法にも同様の条項があり、第35条は「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は・・・、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。」と定め、理由のない捜索を受けることのない権利を日本国民に保障しています。

[参照]
@報道記事
Los Angeles Times>Supreme Court to rule on drug-sniffing dog case(January 6, 2012)
http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-na-court-dogs-sniff-20120107,0,5068226.story
Aサーマル・イメージャを違憲とした最高裁の決定
KYLLO V. UNITED STATES (99-8508) 533 U.S. 27 (2001)
http://www.law.cornell.edu/supct/html/99-8508.ZS.html

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